Plastics
[2006/10/1]

プラスチック材料と応用

目次

〔T〕総論 1 プラスチック序論 1 1.1 プラスチックとは 1 1.2 プラスチックの種類と特徴 2 1.3 プラスチック工業化年譜 4 2 高分子の合成法 7 2.1 縮合重合 7 2.2 付加重合 7 2.3 重付加 7 2.4 付加縮合 8 2.5 開環重合 8 3 高分子の構造と物性 8 3.1 分子量と分子量分布 8 3.2 分子量と物性 9 3.3 結晶性 9 3.4 非晶性 9 3.5 結晶構造 10 4 力学的性質 11 4.1 応力−歪曲線 11 4.2 充填剤との複合効果 13 4.3 応力−歪曲線に影響する諸因子 13 4.4 クリープと応力緩和 13 4.5 耐衝撃性 14 4.6 疲労 15 4.7 摩耗 16 4.8 硬さ 17 4.9 ストレスクラッキング 18 5 電気的性質 18 6 化学的性質 18 6.1 ポリマー分子の化学的構造の影響 18 6.2 ポリマーの劣化と分解 19 7 熱的性質 19 7.1 転移 19 7.2 比熱 19 7.3 熱伝導 20 7.4 熱膨張率 20 7.5 耐熱性 20 8 プラスチック鑑別法 21 9 副資材 21 9.1 可塑剤 22 9.2 安定剤 22 9.3 着色剤 22 9.4 充填剤 22 9.5 滑剤 23 9.6 帯電防止剤 24 9.7 難燃剤 25 9.8 発泡剤 26 9.9 抗菌・防カビ剤 26 9.10 衝撃強化剤 27

引用文献 28

〔U〕プラスチック材料各論 [熱硬化性樹脂] 1 フェノール樹脂(PF) 29 2 ユリア樹脂(UF) 31 3 メラミン樹脂(MF) 32 4 シリコーン樹脂(SI) 33 5 エポキシ樹脂(EP) 34 6 不飽和ポリエステル(UP) 35 7 アルキド樹脂 36 8 ウレタン樹脂(UPR) 37

[熱可塑性樹脂] 9 ポリ塩化ビニル(PVC) 39 10 ポリスチレン(PS) 41 11 スチレン/アクリロニトリル樹脂(SAN) 43 12 アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS) 44 13 ポリメタクリル酸メチル(PMMA) 46 14 ポリエチレン(PE) 47 15 ポリプロピレン(PP) 49

[エンジニアリングプラスチック] 16 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) 51 17 テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP) 52 18 テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA) 53 19 ポリアミド6(PA6) 54 20 ポリアミド66(PA66) 55 21 ポリカーボネート(PC) 56 22 ポリアセタール(POM) 58 23 ポリイミド(PI) 60 24 ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン) 61 25 ポリフェニレンスルフィド(PPS) 62 26 ポリブチレンレテフタレート(PBT) 63 27 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE) 64

[その他] 28 生分解性プラスチック 65

引用文献 66

〔V〕プラスチックの成形加工法 1 各種プラスチックと適用されている成形加工法 67 2 成形加工法および機械 67 2.1 圧縮成形 67 2.2 トランスファ成形 68 2.3 積層成形 69 2.4 射出成形 69 2.5 押出成形 71 2.6 吹込成形 73 2.7 カレンダ成形 74 2.8 注型 75 2.9 ペースト技術 75 2.10 粉末技術 76 3 成形用金型 77 3.1 射出成形用金型 77 3.2 押出成形用金型 78 4 強化プラスチックの成形 80 4.1 ハンドレーアップ法 80 4.2 スプレーアップ法 80 4.3 マッチドダイ法 80 4.4 プリミックス法 81 4.5 SMC法 81 4.6 コールドプレス法 81 4.7 フィラメントワィデング法 81 4.8 引抜成形法 82 4.9 連続積層法 82

引用文献 82

〔W〕プラスチックの劣化 はじめに 1 建築設備に使用される主なプラスチック 83 1.1 ポリ塩化ビニル(PVC)管 84 1.2 塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)管 85 1.3 ポリエチレン(PE)管 85 1.4 架橋ポリエチレン(PEX)管 85 1.5 ポリブテン(PB)管 85 2 劣化を進める外的要因・メカニズム 86 2.1 熱 86  2.1.1 プラスチックの熱分解 86  2.1.2 ポリ塩化ビニル系樹脂の熱劣化 87  2.1.3 オレフィン系樹脂の熱劣化 87  2.1.4 使用時の熱劣化 88 2.2 紫外線 88 2.3 化学薬品 89 2.4 塩素水 89 2.5 応力 90  2.5.1 クリープ 90  2.5.2 ストレスクラッキング 91  2.5.3 ソルベントクラッキング 91 2.6 その他 92  2.6.1 加水分解 92  2.6.1 微生物 92 3 劣化を進めない方法と解説 92 3.1 材料による劣化防止 92  3.1.1 ポリエチレンの開発 92  3.1.2 酸化防止剤 92  3.1.3 紫外線吸収剤、光安定剤、光遮蔽剤 92 3.2 製品設計による劣化防止 93 3.3 配管・施工による劣化防止 93 おわりに

