VT−4Cパワーアンプ編     VT−4C/211s パワーアンプ製作編

                                     1992年12月製作

T 製作のきっかけ

  このアンプが本格的なアンプの製作の始まりでした。1990年秋、名古屋技術駐在勤務となり当然、単身赴任生活
 となり土日の休みはフルに自分の時間が取れるのでその時間を有効に使うには?。通勤の途中には名古屋の
 最大の繁華街「錦三丁目、略してキンサン」があり赤い灯.青い灯に惑わされず過ごすにはと考え、本格的な
 真空管アンプの製作を計画しました。

  まず、私のアンプ作りの師匠である剣道具店を経営している「N.O」さんに、300Bシングルを作って見たいと
 相談したところ高価な300Bより、VT−4C/211シングルを薦められ同時に、出力トランスはタンゴのカットコア、
 トランス X−10Sの組み合わせで、プレート電圧は1000Vと高圧を加える事を薦められ、素直に製作を始め
 ました。

  補足説明  VT−4C : 米軍JAN仕様の真空管管
          211   : VT−4Cの民生仕様の真空管











メインのパワーアンプとして使用中の、
中国製ノーブランド 211シングル。








 VT−4Cなる球、全く初めて聞く球の名前。早速、手持ちの規格表を調べましたが手持の規格表には記載されて
おらず、改めて規格表.回路図の手配。出張を利用して秋葉原でGE製のVT−4Cを購入、VT−4Cと初めてご対面!。
この球の形状と大きさを見ておおよそ真空管と呼べる形状でなかったのでビックリしました。

  VT−4Cのフィラメントにつて

  VT−4C(211)のフィラメントは白熱電球の様に明るく輝き材質は、通称「トリタン」と呼ばれています。
  トリタンは、タングステンに1〜2%の酸化トリュウムを混合したもので表面をある程度炭化してあり、
  還元されて出来たトリュウム原子が、タングステンの表面を覆いうことによりタングステンより低い温度
  (2000°K)でかなり良好な電子放射が得られるため、送信管では広く使用されているそうです。
 








左はバヨネット式のソケット。
中央がGE製 VT−4C。
右がノーブランド 211で「211」の表示
がない代物。









U 回路の検討  「回路図」

 MENUのお薦めの書籍で紹介しました「三栄無線」と「K.ALab」のキット回路図を入手しました。三栄無線の回路
は、カソードフロワドライブで、バイアス電源が必要。K.ALabの回路は6SN7二段のSRPP回路のカソードフロワ
ドライブで、自己バイアス回路でした。SRPP回路は私にとって、初めての回路でしたが、バイアス電源が不要である
自己バイアス回路を基本として回路を少し変更、製作に入りました。

 
 電源回路は、タンゴのトランスを使用するとおのずとMS−210DRとなり倍電圧整流で1000Vが得られます。
ドライブ段は低圧巻き線をブリッジ整流、電圧を下げて200V強の電圧を得ます。
 いずれの回路もダイオードで整流(当然な選択ですが)。VT−4C/211に供給する高圧の1000Vが電源をON後
に即、加わると球にダメージを与えると言われ、タイマーあるいは傍熱管の整流管を併用する回路が一般的です。
VT−4C/211はタフである事からこの遅延回路は省略したかったのですが、整流回路のケミコンの耐圧がギリギリ
でしたので、タイマーを併用して電源ON後、5秒間は高抵抗を直列に接続して、500V程度に抑えました。
 ドライブ段の球はシャーシの余裕が無い事からMT管、12AU7を使用。SRPP回路ですから球のヒーター、カソード
間の耐電圧の問題からヒーターに約、+60Vのバイアスをかけました。


V 部品の調達

1.トランス

 出力トランスは師匠、「N.O」さん勧めのX−10S。電源トランスはMS−210DR.チョークはMC−10−200D。

2.シャーシ

 三栄無線の配置を真似て、鈴蘭堂のSL−20としました。このシャーシは頑丈に作られトランスの合計重量、28Kgを
取り付けても、びくともせず頑丈なシャーシです。

3.整流用ダイオード

 当時人気があった「IS2711」を使用しましたがその後生産中止となり、報道後には高騰、結構な価格になりました。
VT−4C/211のフィラメントはDC点火ですから、手持ちの「KBPC25−02/200V 25A」を使用して、放熱対策
としてシャーシの側面横に取り付けました。

4.ハムバランサー (VT−4C/211用)

 100オーム巻線ボリュームとして、ボリュームの軸に切り込みが有るタイプを購入しますと、ボリュームをまわす時に、
マイナスドライバーで回す事が出来、便利です。ハムバランサーの中点は、アースに落としました。
尚、ハムバランサーを調整しやすい様にシャーシの底カバーに穴を開け、調整し易い様にしました。

5.ACレセプタクルの使用
 


 AC100Vのコードはシャーシのヒューズフォルダー及び、電源
スイッチに直接取り付けないで、ACレセプタクルを使用しまし
た。この方法ですと点検、修理の際には本体を移動させる際に
は非常に便利です。当時は、入手が困難でしたのでパソコン販
売店の放出品を買い求めました。
 現在は簡単に入手でき、ノイズフイルター付のACレセプタクル
を使用すると、気分的に安心出来ます。

