
1.円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が実施可能な体制:入院機関と、在宅医療の受け皿になる関係機関の協働による退院支援の実施。2.生活の場における療養支援が可能な体制:多職種協働による患者・家族の生活の視点に立った医療の提供、地域における在宅医療に対する姿勢や原則の共有、緩和ケアの提供、介護する家族の支援。3.急変時の対応が可能な体制:在宅療養中の患者の後方ベッド機能の確保。4.患者が望む場所での看取りが実施可能な体制:住み慣れた自宅や地域での看取りの実施。これらの課題を克服するために、24時間対応の在宅医療提供体制の構築、チーム医療を提供するための情報共有体制の整備、効率的な医療提供のための多職種連携、在宅医療に関する地域住民への普及啓発、在宅医療に関する教育・研修の必要性が謳われています。
上記のような報告は、きれいに整って見えますが、本当に実現できるのでしょうか?第1線の現場にいるものとしては、相当にハードルが高いように思えてなりません。絵に描いた餅にならないようにするためには、何が足りないのでしょうか?
今年の課題は、人材育成に向けた研修会を本格的に活動することです。多死時代に向けて、終末期の人と関われる人材を育成していくことが、これからの社会に求められる大きな課題であると確信をしています。そのために、めぐみ在宅クリニックとしてできることは何か?と問い続けていきたいと思います。
すでに、全国各地域で緩和ケア均てんにむけた様々なプログラムが用意されております。また、すでに在宅緩和ケアを実践している施設も多くなってきました。数ある活動の中で、他にはなく、めぐみ在宅クリニックとして、ユニークな視点を持ち続けたい思いがあります。そのこだわりの視点が、“どんな私たちであれば、良い援助者になれるのか?”です。ここで求められるのは、私たちが良いと思うことを行うだけでは良い援助者にはなれないということです。単に知識だけを持つだけでも良い援助者になれるかとは限りません。永年、緩和ケアを学んできたものとしてのこだわりは、“どれほど医学や科学が発達しても、すべての苦しみを取り去ることはできない、しかし、人は、その人にとって真の支えが与えられたとき、苦しみの中でも、生きようとする力が与えられていく可能性がある”ということです。支えられ方は、一人ひとり異なるかもしれません。その支えを強めることができれば、職種にかかわらず、良い援助者になれる可能性が拓けます。
この春から、いくつかの研修会を企画いたします。参加希望の方がおりましたら、どうぞお声かけ下さい。今年が、皆様にとって良い年になりますことをお祈りいたします。
確実なことは、団塊の世代が定年を迎え、日本はいよいよ
高齢化社会を迎えているということです。そして、あと10〜15年もすれば、団塊の世代が後期高齢者となり、多死時代を迎えるということです。1年間に亡くなる患者さんは、現在はおおよそ1.5倍の150万人を越えると予想されます。看取りを専門にする医師として懸念することは、この150万人の亡くなる人を誰が、どこで看取るのかという問題です。現在でも救急病院は、パンク状態となり、救急車の受け入れが困難なため、いくつもの病院をまわる話を聞きます。この状態がさらに悪化することは明らかでしょう。救急医療では、トリアージという概念があります。トリアージとは、人材・資源の制約の著しい災害医療において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定することと言われております。この概念で行くと、20年後の日本では、終末期の患者さんは、死に瀕した状態で救急搬送を依頼しても、受け入れ病院がないという判断がなされる可能性が高くなるでしょう。
病院以外の場所で看取りを行わないといけない時代が来ることは明らかです。そのために何が求められるのかを、みんなで考えて行かなくてはいけません。どんな病気でも、どこに住んでいても、安心して最期を迎えることのできる社会を目指すという理念に基づき、めぐみ在宅クリニックとしては、人材育成を大切にしています。良い社会とは、政治や行政に任せるだけではなく、地域で活動する一人ひとりが意識して活動する必要があると考えるからです。2012年には、苦しむ人と誠実に向き合い、質の高い援助を提供できる指導者を養成する目的として、めぐみ在宅援助モデルを伝えることのできる指導者講習会を企画します。また、在宅緩和ケアを学びたい医師・看護師・薬剤師・福祉関係者向けに、めぐみ在宅クリニックとしてできることを提案していきたいと思います。ご期待下さい。
開業して6年目を迎えます。この11月に開業以来はじめて長期休暇を頂く機会がありました。はじめは、箱根の温泉でもゆっくりとしようかと思っておりましたが、スタッフから、海外に行けとの強烈なメッセージをいただき、思い切って家内と二人でハワイに行きました。初めてのハワイと言うこともあり、無難にオアフ島のワイキキビーチ沿いのホテルを確保し、5日間、滞在してきました。APECの影響もありましたが、ビーチはとても穏やかでした。100年以上の歴史のある世界を代表するリゾート地での滞在で感じたことは、確かに目に見えるものとしての華やかさ、温暖な気候から醸し出される雰囲気は、文句なく素晴らしいものでした。その一方で、本当の幸せとは?と再考する機会にもなりました。どれほど豪華な車に乗っていても、どれほど裕福な生活をしていても、本当の幸せとは異なるものではないかというものです。
ハワイで心に残ったのは、景色ではなく、出会った人たちです。いろいろな思いを持って、ハワイにやってくる人たちと交流が持てたことは感謝でした。家内が通っていたフラダンスの先生はオーストラリアから来ていました。日本で生まれ、小さい時にオーストラリアに渡り、いろいろあって、今がある話など、心に残りました。クリニックの援助モデルをとてもpoorな英語で紹介しましたが、とても喜んでくれました。他にも居心地のとてもよいお店があり、最後の2日間は入り浸っていました。いろいろな出逢いがあるのも旅の魅力です。私は、家内がショッピングとフラのレッスンの間、ワイキキビーチの見えるホテルのベランダで、現在進行形で執筆している本の原稿を進めることができました。不在の間、獅子奮迅の活躍を頂いた児玉先生はじめスタッフの皆さんに感謝です。