引用文献 93 以上

〔T〕総論 1 プラスチック序論 1.1 プラスチックとは 高分子化学の分野では、分子量の大きさで化合物を次の三つに大別している。 ・ 低分子(オリゴマー):分子量1,000以下 ・ 中分子(プリポリマー):分子量1,000〜10,000 ・ 高分子(ポリマーまたはハイポリマー):分子量10,000以上 高分子化合物は低分子化合物にない物理的・化学的特性を持つのが特徴で、後述するように、耐熱性、耐薬品性、機械的強度などは分子量の増大とともに顕著に向上する。  ここで言葉の説明をすると、「プラスチック」の用語はJIS K6900-1994(ISO472:1988では“必須の構成成分として高重合体を含み、かつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料”とされ、次のような注が加えられている。 @ 同様に流れによって形を与え得る弾性材料は、プラスチックとしては考えない。 A いくつかの国々、特にイギリスにおいては、公式の見解は現在、用語“プラスチック”を複数形はもちろん、単数形として使用することの選択の自由も許されている。 また、しばしば用いられている「樹脂」は“不明確でかつしばしば高い相対分子量を有し、応力を受けると流動する傾向を示し、通常は軟化または溶融範囲を持ち、かつ通常は貝殻状に割れる固体、半固体、または凝固体の有機材料。広義にはこの用語はプラスチック用の基盤材料である幾らかの重合体を明示するためにも使用される”と説明されている。  一般に化学プラントから製造されるポリマー(高分子材料)は、そのままでは製品製造材料として使用されず、種々の加工がなされている。例えば、流動挙動の最適化(成形性の最適化)や成形時の高温度における材料劣化防止、また、着色や使用中における性能向上(例えば耐候性や帯電防止など)を目指して各種の配合剤が添加されている。このように成形加工しやすく、製品特性が良くなるように考えて調整された材料を「成形材料」と呼んでいる。  高分子材料ではプラスチックに含まれないものに、ゴムと繊維がある。ゴム(エラストマー)は非常に大きな弾性変形と低いヤング率を示す。ゴム弾性を示すには、分子は線状であり、分子間にわずかな架橋構造が存在し、非結晶性で、分子間に働く、引き合う力(分子凝集力)が小さくなければならない。この架橋には硫黄などによる化学結合がもっぱら用いられていたが、近年、成形性の向上と易リサイクル化を目的に、化学的な架橋の代わりに物理的に主鎖を拘束すること(物理的架橋)によってゴム弾性を発現する熱可塑性エラストマーも実用化されている。物理架橋の場合、再加熱によって分子凝集力が大きく減少して再溶融し、最成形が可能となる。物理架橋を行うためには芳香環のような剛性が大きく、凝集しやすい構造単位を主鎖に部分的に導入するか、液晶形成単位(メソーゲン;p.191、第2編の液晶プラスチックを参照)や結晶化しやすい極性基などの導入が効果的である。  繊維には、大きな引張強さと弾性率が要求される。そのためには、分子は対称性であり、大きな分子凝集力およびそれと関連した高い結晶性を持たなければならない。さらに、繊維にはその長さ方向に優れた特性を発揮するように、延伸が加えられている。  プラスチックの性質は、ゴムと繊維の中間であるとも言える。分子凝集力はゴムよりも大きく、繊維よりも小さい。ポリアミドやポリエチレンテレフタレート(PET)の繊維では、分子は延伸されて一方向に配向しているが、同材料からなるプラスチック成形品では主に無配向である。しかし、ガスバリヤー性、強度、透明性、寸法安定性などを高めるために、PETボトルやビデオテープなどでは二方向に配向(二軸延伸)した状態で使用される。  分子凝集力は表1に示すようにゴムが最も小さく、プラスチック、繊維の順に大きくなる。ポリエチレンは分子構造がゴムに似ており、分子凝集力が小さいにもかかわらず、ゴムではなくプラスチックの性状を示している。この矛盾は、ポリエチレンでは側鎖が小さくて少ないために結晶化しやすいからである。なお、ゴム、プラスチック、繊維の境界は次第に不明確になりつつある。例えばPETのようにプラスチック材料と繊維の両方に使用されている材料が増加している。

表1 高分子の比分子凝集力 種類 高分子 比分子凝集力 ゴム ポリブタジエン 1.1 天然ゴム 1.3 プラスチック (14) ポリエチレン 1.0 (10) ポリスチレン 4.0 (9) ポリ塩化ビニル 2.6 繊維 繊維素 6.2 ポリアミド 5.8 生糸 9.8

