許すな勤務時間の改悪
−休憩・休息時間を守るために−
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はじめに 都教委は7月4日、勤務時間の割振り見直し等を組合に提示しました。 「休息時間を勤務の途中に割振る。」 「休憩時間は一斉に与えないことができる。」 という内容のものです。 学校では児童・生徒の生活、学校の活動実態に合わせ、休憩・休息を勤務の始めと終わりに割振ってきました。この提案は長い間学校に定着してきたこの勤務時間の割振りを、改悪するものです。この割振りと、休憩の一斉付与の原則がくずされれば、休憩・休息は実質的にはとれなくなり、毎日8時間45分の実働拘束・長時間労働になることは明らかです。 私たちは労働条件の大改悪に反対し、現行勤務時間の割振りと休憩の一斉付与の原則を守るために闘います。 このパンフレットは、都教委の提案内容とその問題点、私たちの勤務条件と守るべきもの、私たちの闘いのすすめかた、についてまとめたものです。 職場で活用し、学習を深め一人一人が自分たちの勤務時間・労働条件を守る運動をすすめましょう。 2000年8月 東京教組 |
勤務時間は、どうなってしまうの?
Q1 都教委が提案した勤務時間改悪の内容は?
Q2 この提案は、どこが問題なのですか?
Q3 なぜこんな提案をしたのですか?
Q4 勤務時間是正を求めた住民監査請求の結果はどうなりましたか?
Q5 事務職員、栄養職員と教員の勤務時間は違うのですか?
Q6 都庁の職員の勤務時間も改悪されたのですか?
今の勤務時間は、どうなっていますか?
Q7 今、私たちの勤務時間は、どうなっていますか?
Q8 勤務時間や休憩・休息時間は、法律で決まっているのですか?
Q9 勤務時間の割振りについて都教委・地教委・校長は、
どのような権限を持っているのですか?
Q10 私たちの勤務実態は今、どうなっていますか?
改悪を許さないために、今こそ勤務時間をきちんとさせるとき!
Q11 全国の様子や、日教組としての課題は何ですか?
Q12 東京教組や各単組は、どのようにとりくんでいくのですか?
Q13 職場で今、とりくむことはどんなことですか?
Q1 都教委が提案した勤務時間改悪の内容は?
A 次のページに都教委が提案してきた文書を掲載してあります。提案は、3点についてなされています。
第1は、勤務開始時と退勤時間に連続して割振られている休息時間(15分ずつ、午前と午後の2回)を、勤務条例及び解釈運用を改正して「出勤時間及び退勤時間と連続させることはできない」とするものです。
休息時間を勤務の途中に割振ると拘束時間が30分増えると同時に実質休息がとれなくなります。
第2は、現在全員に対し一斉に与えられている45分の休憩時間(ほとんどの学校は4時から45分間、これに引き続き午後の休息時間15分)を「休憩時間は職務の特殊性または当該学校の特殊の必要がある場合において、一斉に与えないことができる」というものです。
これは、勤務時間条例を「改正」し、給食指導のある学級担任と、専科教員(小学校)・副担任(中学校)・事務・栄養職員を分けて、それぞれ授業のない時間や昼食時等にバラバラに休憩時間を与え、かつ、全員の勤務時間(拘束時間)を5時までにしようとすると同時に実質休憩がとれなくなるものです。
第3は、勤務時間条例施行規則の改正で、@育児時間と A妊婦通勤時間の取得について15分単位でできるようにするというものです。
これは、権利の拡大ではなく、単にこれまで30分以上のきざみであったものを15分に細かくきざむというだけのことです。
平成12年7月4日
休息・休憩時間等についての条例、規則等の改正について(都教委提案)
1.休息時間の置き方について
休息時間について、「学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例及び同条例施行規則の解釈及び運用について」を次のとおり改正する。
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現 行 |
改正案 |
