グラビアアイドル磯山さやか嬢が簡易土佐弁辞典を携帯して南国土佐は宇佐の町を探訪しました。(2007年7月22日放送)
簡易土佐弁辞典が
テレビ番組田舎に泊まろうに登場しました!
簡易土佐弁辞典は、
社団法人高知県工業会の推奨製品に選ばれました。
■前半20ページに、土佐弁語句主要400余語を収録
■主要語句の用例を豊富に挿入
■全語句にイントネーション記号を付帯
■高知女子大生(岩手から鹿児島出身まで)32人に解らない土佐弁アンケート
■後半28ページに、土佐方言の解説・「土佐弁のしくみ」を併載
ゆう・よった・ちゅう・ちょった-土佐弁助動詞の成り立ちを検証する。
土佐方言の位置付け/
土佐弁の用法例/
土佐弁の時制(ゆう、よった、ちゅう、ちょった・ゆう助動詞「-ィゆう」・進行体
と完了体)/
「ジとヂ」、「ズとヅ」の区別がある/
語尾(助動詞や終助詞)に特徴がある/( 語尾[助動詞] 語尾[助 詞])/ いろいろな語尾の用法集/
誇大表現・程度表現/
古語について/
土佐弁の新しい潮流/
コラム オーノー・怖いこと---しよった
1.土佐方言の位置付け
土佐は良い国 南をうけて
薩摩おろしが そよそよと
よさこい節の一節である。土佐即ち高知県は、南は大きく開けているが北は四国山脈の壁にはだかれて孤立状態にある。
近年、ラジオ、テレビ放送が始まって、北四国は地元の局に加え、対岸の電波が飛び込んでくる。ある種の文化の交流が有る。しかし、土佐の対岸は米国カリフォルニアである。当然、電波は届いてこない。そういう閉ざされた環境で土佐の文化は育まれてきた。ことばもである。
高知県方言辞典(土居重俊、浜田数義共著)や祖父江孝男著「県民性」などの書物を紐解いてみると、土佐方言は四国方言のひとつであるとある。
四国方言は四国山脈を境にして北側の阿讃予方言(徳島、香川、愛媛方言)と南側の土佐方言に二分できるという。また、西南地域を渭南方言として三分割する見方もある。
阿讃予方言が女性的でやさしい語調なのに対して土佐方言のそれは少々荒っぽい言語であるとしている。
四国方言(阿讃予方言も土佐方言も)は大阪アクセントである。しかし、瀬戸内側(阿讃予方言地域)は農業と主した温和な気候であるのに対し、太平洋側(土佐方言地域)は荒波に揉まれる漁業が主で、そして毎年のように台風が襲来するなど、自然環境が厳しい風土であり、この違いが両者違いを際立たせたとも言える。
土佐弁(土佐方言)もまた、幡多地域で話される幡多弁とそれ以外で話される高知弁に大きく分けることができる。幡多弁は南予(愛媛県)地方の方言も含めて、・・・(後続は略)
まだ 来ちょ らん にかーらん
時制助動詞 否定 推量(ようだ)
げに まっこと 遅い のー
強調 強調 軽い念押し
へんしも 来てちや
副詞 強調・促し
あるろか ないろか 有る にかーらん
推定・反語(だろーか) 推量(ようだ)
[共通語訳]まだ来てない ようだ
実に ほんとに遅いなー
すぐに 来てってば
有るのだろーか 無いのだろーか 有るようだ
はよーきーや はよーきーや
はよーきて これ みてみーや
[解 説]きーやのやは強調や促しを意味する。歌え、走れの強調は歌えや、走れやとなる。来る、言う、見る、寝るなどは来ーや、言ーや、見ーや、寝ーやとなる。
[共通語訳]早く来て 早く来て
早く来て これ 見てご覧よ
おまん えらい姿勢が おかしいが
のーが悪るーないかよ
[解 説]のーがわるい=能(具合)が悪い。
[共通語訳]あなたは ずいぶん変な姿勢をしているが
居心地が悪くないですか
やぜんの しけは たかでふきまくったが
どこぞ くえちょら せんろかのー
[解 説]たかで、どだい、こじゃんと、げに などの誇大表現。
[共通語訳]昨晩の 嵐(台風)は随分と吹き荒れたが
どこかに 崩れた個所があるのではないだろーか
柿ノ木から つっこけて しこたま こしょ うったき
へんしも 救急車を よんどーせ
[解 説]わしには=あしにぁー、こしを=こしょ、みづ(水)を=みど。
[共通語訳]柿ノ木から転落して ひどく腰を打ったので
急いで救急車を呼んでください
著 者 一の瀬 愚(おろか)
編 集 おろか工房
発 行 高知ビデオサービス
変形A5版(約 14cm x 19cm) 64ページ
「雨が降りゆう」のゆうとは、
「早や、来ちゅう」のちゅうとは、
「飲みよった」のよったとは、
「曲げちょった」のちょったとは、何か?