1.2 プラスチックと種類と特徴 プラスチックは軽く、成形しやすく、複雑な形状の製品でも少ない工程数でつくることができ、一般的には電気絶縁性、断熱性、耐水または耐油、耐薬品性に優れているという特徴がある。  また種類が多い。例えば、透明なものから不透明な材料、包装用フィルムに使用される室温で柔らかいものから、防弾チョッキに使用される高弾性率の材料、200℃以下で溶融するものから溶接機や特殊な電子機器に使用されている300℃の使用に耐える材料まで、また、水溶性ならびに超高吸水性材料から疎水性で有機溶剤可溶なものなど、種々の材料がある。さらに発泡体の製造も容易である。従って、使用目的に合致した材料選択が可能であるのも大きな長所である。しかしながら、高負荷下で長期使用する場合、使用温度300℃が将来的にも限界であり、火災時には燃焼ガスや煙を出し、クリープしやすく、表面硬度が小さいなどの欠点がある。  プラスチックを大別すると、熱硬化性プラスチックと熱可塑性プラスチックとなる。前者は、成形時に加熱などで化学反応を起こさせて分子量を増加させていくと硬化し(三次元化、網目化)、再加熱しても軟化溶融せず、溶剤のも不溶となる(不溶不融化)。一方、後者は蝋のように、加熱すると溶融し、冷却すると再びもとの硬さに戻り、加熱と冷却による溶融⇔固化が可逆的で、ほとんどの材料は溶剤に可溶である。これらの特徴を図1に示すが、重要なことであるのでもう少し詳しく述べる。  熱硬化性プラスチックの樹脂原料(成形材料)は比較的低分子量で、化学反応をする手(官能基)の数が3以上の化合物(液体または固体)から成っている。室温では液体か少しの加熱で液体となって流動性を示し、その粘度は温度の上昇に伴って激減する。硬化剤や触媒または熱の作用によって、化学反応する手が結び合って分子量が増大する。結び合う手が1分子当たり3以上あるので、ある程度分子量が大きくなると枝分かれを生じ、流動性を失うようになる(ゲル化)。さらに手が結び合って(硬化反応、架橋反応)枝分かれの枝が多くなると次第に網目状になり(三次元網目構造)、網目が密になって成形温度でも十分な強度を持つようになって成形が完了する。構造が三次元網目であるので、溶剤を加えても分子各々が解きほぐされることがないので溶解せず、加熱しても軟化・溶融しない。いわゆる不融不溶性である。

図1 熱硬化性プラスチックと熱可塑性プラスチックの相違

 成形加工では、成形材料を加熱などによって流動化し、加熱された金型内に入れ、その場所で硬化反応(架橋反応)を起こさせて三次元網目構造とし、金型温度において変形しない耐熱性となった時点で製品を脱型する。したがって、製品(硬化物)となった後は再加熱による再成形は不可能である。網目構造が緻密になるほど(架橋密度が大きくなるほど)プラスチックの耐熱性、耐溶剤性などが向上する反面、脆くなる傾向がある。成形が化学反応に因るので、成形サイクルは比較的長い。耐熱性に優れ、表面硬度も大きいが、脆いことが欠点である。硬化収縮の低減と脆性の改善のため、一般には充填材や強化材を併用する。  熱可塑性プラスチックは化学反応をする手(官能基)を持たない線状で、分子量が数万以上の高分子量の固体である。加熱に伴って分子の運動が活発になり、軟化、溶融する。また、適当な滑剤を加えると、溶剤分子がプラスチックの分子に取り付いて、その分子間の相互作用を減少させ、その結果、分子は分子間の絡み合いから解放されて溶剤分子の海の中でばらばらになり溶解する。したがって、可溶可融性であるのでリサイクル性に優れている。  熱可塑性プラスチックには、結晶性と非晶性(無定形)の材料があり、耐溶剤性や硬度は概して前者の方が優れている。結晶性プラスチックには結晶領域と非晶領域(強度や耐熱性は結晶領域より劣る)があり、ガラス繊維などの強化材を添加すると、結晶領域が強化材で保持されるので、結晶性プラスチックの耐熱性(荷重たわみ温度)や機械強度は大きく向上する。  現在上市されている主なプラスチックは40種近くあるが、市場における樹脂への要求性能は高まる一方である。しかし、要求性能に合致した高性能な新規樹脂を数多く開発することは非常に困難であるので、既存のプラスチックの組み合わせ(ポリマーブレンドやアロイ化)による性能向上が数多く試みられ、実用化されている。プラスチック材料は一般には相互に非相溶であるので、溶融時に強力に混練して均一に溶解させても(相溶化)、冷却時に相分離して比較的大きな粒塊となり、強度は激減する。そのために、異種材料間に作用して相互の親和力を高める相溶化剤を添加すると、異種材料は冷却後も数ミクロンの微粒子で安定に存在するので(ミクロ相分離)、物質はそれぞれの値よりも大きく向上する。いわゆる相乗効果が発揮される。このような系をポリマーアロイと言い、家電や自動車部品に多用されている。また、近年開発された一群の液晶ポリマーも、価格の低下によって実用化の機運に拍車がかかっている。  一方、廃プラスチックがもたらす環境問題に対しては、産業廃棄物ならびに一般廃棄物ともに分別収集と再利用技術の社会システムの確立が肝要であり、また、微生物分解性の良いプラスチック材料の実用化も活発化するであろう。  現在使用されている主要プラスチックについて特徴および用途を簡単にまとめると、表2のようになる。