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第6 休息時間(条例第8条関係) 1 休息時間は、職務に支障のない限り、勤務時間4時間について15分与える。 したがって、例えば、午後の休息時間を勤務時間の終わりの方で与えることもできる。 2(略) |
第6 休息時間(条例第8条関係) 1 休息時間は、職務に支障のない限り、勤務時間4時間について15分与える。 ただし、出勤時間及び退勤時間と連続させることはできない。 3(現行のとおり) |
2.休憩時間の一斉付与について 労基法及び地公法の改正により、「条例に特別の定め」がある場合には、休憩時間を一斉に付与しないことができることとなった。この「特別の定め」については、現行の学校職員の勤務時間条例第7条第2項で読み込むことができるが、同条第3項でその旨明確に規定する。
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現 行 |
改正案 |
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(休憩時間) 第7条 教育委員会は、勤務時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間、継続して一昼夜にわたる場合は1時間30分以上の休憩時間を、それぞれ勤務時間の途中に置かなければならない。 2 前項に定めるもののほか、教育委員会は、職務の性質により特別の勤務を命ずる場合には、必要な休憩時間を与えることができる。 |
(休憩時間) 第7条 教育委員会は、勤務時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間、継続して一昼夜にわたる場合は1時間、30分以上の休憩時間を、それぞれ勤務時間の途中に置かなければならない。 3 前2項の休憩時間は、職務の特殊性又は当該学校の特殊の必要がある場合において、一斉に与えないことができる。 |
3 育児時間及び妊婦通勤時間についての学校職員の勤務時間条例施行規則の改正
@ 育児時間について
生後1年以上1年3月未満の生児を育てる職員が利用する場合に、15分の取得ができるよう、規則を改正する。
A 妊婦通勤時間について
15分の取得ができるよう、規則を改正する。
※ 学校に所属する、学校職員の勤務時間条例適用外の職員についても、上記と同様の扱いとする。
※ 施行時期については別途提案する。
Q2 この提案はどこが問題なのですか?
A 労働条件の大幅な改悪
勤務時間と賃金は私たちの労働条件の根幹をなすものです。今回の都教委の提案はこの労働条件の大幅な改悪です。
1の提案で
「休息時間は出勤時間及び退勤時間と連続させることはできない」と変えようとしています。休憩・休息時間を勤務時間の前と後ろに割振ることができなくなります。休憩時間は労基法上勤務の最後におくことができません。したがって1日の最後に勤務時間を、たとえ15分でも割振らざるをえなくなります。これにより、8時間45分の割振りが決まり、始めから終わりまで拘束時間になります。
学校では勤務時間途中の休憩・休息の割振りでは、実際には取ることができません。つまり、休憩・休息とは名ばかりの割振りになり、実質的には8時間45分の実働・拘束長時間勤務が強いられてくるのです。
一斉付与をなくしたら全員休憩がとれない
今回、2の提案で、
「休憩は一斉に与えないことができる」と変えようとしています。ある人は11時45分から、あるグループの人は12時半から、担任の人は2時からあるいは4時からと個々バラバラの休憩時間になり、実際だれがどこで休憩なのかわからず、結局なし崩しになってしまう危険な提案です。
校内、近隣の学校、区市町村単位での午後の会議や、研修、行事なども休憩を無視しなければ成り立ちません。
休憩も休息も守れない
休憩には、
@ 勤務の途中に
A 一斉に
B 勤務場所を離れて自由使用できる
の3原則があります。