その成り立ちを検証する。
3.土佐弁の時制
土佐弁は、時制の表現が細かいのが特徴である。
雨の降っている場面を思い描いてみよう。
共通語で「雨が降ってる」といった場合、今降っているのか、もう降りおわっているのかはっきりしない。たしかに、「降りつつある」とか「降りおわっている」といった表現も言えるが、少なくとも会話体には存在しない。
こんな時、土佐弁は便利だ。
日常語で、降ってるか止んでいるかをはっきり区別するからだ。
降りつつあるときは「降りゆう」といい、今は止んでいるが、降った跡が残っているときは「降っちゅう」と使い分ける。
また、過去形もあって、降りつつあったのであれば、「降りよった」、その時は止んでいたが、降った跡が残っていたときは「降っちょった」となる。「よった」「ちょった」の「た」は過去あるいは完了を表すたである。
3-1 ゆう、よった、ちゅう、ちょった
これを整理してみると第1表のようになる。
「しつつある」「しつつあった」はそれぞれ現在形と過去形の進行体(形B、b)と呼ぶことにする。また、「結果がある」「結果があった」は現在形と過去形の完了体(形C、c)と呼ぶことにしよう。
そうすると、「降り」にゆう、よったを付けた進行体と、「降っ」にちゅう、ちょったを付けた完了体が出来る。この場合、「降り」「降っ」が語幹になる。「降り」「降っ」は五段活用の連用形の形だから、現在と過去の進行体、完了体の表現は、動詞の連用形にゆう、ちゅう、よった、ちょったをつないだ形で表すことが出来ることになる。
確認の意味で別の動詞「話す」を見てみる。やはり、五段活用の連用形「話し」に、ゆう、ちゅう、よった、ちょったをつないでみると、話しゆう、話しちゅう、話しよった、話しちょったとなって、うまくいく事がわかる。
ところが、動詞「読む」ではおかしなことになる。連用形は「読み」だから、読みゆう、読みちゅう、読みよった、読みちょったとなるのだが、読みちゅう、読みちょったとは言わないからだ。正しくは、読んぢゅう、読んぢょったとならなければいけない。
3-2 「似ちゅう」は「似いちゅう」という
連用形が語幹と言うわけではなさそうだ。
しかし、動詞の何かの形に、ゆう、ちゅう、よった、ちょった がくっ付いて成り立っていることには間違いない。
そこでまず、ゆう、ちゅう、よった、ちょった というものが、どういうものか、どのように形づけられたかを見てみる必要があろう。
その前に、話を進める上で、ゆう、ちゅう、よった、ちょったのことを「ゆう助動詞」、このゆう助動詞で変化する動詞の活用を「ゆう時制」と呼ぶことにする。
まず、動詞「する」に着目してみよう。
「する」は、「食事する」、「たばこする」、「休憩する」、「運転する」など、名詞にくっ付くと、ほとんどの名詞を動詞化することができる基本的な動詞である。
「する」の現在形は、「してる」ともいうし、「しとる」ともいう。「してる」は「して・いる」で「しとる」は「して・おる」である。
また、「しとる」は「しおる」になり「しよる」さらには「しよう」ともなる。
(する)現在形 している→してる
しておる→しとる→しおる→しよる→しよう
ローマ字つづりで見ると、労力節約の原則で、発音的にどんどん単純化していっていることがわかる。
[しておる] shiteoru→shitoru→shioru→shiyoru→shiyou
ここで、しようは「しよー」ではなく「し・よ・ウ」であることに注意しよう。
つづいて、命令形を見てみる。
命令形は、走れ、歌えなどの「-え(e)型」と、せよ・しろ、見よ・見ろなどの「-よ・ろ(o)型」がある。が、土佐方言ではもうひとつ、走り、歌いなどの「-い(i)型」がある。連用形の命令といわれる。(第4表)