1.3 プラスチック工業化年譜 プラスチックとして最も古い歴史をもつものはセルロイドである。1870年アメリカのハイヤットがニトロセルロースに樟脳を加えて初めてプラスチックを得ることに成功し、義歯用仮床としての用途が開発された。 1909年にベルギー生まれのベークライトがフェノール樹脂の工業化に成功した。この樹脂はその名にちなんでベークライトと命名された。 わが国で第2次世界大戦終戦までに工業化されたプラスチックにはセルロイドを除くとアルキド樹脂、ユリア樹脂、酢酸ビニル樹脂、メタクリル樹脂、スチロール樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂などがあるが、これらの樹脂はいずれも軍需方面などの特殊な用途に限られ、生産量も少なかった。たとえば航空機風防ガラスとしてのメタクリル樹脂、木材接着剤としてのユリア樹脂、高周波絶縁体としてのスチロール樹脂などのように、原料高、生産技術の幼稚さのために用途面が限定されていた。これらのプラスチックはいずれも欧米において開発され、その性能が高く評価されるにつれ、わが国でも研究が盛んとなり、また技術導入されるなどして生産が開始されたものである。戦後今日までその他多種類のプラスチックが研究開発されているが、わが国で工業化を初めて行ったものはない。しかし新しい生産技術の確立などによって、大量生産、価格の低下などに貢献している面が多い。表3にプラスチックの工業化の年譜を示す。

表3 プラスチックの工業化年譜 プラスチック名 世界最初の工業化年 国名 日本における工業化年 セルロイド 1870 アメリカ 1908 (1) フェノール樹脂 1909 アメリカ 1914 (7) アルキド樹脂 1914 アメリカ 1931 (2) ユリア樹脂 1922 ドイツ 1935 酢酸ビニル樹脂 1923 アメリカ、ドイツ 1936 (13) メタクリル樹脂 1930 アメリカ、ドイツ 1938 (10) ポリスチレン 1930 ドイツ 1941 (9) 塩化ビニル樹脂 1931 ドイツ 1941 (3) メラミン樹脂 1935 ドイツ、スイス 1943 (14) ポリエチレン 1938 イギリス 1958 (8) ウレタン樹脂 1939 ドイツ 1955 塩化ビニリデン樹脂 1940 アメリカ 1950 (19)(20) ポリアミド 1941 アメリカ 1943 (6) 不飽和ポリエステル 1942 アメリカ 1953 (4) シリコーン樹脂 1942〜3 アメリカ 1952 (11) AS樹脂 1942 ドイツ 1960〜1 フッ素樹脂 1942 アメリカ 1953 (5) エポキシ樹脂 1943 スイス、アメリカ 1956 ジアリルブタレート樹脂 1946 アメリカ 1962 (12) ABS樹脂 1948 アメリカ 1963 (22) ポリアセタール 1953 アメリカ 1968 (15) ポリプロピレン 1957 イタリア、ドイツアメリカ 1962 (21) ポリカーボネート 1958 ドイツ 1961 ポリスルホン 1965 アメリカ − ポリフェニレンオキサイド 1966 アメリカ −

2 高分子の合成法 高分子を合成するには一般に簡単な低分子化合物をつくり、これを共有結合で何百、何千と結合することが必要である。この反応を重合反応、生成する高分子化合物を重合体、出発物質となる低分子化合物(単量体)の反復の数を重合度と呼んでいる。 現在低分子から高分子を生成する最も広く使われている方法は縮合重合、付加重合で、その他に重付加重合、付加縮合、開環重合などの高分子反応がある。 表4 合成法の分類 副生成物 低分子化合物 1種類 2種類以上 無 A付加重合 B重付加重合 C付加縮合 有 @縮合重合

2.1 縮合重合 水(H2O)、アンモニア(NH3)、炭酸ガス(CO2)などを分離しながら重合する。

2.2 付加重合 炭素、炭素二重結合を持つオレフィンを適当な条件で反応させると二重結合が開いて、オレフィン分子が共有結合で結ばれ重合体をつくる。たとえばスチレンは次式のように重合してポリスチレンが得られる。 付加重合は連鎖反応で進み、ラジカル重合と、イオン重合に区別される。

2.3 重付加重合 イソシアネート(R-N=C=O)をもつ化合物と活性化水素をもつ化合物の間の付加反応

2.4 付加縮合 フェノール、ユリア、メラミン、キシレンなどはホルムアルデヒドと反応して熱硬化性樹脂を生成する。

2.5 開環重合

3 高分子の構造と物性 3.1 分子量と分子量分布 (重合体の分子量)=(短量体の分子量)×(重合度)

分子量(万) 図2 塩化ビニル樹脂の分子量分布曲線の例

3.2 分子量と物性

図3 高分子の平均重合度の違いによる物性の変化を示す例 (試料は酢酸ビニルを少し共重合させたポリ塩化ビニル。MIBK:メチルイソブチルケトン)

3.3 結晶性 結晶構造をとる高分子

3.4 非晶性 結晶構造をとりえない無定形状態を保った高分子

非晶性高分子の一般的な性質 @分子主鎖に沿って無秩序な立体配置で大きな側鎖が付いている。 A分子に枝分かれが多い。 B分子同志が互いに橋掛けされている。

3.5 結晶構造

図4 総状ミセル構造模型 (太い線が並行に並んでいるところは結晶部分を示す。)