AとBは勤務終了時に連続させ、勤務場所を離れられることで、守れてきたものです。しかし今回の1と2の提案を許せば、勤務の途中に学校を離れることはほとんど不可能なので、休憩もとれないことになります。
15分の休息が子どもたちの在校中に割振られたらそれが取れないことは、明らかです。学校では休み時間に多くの仕事をこなしていかなければなりません。生活指導、諸連絡、電話の応対、教材の準備、提出物の点検、印刷……等々、息つくひまもないほどです。都教委は、「休息は取れなかったからといって繰りこされることはない時間だ」と、取れなくてもよいかのような発言もしています。
都教委は、「今回は休息時間を中に入れる提案であって休憩時間についてはふれていない」といっています。しかし、私たちの休憩時間は、昼食時にはとれず、7時間30分もの長時間労働の後に、割振られています。勤務場所から離れ、休憩と休息がつながっているから、かろうじて確保できているのです。
労働環境整備を怠る都教委
都教委は、実質勤務時間の延長になることを百も承知でこの改悪提案をしています。
学校や子どもたちの実態は年々厳しさを増し、教職員は健康破壊ぎりぎりのところで勤務をしています。今都教委に求められていることは、教職員がゆとりを持って子どもたちと向き合うことができる条件を整備することです。
都教委はまず教職員の勤務実態の調査をきちんと行い、現実の認識をすべきです。勤務時間外労働の実態調査、休日の部活動の整理、生活指導や進路指導にかかわる膨大な超過勤務の削減、取りたくても取れない休暇や調整時間の取得実態の調査を行って方策を示す等、都教委がやるべきことは山ほどあります。
学校は休養室、休憩室すら設置されていない労働環境の劣悪な職場です。具合の悪いときにちょっと横になる場所さえありません。
都教委は、勤務時間改悪の前に教職員が、休憩・休息をとれる環境を整えるべきです。
労働条件の大改悪提案を白紙撤回させよう
東京教組は緊張の連続の長時間勤務の上に、これ以上の勤務時間の延長につながる勤務時間改悪提案を白紙撤回させるよう闘います。
Q3、なぜこんな提案をしたのですか?《その背景とねらい》
A 都教委は、教職員の勤務時間(休息・休憩)について、@自治省から強い指摘があった。A休息・休憩時間の取り方を違法・不当として是正を求める住民監査請求があった。B監査請求に対する監査結果でも是正の要望があった。C都庁職が休息時間を勤務時間の途中に入れることで妥結した。D都議会文教委員会でも問題として取り上げられている。E現行の割振りは、条例の趣旨からも見直さざるを得ない。F監査請求結果を不服とする裁判所への提訴に至っている。などを改悪提案の理由としてあげています。
しかし、これらの理由は、一部の監査請求者や議員の指摘を元にしたものです。むしろ都教委は、私たちの実態にあった勤務を守るべきです。今回の提案は、子どもたちが在校中は休息も休憩も取れない私たちの勤務実態を考慮しないものといわざるを得ません。
しかも、監査結果は、いずれも休息・休憩時間の現行の割振りに違法性・不当性はないと給与の返還を求めた監査請求を退けています。Bの休息・休憩時間の是正の要望を受け止めるとしたら、休息・休憩時間をきちんと保障する具体案こそ提示するのが都教委の役割です。
都教委が、今回の提案に至ったのは、教育公務員に対する外圧を利用して、超勤手当もない教職員の勤務時間を実質75分延長することをねらったものです。
Q4 勤務時間是正を求めた住民監査請求の結果はどうなりましたか?
A 2000年3月31日に、世田谷区・杉並区・豊島区・練馬区・渋谷区・港区(6区)の、都費負担の学校事務職員の「昼食時間」に対し、住民監査請求が出されました。
「都内の小中学校では、正規の昼の休憩45分を午後4時から4時45分にとり、午後の休息時間15分をその後にもってきて、午後4時から5時までが昼休みになっている。しかし、都事務職員は『給食指導がないのに』昼食を『昼(12時頃)』食べている。昼食はいくら早く食べても『15分』はかかる。ということは所定の45分とプラス『15分』つまり、昼の休憩を2回に分けて合計『1時間』とっている。」というものです。