ここで、「する」に加えて「言う」「見る」「来る」にも注目してみよう。せよ、言え、見ろ、来い、は、「-い(i)型」命令形では「-い」をつけてしい、言い、見い、来いで、おもに女性が用いる命令形になる。これに「や」をつけると、「しいや」「言いや」「見いや」「来いや」など、強調・催促の意を付加した表現になる。
また、「似ている」は、「似ちゅう」という。そして強調したいときは「似ーちゅう」つまり「似いちゅう」とも言う。
土佐市高岡や四万十市(中村)でも言うことを、現地に電話で聞いて確認した。
大阪弁でも「見ーて見いや」という。「見ーて見いや」は「見いて見いや」で、この見いは、ここでいう連用形の命令である。
日経新聞に私の履歴書というコラム欄がある。
今、元阪神の野村克也監督が執筆しているが、その中で(2005.06.18付)、大投手江夏をリリーフに回すために説得する件りがある。
「大リーグを見てみい。これからは絶対分業制になる。だから、先駆者としてリリーフの分野で革命を起こしてみいへんか(原文ママ、下線は筆者)」。「革命」と言う言葉に江夏はえらく感動したという。
野村監督のこの言葉の中の、始めの「見てみい」のみいは、連用形の命令形であろう。あとの「みいへんか」のみいは見いで「見んか」の意味だから「見へんか」でよさそうなものである。それを、「見いへんか」というのは、土佐弁の「見いや」と同じ用法とみられる。
「し」「言」「見」「来」そして「寝」などは、発音的にどうしても「見や」「来や」「寝や」でなくて、「見ーや」「来ーや」「寝ーや」となってしまう。そして「見いや」「来いや」「寝いや」と二重母音に成っていったものと推測できる。語幹一文字の動詞には、このような傾向がある。
3-3 ゆう助動詞「-ィゆう」
さて、「する」の現在形、しておる→しおる→しよる→しように戻ろう。
ところで、「似ちゅう」を「似いちゅう」とも言うことから、(今)していること「しゆう」は、「しーゆう」となり「しいゆう」に、「見ゆう」も「見ーゆう」から「見いゆう」となってもおかしくない。
したがって、「しよう」は「しいよう」になると言える。
「しよう」、「見よう」は次のように変化する。
(する)現在形 しておる→ ・・・・・ →しよう→しーよう→しいよう
(見る)現在形 見ておる→ ・・・・・ →見よう→見ーよう→見いよう
ここからが本論である。
それぞれの語幹をみてみようと思うが、「する」「見る」などは、語幹と活用語尾とに分けられないと言う。「する」の場合で言えば、「する」「せよ」「します」などと、語幹そのものが変化するからだ。
そこで、動詞「書く」を見てみると、「書く」は「書き」が連用形命令形であり、「書きや」はそれを強調した形だ。「書きや」に対して、「見る」は「見いや」になる
。
「書きや」の語幹は「書(か)」であるから、「見いや」の場合は、語幹「見(み)」とみることができる。同様に「しいや」の語幹は「し」とみれる。
語幹というのが不適切なら「語根」と呼んでもよい。
そこで、上記の「しいよう」「見いよう」から語根である「し」「見」を取り去ると、
shiiyou → iyou miiyou → iyou
となって、 -iyou(いよう)が抽出できる。
労力節約の原則で、-iyou(いよう)は-iyuu(いゆう)ともなる。
-iyouと-iyuuは相互乗り入れ型で、-iyouになったり、-iyuuになったりする。高知弁の-iyuu(いゆう)は幡多弁では-iyou(いよう)という。
「食べゆう」→「食べよう」、「行きゆう」→「行きよう」などがそれである。
iyou ←→ iyuu
この-iyou(いよう)の変形、 -iyuu(ィゆう)が現在形進行体のゆう助動詞である。
助動詞が「ィゆう」であるとして、「降りゆう」とはどういう構造かと言えば、「降る・ィゆう(furu-iyuu)」である。
「降る」に「ィゆう」がくっつくと、降るの末尾のuが、次のiに吸収されて消滅し、「降りゆう」となる。