図5 ポリエチレン単結晶の折りたたみ構造

図6 ポリエチレンの結晶構造

図7 ポリエチレンのラメラ晶束間、球晶間の tie-linkの電子顕微鏡写真スケッチ(Keithらの実験)

4 力学的性質 4.1 応力−歪曲線

図8 応力−歪曲線

図9 引張試験片の破壊の形態

表5 応力−歪曲線のタイプによるプラスチックの分類 タイプ 特徴 特徴 実例 引張弾性率 引張強さ 伸び その他 A 柔らかくてもろい 小 小 中 高分子の柔らかいゲル、チーズ状材料 B 硬くてもろい 小 中〜大 小 降伏点以前で破断 (14) 一般ポリエチレン(13) メタクリル樹脂(1) フェノール樹脂 C 硬くて強い 大 大 中 降伏点付近で破断 (9) 硬質塩化ビニル樹脂(11) AS樹脂 D 柔らかくて粘り強い 小 中 大 降伏点は低く、カーブは平坦 (9) 軟質塩化ビニル樹脂(14) 低密度ポリエチレン 中 中〜大 大 (14) 高密度ポリエチレン(15) ポリプロピレンフッ素樹脂(12) ABS樹脂 E 硬くて粘り強い 大 大 大 降伏値大 (12) ABS樹脂(22) ポリアセタールポリフェニレンオキサイド(19)(20) ポリアミドポリサルホン(21) ポリカーボネート酢酸繊維系

4.2 充填剤との複合効果

図10 プラスチックを母体としたフィラメントで一方向 強化した複合材料の応力―歪曲線

4.3 応力−歪曲線に影響する諸因子 標準試験方法 試験片の形状寸法(ノッチの有無) 試験片の作成条件(成形方法) 試験片の状態調節(温度、湿度) 試験条件(温度、湿度、試験機、荷重、変形速度など) a:成形条件(成形条件によって力学的性質が変わる) 熱履歴:成形時の温度条件 分子配向、金型デザイン、成形条件により分子配列に偏りが生じる 成形後の熱処理:残留応力が除かれる、耐ストレスクラック性が改善される。 b:温度と湿度:試験条件自体が力学的性質に及ぼす影響 c:変形速度

4.4 クリープと応力緩和 (1) クリープ プラスチックの棒状試験片にその試験片が破壊しない程度の大きさの引張り荷重をかけたと仮定する。その時、試験片はただちにある程度伸びた後、それ以上の寸法変化を示さないように見える。しかし、その一定の荷重をかけたまま、さらに長時間放置したとすると試験片は時間の経過とともに少しずつ伸びを増大する性質を持っていることがわかる。 このように引張り、圧縮もしくは曲げの一定荷重下でプラスチックが時間の経過につれて変形を続ける現象をクリープと呼ぶ。 このような現象は金属材料では特殊な場合以外はあまり問題とならないがプラスチックを機械・構造材料として使用する場合にはこれを無視することはできない。

(2) 応力緩和 プラスチック試験片を引張ってある程度伸ばしたとする。試験片は当初その変形に対応する応力を示すが、時間の経過とともにその応力は減少する傾向を示す。したがって一定の伸張状態に保持し続けるに要する力が小さくてすむようになり、ついにはゼロに近づく。このように長時間一定の歪を受けているうちに材料内部の物理的変化により応力が減少していく現象を応力緩和と呼ぶ。

4.5 耐衝撃性 単一素材によるプラスチックでは耐衝撃性が乏しい場合が多いが、異種のポリマーを混合することによって著しく耐衝撃性が向上する場合が多い。ABS樹脂耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)耐衝撃性ポリ塩化ビニルなど、その例である。

図11 アイゾット衝撃試験機        図12 試験片支持と打撃法

       図13 アイゾット衝撃試験片の形状

    図14 シャルピー衝撃試験機

         図15 シャルピー衝撃試験片の形状

4.6 疲労 材料に力、あるいは歪を周期的に多数加わると、材料が劣化し、破壊に至る。

   図16 繰り返し応力あるいはひずみの種類

    図17 回転曲げ疲れ試験機           図18 荷重回転曲げ疲れ試験機

     図19 一定ひずみ平面曲げ疲れ試験機     図20 クランク式平面曲げ疲れ試験機

    図21 遠心式平面曲げ疲れ試験機        図22 ねじり疲れ試験機

4.7 摩耗 ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンなどは摩擦係数がかなり小さい。

図23 円筒接触によるすべり摩耗試験機(A法) 図24 丸棒接触によるすべり摩耗試験機(B法)

 図25 平板接触によるすべり摩耗試験機(C法)

4.8 硬さ 金属に比べかなり劣る。

4.9 ストレスクラッキング

       図26 ベント・ストリップ法

      図27 ポリエチレン管のストレスクラック試験法

5 電気的性質 ・ プラスチック材料:電気的特性が優れている。特に絶縁材料として。 ・ 誘電現象:プラスチック材料に直流電圧を印加した際、材料内に吸収される電流がある。この吸収された電流は材料内に正負の電荷が生じる。材料内部に形成される電場の強さは材料の種類によって決まっている。つまり誘電能力が材料によって異なる。