措置要求は、次の2点です。
@勤務時間中の昼食時間「15分」を改善すること。
A過去1年間に遡り支払われた「15分」の給与の返還をすること。
監査の結果は、2000年5月26日に出されました。
「本件請求には理由がないものと認める。」としながらも、「ただし、都が給与を負担する区立小中学校事務職員に対する給与支出について、一部適切さを欠く点が認められるので、教育庁に対し別項のとおり要望を付す。」としています。
@の勤務時間の改善要求に対しては、「都費事務職員の勤務時間の設定に関する権限は、各学校長にあり、各学校長の監督者は各区教育委員会であることから、都教育庁において、勤務時間の改善を直接実施することはできない。よって、都に対しての勤務時間の改善を求める主張は認められない。」としながらも、都教育庁は、給与について権限をもっているものとして、「勤務時間中に昼食をとらなければならないような勤務時間の割振りを行っているものについては、これを是正するよう、区教育委員会に対し、給与支出権者として適切な指導・要請を速やかに行われたい。また本件6区以外についても、同様の事例があれば、必要な措置を講じられたい。」というものでした。
Aの給与の「損害補てん」については、「勤務時間内に昼食をとらなければならないような勤務時間の割振りは適切さを欠く」としながらも、「昼食に要した時間を個別に認定することは困難である。一方、このような勤務時間の割振りは、学校の昼休みの時間帯にも事務室の窓口を開けて児童・生徒や教員と対応する必要があるなど、学校運営の実情に応じて定められているもので、昼食中といえども、職務を行う必要があればいつでも昼食を中断して対応することが求められている。」として「過去に遡って損害補てんを求める請求人の主張は認められない。」というものです。
また、2000年4月17日と5月9日に、杉並区において区立小中学校の教員と、都費事務職員等の勤務時間に対する住民監査請求が出されました。これも、監査の結果は、「勤務時間の割振りが、勤務条例に違反するものではなく、休息時間に出勤または退勤した教員等がいたとしても、給与減額措置を行わないことが違法ではない。」として、両方とも「本件請求には理由がないものと認める。」というものです。しかし、この場合も「…勤務態様には、都民の疑念を生じさせるようなことがあってはならない」として、「杉並区教委区委員会に対し適切な指導・助言」を求めています。
これらの監査結果の是正要求を、都教委は改悪提案の理由に挙げています。
Q5 事務職員、栄養職員と教員の勤務時間は違うのですか?
A 港、杉並、世田谷、渋谷、豊島、練馬などの区で学校事務職員の勤務時間の割振りの是正と給与の返還を求める住民監査請求がだされたことは、10ページ゙でのべました。事務職員には給食時間中に児童・生徒の給食指導はないので、昼食を取る時間は休憩にあたるというものです。学校の事務室は、給食中でも昼休み時間でも事務室が開いている限り休憩を取れる状態ではありません。児童・生徒も教員も授業のない時間帯にどっと事務室に行き、たくさんの用事をすませるからです。事務職員は1人あるいは数人でこれらのすべての人の用事への対応をしているのです。もし事務職員が昼に休憩を割振られたら事務室を閉めて別の場所で休憩をとる以外に休憩をとる方法はありません。
問題は、校長が先走って今年から事務職員にのみ、休憩時間を昼休みに割振ってしまった学校が一部にあることです。都費事務職員に対しても、教員と一緒に7月4日に勤務時間の割振り改定の提案がされたのですから、この問題が決着するまでは、現在の勤務時間条例や施行規則が生きているのは当然のことです。事務職員だけ休憩の一斉付与からはずすことは勤務条例違反であり、できないことです。
「休憩を一斉に与えないことができる」と改悪したい都教委は、教員と事務・栄養職員、専科教員・副担任などをバラバラにし、結果として休憩・休息のなし崩しをはかり、長時間勤務の押し付けをねらっているのです。
事務職員、栄養職員も同じ教職員として、一斉付与の原則を守るべきです。
Q6 都庁の職員の勤務時間も改悪されたのですか?