furu-iyuu→furiyuu
もうひとつ、動詞「飛ぶ」で例を見てみよう。「飛ぶ+ィゆう」で、
tobu-iyuu→tobiyuu
「飛びゆう」と成ることが解る。
このように動詞の現在形(基本形)に「ィゆう」をつけると、「〜しつつある」という形の土佐弁の現在進行形(現在形進行体)が形付けられることになる。
3-4 進行体と完了体
いままででわかった助動詞「ィゆう」は時制でいえば進行体である。
当然、完了体もある。
時制が入り組んでややこしいが、現に、国文法で現在形、過去形と言う言葉があるので、それを踏まえて進めていくと、動詞の現在、過去は現在形、過去形である。そして、ゆう助動詞は・・・・・
以降は「簡易土佐弁辞典」の本誌でご覧ください。
時制を表すゆう助動詞
| 現在形進行体 |
現在形 |
ゆう助動詞 |
現在形+ィゆう |
| しゆう |
shiyuu |
する |
ィゆう |
shi-iyuu |
| 言いゆう |
iiyuu |
言う |
ィゆう |
iu-iyuu |
| 見ゆう |
miyuu |
(見) |
ィゆう |
mi-iyuu |
| 来ゆう |
kiyuu |
(来) |
ィゆう |
ki-iyuu |
| 歌いゆう |
utaiyuu |
歌う |
ィゆう |
utau-iyuu |
| 話しゆう |
hanasiyuu |
話す |
ィゆう |
hanasu-iyuu |
| 降りゆう |
furiyuu |
降る |
ィゆう |
furu-iyuu |
| 第4表 |
命令形 |
| 動詞 |
-え(e) |
-よ・ろ(o) |
-い(i) |
強調する |
| 走り |
走れ |
|
走り |
走りや |
| 歌い |
歌え |
|
歌い |
歌いや |
| する |
(せえ) |
せよ・しろ |
しい |
しいや(しーや) |
| 言う |
言え |
|
いい(言い) |
言いや(言ーや) |
| 見る |
|
見よ・見ろ |
みい(見い) |
見いや(見ーや) |
| 来る |
|
|
きい・こい |
きいや(来ーや) |
| 第3表 |
|
活 用 |
|
正しくは |
|
| |
連用形 |
読み |
|
|
|
| 現在形 |
進行体 |
読みゆう |
○ |
|
|
| 完了体 |
読みちゅう |
× |
読んぢゅう |
○ |
| 過去形 |
進行体 |
読みよった |
○ |
|
|
| 完了体 |
読みちょった |
× |
読んぢょった |
○ |
| 第2表 |
|
活 用 |
|
|
|
| |
連用形 |
話し |
|
|
|
| 現在形 |
進行体 |
話しゆう |
○ |
|
|
| 完了体 |
話しちゅう |
○ |
|
|
| 過去形 |
進行体 |
話しよった |
○ |
|
|
| 完了体 |
話しちょった |
○ |
|
|
| 第1表 |
|
活用(連用形) |
意 味 |
|
|
現在形
|
基本体 |
降り |
降る |
形A |
| 進行体 |
降りゆう |
降りつつある |
形B |
| 完了体 |
降っちゅう |
降った結果がある |
形C |
|
過去形
|
基本体 |
降った |
降り終えた |
形a |
| 進行体 |
降りよった |
降りつつあった |
形b |
| 完了体 |
降っちょった |
降った結果があった |
形c |
簡易土佐弁辞典は、06年1月17日の
有力地方紙高知新聞朝刊で紹介されました こちら。
簡易土佐弁辞典は、06年3月28日の
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平成21年3月1日から。
新住所 781-8103 高知市高須新木5番31号
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