6 化学的性質 6.1 ポリマー分子の化学的構造の影響 (1) 炭素水素構造 炭素水素系のポリマーは多くの化学薬品に安定。しかし強い酸化剤には抵抗性がそれ程大きくない。 特に側鎖の付加している第3級炭素原子に結合された水素原子は不安定でラジカル的な反応によって攻撃を受けやすい。 (2) エーテル結合 C-C結合に次いで耐薬品性の強い結合。酸化性酸以外、概して安定。強靭で衝撃にも強い。 (3) エステル結合 加水分解されやすい。この結合を主鎖または側鎖に有するポリマーでは耐薬品性はあまり期待できない。 (4) 酸アミド アルカリに強いが、酸で加水分解。フェノール、ギ酸などの極性の強い溶剤に溶解。無極性の炭化水素溶剤に溶けにくい。吸湿性が強い。 (5) ウレタン結合 加水分解されやすい。酸、アルカリ、高温水に弱い。 (6) 酸性基、塩基性基 −OH、−COOH:酸に強い。アルカリに弱い。 −NH2 :酸に弱い。アルカリに強い。 (7) ハロゲン C-HのH原子をハロゲンで置換すると、耐薬品性が向上。耐候性もよくなる。 ハロゲン導入で難燃性向上。

6.2 ポリマーの劣化と分解 ポリマーは熱、光、酸素、オゾン、放射線、微生物などの作業により分子構造が次第に変化したり、主鎖が切断されたりして実用性能が低下していく。このように実用性能の低下を防止するため各種添加剤が使用される。反面、不用になったプラスチックを日光、酸素、あるいは微生物などの自然作用によって分解させる目的で崩壊性高分子に関する開発研究も各国で進められている。ポリビニルアルコール、ポリウレタン可塑剤などに対して活性のある微生物が存在することはすでに発見されているが、ポリマーの分子構造と微生物活性との関係についてはまだ明らかにされていない点が多く、この分野での発展は今後の研究成果に期待されている。

7 熱的性質 7.1 転移 プラスチックの温度を上げていった時、その状態(例えば比容積m3/kgなど)がある温度で非連続的に変化することを転移といい、その温度を転移点という。 ガラス転移Tg(ガラス状⇔ゴム状)   化学構造   共重合 Tg=v1Tg1+v2Tg2   可塑化 Tg=v1Tg1+v2Tg2(可塑剤Tg=−50℃) 融解(一次転移)Tm(固体 ⇔ 液体)

7.2 比熱 比熱は、1gの物体が温度を1℃上げるのに要する熱量でcal/g℃[SI:J/kg・K]で表される。 プラスチックの比熱は、銅の3〜6倍、ガラス、磁器、Alの1〜3倍 プラスチックの比熱は温度の上昇とともに増加する。

7.3 熱伝導 熱伝導は、温度差1℃、断面積1cm2、厚さ1cmの材料を1秒間に流れる熱量でcal/cm・sec℃[SI:W/mK]で表される。 熱伝導係数k ガラス、磁器、水の1/10、鉄の1/1000  →熱の遮断材として用いられ、断熱、保温効果がある。

7.4 熱膨張率 耐熱膨張率は、比容積(m3/kg)の温度による変化の割合を熱膨張率、長さの温度による変化の割合を線膨張係数という。  プラスチックの線膨張係数は、鉄、銅の3〜10倍、ガラス、磁器の4〜40倍。  無機質を充填すると線膨張係数が減少する。  温度依存性があり、転移点で急変する。

7.5 耐熱性  物理的耐熱性は、高温において物理的変化の起こし難さ。   →熱変形温度、軟化温度、Tgが高いこと。  化学的耐熱性は、高温において酸化されたり、熱分解のし難さ。   →耐熱試験、熱天秤

8 プラスチックの鑑別法 燃焼試験による鑑別法を次表にまとめる。 表6 燃焼試験 区分 合成樹脂名 燃焼の難易 炎を去っても燃え続けるか 炎の性状 プラスチックの状態 臭い 熱硬化性樹脂 (1) フェノール樹脂 難 否 黄色、スパーク ヒビワレ、色が深くなる 強いホルマリン臭 (2) ユリア樹脂 難 否 黄色、端は淡青緑色 膨潤、ヒビワレ燃えた端が白色になる 特有の臭い、ホルマリン臭 (3) メラミン樹脂 難 否 淡黄色 膨潤、ヒビワレ、白化 特有の臭い、ユリアに類似 (6) 不飽和ポリエステル 易 燃える 黄色、黒煙 わすかに膨潤、ときにはヒビワレ スチレンモノマーの臭い 熱可塑性樹脂 (9) 塩化ビニル樹脂 難 否 黄色、下端緑 軟化 酸の刺激臭 塩化ビニリデン樹脂 きわめて難 否 黄色、端は緑 軟化 特有の臭い 酢酸ビニル樹脂 易 燃える 暗黄色、黒煙 軟化 酢酸臭 (10) ポリスチレン 易 燃える 橙黄色、黒煙 軟化 スチレンモノマーの臭い (13) メタクリル樹脂 易 燃える 黄色、端青色 軟化 メタクリルモノマー特有の芳香 (14) ポリエチレン 易 燃える 先端黄色、下端青色 溶融落下 パラフィンの燃える臭い (15) ポリプロピレン 易 燃える 先端黄色、下端青色 溶融落下 石油臭 (19)(20) ポリアミド 徐々に燃える 徐々に消える 先端黄色の青色焔 溶融落下 羊毛、爪などの焦げた臭い (21) ポリカーボネート 易 徐々に消える 黄色、黒煙 軟化 特有の臭い (22) ポリアセタール 易 燃える 先端黄色、下端青色 溶融落下 ホルマリン臭