A 昨年度から都側と都庁職が、「勤務時間の割振り見直し」の交渉に入っていましたが、6月23日、下記の内容等で妥結しました。
この結果を受けて直ちに7月4日都教委は改悪提案を行いました。
勤務時間を15分刻みで取得できるように制度の改正を行う。
12:00 12:15 13:00 (この間に15分の休息)
| 8:30 A班 | 休息 | 休憩 | 17:15 |
| 9:00 B班 | 17:45 | ||
| 9:30 C班 | 18:15 |
(午後の休息時間は、休憩時間及び退庁時間と連続させることはできない)
1.A班、B班、C班の時差勤務体制とし、それぞれの勤務開始時間は、A班8時30分、B班9時、C班9時30分とする。
2.休憩時間は12時15分から13時までとする。
3.休息時間は12時から12時15分まで及び13時から退庁時間までの間で所属長が定める15分間とする。ただし、休憩時間及び退庁時間と連続させることはできない。
4.実施時期については、平成12年(2000年)8月1日から試行を行い、本格実施は平成12年(2000年)10月1日からとする。
なお、試行の結果、問題等があれば協議する。
5.育児に携わる職員など特別の事情のある職員に対しては、経過措置として、試行期間中は、現行の勤務時間の規程を適用することとする。
6.生後1年以上1年3月未満の生児に係る育児時間及び妊婦の通勤時間を15分刻みで取得できるように制度の改正を行う。
Q7、今、私たちの勤務時間は、どうなっていますか?
A 1963年以来37年間にわたって、私たち教職員の勤務時間は、現行の実動7時間30分(休息・休憩時間を勤務の始めと終わりの方に置く・下図)が定着してきました。
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休息 |
勤務時間(実働7時間30分) |
休憩 |
休息 |
8:15 8:30 4:00 4:45 5:00
現在の勤務時間では、図の例のように8時30分に出勤、4時に退勤が可能になっています。休息時間は、勤務時間ですが監査結果でもこの時間に退勤していても違法ではないとしています。このことは、1964年と1967年に都教委と確認されています。
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(1964年了解事項) 3 休憩時間及び研修時間について (1) 休息時間及び研修時間は、正規の勤務時間に含まれる。 (2) 休息時間については、従来「勤務時間の始または終わりに与えてはならない」こととされていたが、今回の条例改正により「勤務時間の中に与える」こととされた。したがって、たとえば、午後の休息時間を一日の勤務時間の終わりの方で与えることもできる。 4 勤務の様態について 勤務は必要に応じ、必ずしも学校内ばかりではなく学校外でも行い得る。 (1967年確認事項) 1.勤務時間は、休息、休憩を一日の前後において、ひきつづき7時間30分を実働するという形で運用することを認める。 |
労基法上、休憩時間を勤務の途中に置かなければならないため、休憩時間のあとに、正規の勤務時間である休息時間を置くことで勤務時間の途中にとり、実働7時間30分の勤務時間を確立しました。
Q8 勤務時間や休憩・休息時間は法律で決まっているのですか?
A 基本は労働基準法(労基法)です。労基法は労働条件の最低基準を示す法律です。その上で国家公務員の労働条件は人事院規則で、地方公務員は条例で決められます。
都の条例は都議会で決めます。それが東京都の「学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例(勤務条例)」です。条例の内容をさらに細かく規定するのは、都教委が定める施行規則と解釈・運用(通知)です。
勤務時間などは労働条件の基本ですから、組合と都教委との確認が前提となります。都教委の一方的な確認破棄は許されません。
勤務時間
労基法では、1日8時間・1週間40時間です。都の勤務条例も95年以降は1日8時間・1週間40時間です。しかし教員は、文部省令で週44時間まで労働させることができるとされ、超過分の時間は長期休業中等に休む「まとめどり」方式を取っています。
休憩時間
労基法では6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分で、勤務条例も同じです。「8時間を超える」は「以上」ではないので、私たちの1日の休憩は45分です。
勤務条例第7条は「教育委員会は、勤務時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は、1時間・・・の休憩時間を・・・勤務時間の途中に置かなければならない」としています。
休憩時間の三原則(労基法第34条)
T. 一斉付与 U. 自由取得 V. 勤務時間の途中に与える
これは休憩を保証するための原則です。