私が自作したアンプはすべて、レセプタクルを使用しています。




6.スピーカー端子
 


 ありふれた陸型端子を使用しました。この端子はメーカーによ
り構造が異なり、締め付け部が端子本体から外れるタイプ(スピ
ーカーコード締め付け金属部が片側のみ)と、外れないタイプ(ス
ピーカーコード締め付け金属部が両端)があります。
私は、スピーカーコードは、圧着端子を使用する関係で、締め付
け部が端子本体から外れるタイプを使用しています。


写真は、6GW8p.pの写真を流用しました。




7.カップリングコンデンサー

 当時はコンデンサーの知見が無く三栄無線のカタログから、ルビコン製「STLX」を使用しましたが現在は、スプラグの
ビタミンQ(オイルコンデンサー)を使用しています。このコンデンサーの価格は4ヶで約、1万円弱と高かった!。
聞くところによりますとこのコンデンサーは有害物質である「PCB」を含むとか。クワバラクワバラ。

8.カソードバイパス用ケミコン

 この頃、真空管用ケミコンとして、ジェルマックス社より「ブラックゲート」が発売されていましたので、ブラックゲートを
使用しました。

9.抵抗

 三栄無線にて、リケノームのRM抵抗の相当品の使用しました。

10.配置及び、VT−4C/211のソケットアダプター
 




 球が大きいうえにソケットはさらに大きく、シャーシの取り付け
配置は三栄無線のキットの写真を参考にしました。
 又、三栄無線では専用のアダプターを販売していましたので、
これを購入しました。したがって、シャーシ天面に長径90mmの
大きな穴を開けました。






W 製作後の奮闘記

 初めての本格的なパワーアンプの製作のわりには大きな間違い等も無く、のんびりと製作をしました。
この間、工具等を自宅から月一度の帰省を利用して運んだ関係で、2年を掛けて作りました。

1.12AU7を12AT7に変更

 スピーカーを鳴らすと増幅.ドライバー不足でイマイチ、パワーが出ませんでしたので初段は、中μの12AT7に交換
しました。ドライバーは12BH7Aに交換しましたが差を感じませんでしたので、球の統一で12AT7としました。当然、
球によってはハム音が目立つ球がありますので、手持ちの球を抜き差しを行い、ハム音の少ない球を選びました。

2.放熱対策
   















 予想しなかったのが、VT−4C/211のDC点火用ダイオードの発熱でした。ダイオードをシャーシ本体右側面に取り
付けましたが放熱が不十分でシャーシ全体が熱くなり、ダイオードを放熱器に取り付けシャーシの上面に取付けしました
が最終的には強制空冷としました。
 「名古屋アメ横」のジャンク店で、AC用の小型シロッコファンを見つけ小さいスライダックスで電圧/回転数の調整を行
い併せてファンの音が気にならない程度に調節しています。
肝心の強制空冷の「冷却空気」の流れは写真の様に「逆 フォーバークラフト方式」としました。つまり、シャーシの足元の
三方を厚い紙をL型に曲げ空気の無かれを止め、シャーシ右側面を空冷しながら右側面下からシャーシの底に冷却空気
を流す方法です。この方法で、ダイオードの発熱対応が出来かつ、球を含む全部品の冷却を兼ねますので重宝しています。

3.VT−4C/211のフィラメント電圧の調節

 DC10V点火ですが、ダイオードの整流後のコンデンサーの違いにより整流後のDC電圧が変わりました。
同一容量でも、形状が大きい方が整流後の電圧が高くなります。DC10.0Vにあわせる為に、セメント抵抗値を調整
する必要があり結構、発熱しますのでセメント抵抗は分割しました。(例えば1.0Ω 10W1ヶであれば、0.5Ω 10Wを
2ヶ使用)。この時、AC100Vの電圧変動の傾向を見て調節します。

4.GE製 VT−4C VS 中国製ノーブランド 211

 東京の球屋さんでノーブランドの211、1箱10本で28,000円の値段に惚れて(?)購入。球は切れかつ、エミゲン
になると言う先入観から購入したものです。
10本を実際に動作させると、うまくペアーチューブが5組、出来ました。以外だったのは、ノーブランドの211の方が
歯切れよく私好みの音でしたので、GE製のVT−4Cとノーブランドの211の音色を師匠の「N.O」さんに確認して頂くと、
やはりノーブランドの211に軍杯があがり、チョット憂鬱になり現在もノーブランドの211を使用しています。

 真空管式TV受像機の全盛期には受像機がよく故障したもので、球の交換を頻繁に行っていた記憶があります。
球はMT管で小型化したものの計算の上では球の発する熱に対して、十分な動作をすると思われますが所詮、MT管故
に放熱不十分。電極管の距離が接近している事も影響して球の寿命が短かったと思います。
その点、ST管の類は有利なので寿命も長いと思われます。尚、この211は1本も球切れ事なく、元気よく働いて
いまのすで驚いています。

5.カップリングコンデンサー
 


 ルビコン製「STLX」を使用しましたが、製作10年後に気が
ついたのですが、本体の樹脂ケースに微細なクラックが入りました。
 この微細なクラックは、「ケミカルストレスクラック」による割れ
で、性能変化等についてはわかりません。
 スプラグのビタミンQを購入したまま収納していましたので、
ようやくビタミンQの出番が来た次第です。交換後の、音質に
ついてはあまり変化はありませんでした??。