9 副資材 副資材は主原料となるプラスチックに添加して加工性を改善したり、製品の品質、性能を変えたりするものであるが、コスト調節にも大きな役割を果たしている。 添加量は顔料の場合、0.0001phr(樹脂100部に対する部数)という少量から充填剤のように300phrを超えるものもある。 副資材はほとんどの樹脂に使用しているが、加工ユーザーが添加する場合と、樹脂メーカーが添加する場合がある。また樹脂メーカーが添加する場合でも製品や加工機械の都合でさらに加工の際に追加して調整する場合がある。 食品梱包材関係に添加する配合剤には衛生面での配慮が普及しつつあり、また廃棄された製品から有害な配合剤が溶出する場合や、焼却の際に有毒ガスを出したり、灰に有害な重金属が残る場合があるのでこうした問題を起こさない配合技術を確立することが重要な課題になっている。

9.1 可塑剤 主として塩化ビニル樹脂に使用されている。 可塑剤は樹脂と相溶性が良い物質であって樹脂の分子鎖の間に分散する。その結果樹脂の分子鎖の間隔が開いて分子が動きやすくなり添加量が多い場合には樹脂全体が柔らかくなり、また少量の添加でも加工時の流れや伸びが良くなる。 例:D.O.P.(ジオクチルテレフタレート)   D.B.P.(ジブチルフタレート)   D.O.A.(ジオクチルフタレート)

9.2 安定剤 樹脂の成形加工時の劣化、または使用中の劣化を防止するために使う物質である。したがって熱による劣化を防ぐ熱安定剤、空気中の酸素、オゾンなどによる酸化を防ぐ抗酸化剤などがある。 (1) 塩化ビニル樹脂用安定剤 塩化ビニル樹脂は150℃以上に加熱されたり、紫外線を受けると脱塩酸してポリエン構造となり着色する。したがってこの着色を防ぐために加工の際には必ず安定剤を添加する。安定剤の種類としては無機塩類(例:三塩基性硫酸鉛)、金属石けん類(例:ステアリン酸塩)、有機錫化合物(例:ジアルキル錫ジラウレート)などがあり、通常の場合の使用量は2〜5phrである。

(2) 抗酸化剤 樹脂は空気中の酸素やオゾンで酸化されて強度の低下、ひび割れ、着色、電気絶縁性の低下を起こすが、特に加工時の熱、紫外線、水などによっても促進される。したがって抗酸化剤(酸化防止剤)を添加して防止する。 特に酸化を受けやすい汎用樹脂はポリプロピレン、ポリエチレンであるが、他の樹脂にも適宜使用される。 抗酸化剤の種類としてはアルキルフェノール、アルキレンビスフェノールなどがあり、その使用量は通常0.1〜1.0phrである。

9.3 着色剤 合成樹脂製品を着色するものであるが、また光の遮断、反射、吸収によって製品を保護する役割もある。着色剤には無機顔料、有機顔料、染料があるが染料は耐光性が劣るのであまり使われない。また樹脂によっては顔料中に含まれる金属によって分解を促進されることがあるので注意する必要がある。

9.4 充填剤 合成樹脂に配合して製品や加工性を改善したり、また増量剤として製品のコスト引き下げなどのために使用される。 (1) 補強効果 充填剤が樹脂と化学的に結合する場合には著しい補強効果があるが、合成樹脂の場合には物理的吸着による場合が多いので使い方に一工夫必要とする。 充填剤が繊維状の場合には強化ポリエステルに使われているガラス繊維のように相互にからんだり、干渉したりして補強効果を現す。しかし必ずしも長繊維が必要なく、長さ/直径の比が大きければ補強効果があり、この比をアスペクト比と呼んでいる。実際アセタール樹脂やポリアミドに使われているガラス繊維は長さが0.5mm以下であり、アスペクト比は10以上である。これを約20%配合すると引張強さは2倍になり伸びはほとんどなくなってしまう。 (2) 熱変形温度の向上 熱変形温度はある荷重の下で一定時間に一定の変形をする時の温度である。一般的には長い繊維状、あるいは布状の充填剤を使うが、マイカ、タルク、アルミ粉末のような扁平状材料でも若干の効果がある。 (3) 増量剤 充填剤には天然の炭酸カルシウムのようなかなり安価な材料があるので、増量剤として製品コストを下げるのに使われる。