一斉付与は、同じ学校(事業所)の、都が雇う学校職員(教員・都費事務職員・栄養職員)は、同じ時間に休憩をとるという原則です。
自由取得とは、休憩はどこで何をしてもよい,学校外に出てもよいという原則です。
勤務時間の途中とは、本来は、1日中休憩もなしに働かせることを防ぐための原則です。しかし,教職員の場合は昼の時間帯が給食指導の時間にあたることから、都では、労使の確認で1963年以降休憩を勤務時間のあとの方に、休息を勤務時間の終わりに置いてこの3つめの原則をクリアし、休憩・休息を実質的に確保する方法が取られてきました。これが現在の運用の勤務時間の割振りです。
一斉付与の適用除外に関する規定
この一斉付与原則の、適用除外の要件に関する労基法の条文が、98年改定され、従来の「労働基準監督署長の許可」から「事業場の労働者の過半数の代表との労使協定書面」となりました。これに伴い、地方公務員法(地公法)では、従来の「人事委員会の許可」から「条例に特別の定めがある場合」となりました。
都の勤務条例にはまだ「特別の定め」がありません。都教委の今回の改悪提案の2番目はこの適用除外規定を作ろうとするものです。
休息時間
休息は労基法にはなく、戦後公務員労働運動の成果として、人事院規則や各県の勤務条例に規定されたものです。
都の勤務条例第8条第1項は「教育委員会は、職務に支障のない限り、正規の勤務時間のうちに、その勤務時間4時間について15分の休息時間を置かなければならない」となっています。休息は週日は2回,土曜日は1回です。
休息は休憩と違い,勤務時間の一部で、給与の対象となる時間です。勤務条例第8条の2項は「休息時間は、正規の勤務時間に含まれるものとし、これを与えられなかった場合においても繰り越さない」としています。しかし、だからといって「休息は与えなくてもいい」ことにはならないのは、第1項の規定からして明らかです。
都と組合との勤務時間に関する確認事項
勤務時間は最も重要な労働条件のひとつなので、これまで組合は都教委との間で重要な確認を結んできました。これを都教委が一方的に破ることは決して許されません。
≪資料≫
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例、同施行規則の解釈運用に関する了解事項 (昭和39年1月4日確認事項)
2 休憩時間について
休憩時間は、児童、生徒の昼休み時間一斉に与え、または、個人ごとに割振り、もしくは、勤務時間のあとの方に置くことができる。
3 休息時間及び研修時間について
(1) 休息時間及び研修時間は、正規の勤務時間に含まれる。
(2) 休息時間については、従来「勤務時間の始めまたは終りに与えてはならない」こととされていたが、今回の条例改正により「勤務時間の中に与える」こととされた。したがって、たとえば、午後の休息時間を1日の勤務時間の終りの方で与えることもできる。
4 勤務の態様について
勤務は必要に応じ、必ずしも学校内ばかりでなく学校外でも行ない得る。
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都教組・都高教・都障教組・都高職組・都教委人事部長間の確認
Q9 勤務時間の割振りについて都教委・地教委・校長はどのような権限を持っているのですか?
A 私たち都費負担教職員(教員・都費事務職員・栄養職員)の任命権者は都教委です(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)第37条)。第42条は「県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、都道府県の条例で定める」とし、都教委がこれらの勤務条件に責任と権限を持つことになっています。
同時に私たちは区市町村立学校の教職員なので、地教委はその服務監督権を持っています(地教行法第43条)。しかしその服務監督は都教委が制定する条例の範囲内で行なうものです。同時に、都教委は地教委が行なう服務監督について、「技術的な基準を設けることができる」(地教行法第43条)ので、原則は都教委が示すことになります。
1日の勤務時間の割振りについては、都教委が地教委に委任し、地教委からさらに校長へ権限委任しています。校長は学校の実態を踏まえて、勤務時間の割振りを定めることになっています。
しかし校長はどのようにでも勝手にできるのではなく、条例や都教委の「技術的な基準」の枠内で決めるという制約を持っています。
現在一部の学校で都費事務職員の休憩を、一斉付与の適用を除外して一人だけ昼に割振っているのは条例違反にほかなりません。
この割振りは最低1年間の長期間固定することが原則であり、行事、会議、夏休み等々の業務の都合で変更することはできません。
勤務時間は重要な労働条件ですから、校長は勤務時間の割振りを一方的に変えることはできません。変える場合は、組合(分会)または職場の教職員の代表との話し合いが必要なのは当然です。
Q10、私たちの勤務実態は今、どうなっていますか?
A 実働7時間30分の勤務時間が保障されているといっても、私たちの勤務実態はどうでしょうか。最近のアンケート結果でも9〜10時間(グラフ参照)が最も多くなっています。
このグラフからもわかるとおり、実際の勤務時間は約2時間の超過勤務になっています。
しかし、私たちには超過勤務手当てもなく、すべてがサービス残業になっているわけです。4%の教職調整額が超勤手当だと主張する管理職がいますが、それは正しくありません。1971年に「給特法」が制定された時に、教育職員は、原則として「超過勤務」「休日勤務」はさせないことになりました(都条例45条)。例外は、次の4項目とされ、臨時または緊急やむを得ない必要があるときに限るとされました。
その限定4項目は、
@ 生徒の実習に関する業務(職業高校の航海実習などの場合)
A 学校行事に関する業務(修学旅行などやむを得ないもの)
B 教職員会議に関する業務
C 非常災害等やむを得ない場合に必要な業務とは、非常災害の場合に必要な業務で児童、生徒の負傷疾病等人命にかかわる場合の業務であること。
これらの時間外勤務をさせる場合には、「学校運営が円滑、適正に行われるよう、関係教育職員の繁忙の度合い、健康状況等を勘案し、その意向を十分尊重して行うようにすること。」と都教委は定めています。また、限定4項目の超過勤務が生じた場合は、速やかに当該時間の調整をすることにもなっています。 (46教人勤発第281-2号)このことでもわかるとおり、教職調整額は超勤手当てではないし、原則として私たちに時間外勤務をさせてはならないことになっているわけです。
今回の都教委の提案は、こうした日常的な超勤をさせている違法な状態を放置し、実質的な勤務時間の延長によって保育や介護、通院などの事情を抱える人までも5時までの勤務を強いようとするものです。
ほとんどの職場で運用の勤務時間が定められています。
また、職場の勤務時間アンケートによると93%の職場で7時間30分の運用の勤務時間の割振りが認められています。こうした実態がある中で都教委が改悪提案を強行することは理解できません。組合にたいして、この勤務時間を守ってほしいという考えの人が、アンケートでも8割近くに達し、この問題の切実さと東京教組への期待の高さを示しています。
Q11 全国の様子や、日教組としての課題は何ですか?
A 日教組大会などでは、勤務時間の短縮が全体の課題になっています。
他府県や各政令都市ではそれぞれに勤務時間問題を課題にしています。東京をはじめ休憩・休息時間を始業時や勤務の終了時間に連続させているところももちろんあります。横浜市のように住民監査請求により、勤務時間の割振りが変更され休息時間が勤務の途中に入れられたところもあります。
他府県では休憩・休息時間は勤務時間の途中に割振られている場合が多いようです。しかし、途中に割振られた休憩・休息がとれないのも実情です。休憩時間(45分)を昼食後に置き児童・生徒は長い昼休み時間という例もあります。この場合児童・生徒の下校時刻は東京よりずっと遅くなり、教職員の退勤時刻は、5時頃です。
全国的に見ると、東京と同様教職員の時間外労働をいかに削減するかが大きな問題です。また、中学校の勤務時間外の部活動も問題になっています。
組合は今、年間1800時間労働の達成を目標に勤務時間削減のために運動をしています。この目標は政府の公約でもあります。私たちの勤務でいうと、勤務時間外の仕事をゼロにして、かつ年休の20日を完全に消化した時に達成できる時間です。
都教委の提案は、労働時間短縮とは全く逆行したものです。私たちは全都、全国の仲間とともに都教委の提案をはねかえしていきましょう。
Q12、東京教組や各単組はどのようにとりくんでいくのですか?
A 東京教組は、勤務時間改悪の都教委提案の白紙撤回をめざしてとりくんでいます。しかし白紙撤回を勝ち取ることは簡単なことではありません。全都のすべての職場から怒りの声が結集され、大きなうねりを起こさなければ、この闘いに勝利することはできません。
わたしたちの闘いの出発点として、職場のすべての教職員が、
攻撃の内容を正確につかみ、反撃の根拠を確立することが必要です。このパンフレットを活用し、分会で学習を深めましょう。
今回の攻撃によって、過酷な勤務を強いられているわたしたちの労働条件はさらに悪化し、健康破壊がすすみます。特に育児・介護・病気等を抱える弱い立場の人は切り捨てられることになります。今回の都教委提案は、子どもにとっても教育にとっても決してプラスにならず、大きなマイナスとなるものです。
管理運営規則の改悪、給与の4%削減、人事考課の強行導入につづいて今度は勤務時間の改悪です。わたしたちの忍耐にも限度があります。都教委に対する怒りを確認し合いましょう。
勤務時間の問題は、わたしたちの労働条件の根幹をなすものですから、交渉事項であることは都教委も認めています。
東京教組は日教組4単組(都高教・都校職組・都障労組)と緊密に連携しながら闘いをすすめます。また、あらゆる組合と可能な限り共闘を追求します。休憩・休息時間を取れるように保証する責任は、任命権者である都教委にあります。徹底的に都教委を追及しましょう。
都教委は今回、都の勤務条例を改悪して労基法に定められている「休憩時間の一斉付与の原則」を崩そうとしています。教職員の分断をねらうこの条例改悪を許してはなりません。都教委交渉を強め、都議会に対する働きかけを行い、休憩時間の一斉付与の原則を守り抜きます。
東京教組・各単組の当面の具体的とりくみは次の通りです
10月1日には、都庁職の新しい勤務時間が本格実施となります。都教委の攻撃はこれに合わせて一段と強まることが予想されます。従って、9月の1ヶ月間に、闘う体制を整えなければなりません。
1.都教委交渉・地教委交渉を強化します。
2.すべての教職員の署名運動にとりくみます。
3.組合員1人1枚、都教育長宛てはがき運動にとりくみます。
4.都庁前集会にとりくみます。
5.パンフレット・全教職員配布ビラ・ウイークリー・各単組機関紙等を通じて、情宣活動を強化します。
6.勤務時間改悪反対のステッカーを作成します。
7.単組・ブロック・分会の学習会にとりくみます。
8.勤務時間改悪反対のティシュとティッシュケース作戦にとりくみます。
9.日教組4単組を中心に、あらゆる組合と可能な限り共闘を追求します。
10.都の勤務条例が改悪されていないにもかかわらず、「一斉付与の原則」を無視した勤務時間の割振りを行っている学校に対して、早急に是正を求めます。
以上のとりくみを通じて、闘う体制を早急に確立しましょう。
Q13、職場で今、とりくむことはなんですか?
A まずこのパンフレットを使って、勤務時間問題の学習を深めることが大切です。個人で学習することも重要ですが、組合員でない人にも呼びかけて学習会を行いましょう。
攻撃はすでに各職場で始まっています。管理職は、都教委の動向を見て敏感に対応しています。管理職の「5時までは拘束時間です。学校にいるように。」とか「4時に退勤するなら休暇届を出せ。」といった発言には、単組や東京教組と連携して撤回を迫りましょう。
具体的に、次のことにとりくみましょう
1.勤務時間攻撃に関する学習会を開き、できる限り広く呼びかけてみんなで話し合いましょう。
2.勤務時間改悪反対の輪を広げる中で、職場の全員に組合加入を呼びかけましょう。
3.都教委提案を先取りして、運用勤務時間の見直しを既に行っている職場や、休憩時間の一斉付与の原則を既に変えている職場、また現在その攻撃を受けている職場では、単組と連絡を取り合って校長交渉を行い、撤回を迫りましょう。
4.9月中に職場全員署名にとりくみましょう。
5.教育長宛ての要請はがきをだしましょう。
6.勤務時間改悪反対のステッカーを職員室に掲示しましょう。
7.勤務時間改悪反対のティッシュ・ティッシュケースを職員室の自分の机に置き、意志表示をしましょう。
8.都庁前集会に職場の仲間を誘って結集しましよう。