9.5 滑剤 滑性の測定方法                   滑剤の効果

    図28 プラストグラフ          図29 ステアリン酸鉛添加量と混練曲線

9.6 帯電防止剤 プラスチックは優れて電気絶縁性を有している反面、導電性に乏しく、帯電による障害が発生する。 帯電防止剤に使用される界面活性剤 (1) アニオン活性剤 表7 アニオン活性剤 種類 代表的な化学構造 塗布 練込 アルキルスルホン酸塩 ○ ○ アルキルベンザンスルホン酸塩 ○ ○ アルキル硫酸エステル塩 ○ アルキルエトキシ硫酸エステル塩 ○ アルキルリン酸エステル塩 ○ ○

(2) カチオン活性剤 表8 カチオン活性剤 種類 代表的な化学構造 塗布 練込 アルキルトリメチルアンモニウム塩(トリメチル型) ○ アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサンフェート ○ アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩 ○ アシル塩化コリン ○

(3) 両性活性剤 表9 両性活性剤 種類 代表的な化学構造 塗布 練込 アルキルベタイン型 ○ ○ イミダゾリン型 ○ アラニン型 ○

9.7 難燃剤 (1)組成による分類    

              図30 組成による分類

(2)使用による分類

              図31 使用法による分類

9.8 発泡剤 (1) 用途:プラスチックの中で気泡を発生させ、形成させるために使用する薬剤。 (2) 種類:@物理発泡剤:相変化してガスを発生させる。

                 図32 物理的発泡剤

B 化学発泡剤:化学変化によりガスを発生させる。

               図33 化学的発泡剤

9.9 抗菌・防カビ剤 (1) 使用理由 @プラスチックが細菌またはカビにより劣化・変色させられて商品価値を失うことを防ぐ。 Aプラスチックを使用する用途に衛生性が必要な場合。

(2) 種類 @有機系 A無機系 (3) 必要条件 @耐熱性:プラスチックへの悪影響。 A耐光性:光による劣化・変色が促進される。 B安全性:自体、ガス、熱分解物の毒性。 (4) 評価方法 @最小発育阻止濃度 A菌数測定法 Bシェークフラスコ法 Cハロー法 Dカビ抵抗性試験 (5) 代表的な抗菌・防カビ剤 表10 代表的な有機系抗菌・防カビ剤 商品名 メーカー 成分 TBZ メルク 2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール プリベントールA3 バイエル N-(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド デンシルS3 アイシーアイ 2,3,5,6-チトクロロ-4-(メチルスルフォニル)-ピリジン バイナジン モートンチオコール 10,10’-オキシビスフェノキシアルシン バイオシル ダウコーニング トリメトキシシリル-プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド スケーンM8 ロームアンドハース 2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン ZPT 日本オーリン ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛

表11 代表的な銀系無機防菌剤 商品名 メーカー 担体 ノバロン 東亜合成化学工業(株) リン酸ジルコニウム ゼオミック 品川燃料(株) ゼオライト バクテキラー 鐘紡(株) ゼオライト アバサイザー (株)サンギ シドロキシアバタイト AIS 触媒化成工業(株) シリカ・アルミナ アメニトップ 松下電器産業(株) シリカゲル

9.10 衝撃強化剤 ・ MBS ・ CPE ・ ABS

[引用文献] ・大阪市立工業工業研究所ほか;プラスチック読本、プラスチックエージ(1980、2002)  本文、図、および表の全般 ・成澤郁夫;プラスチックの機械的性質、シグマ出版(1997)  図9、図11〜図27 ・(社)近畿化学協会 ビニル部会;ポリ塩化ビニル―その基礎と応用―、日刊工業新聞社(1988)  図28、図29 ・実用プラスチック事典編集委員会;実用プラスチック事典、産業調査会(1999)  図30〜図33、表6〜表11

〔U〕プラスチック材料各論 (1) フェノール樹脂(PF)<同義語>クレゾール樹脂、キシレノール樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ベークライト <対応英語>Phenol Resin, Phenolic Resin,Phenolics, Phenol Formaldehyde Resin <基本的化学構造> <概説>フェノール樹脂とは、フェノール類とアルデヒド類との付加縮合反応により得られる。上記の「基本的構造」において、用いる触媒により次の2種類の初期縮合物が得られる;(1) レゾール:アルカリ触媒を使用する反応。レゾールはそのままかアルコール触媒と共に絶縁塗料、接着剤、積層板、工業用レジンの原料になる。(2) ノボラック:酸触媒を使用する反応。木紛、パルプ、その他の基材や着色剤、滑剤、硬化剤尾などを配合して成形用コンパウンドの原料になる。 <特徴>[物理的]機械的強度に優れる。[電気的]電気絶縁性に優れる。[熱的]耐熱性に優れる。発煙性は低い[成形性]良い。寸法安定性は良い。[その他]無機フィラーとの親和性に優れている <用途>【耐熱、絶縁用成形材料】[電気部品] ブレーカーケース、カバー、クロスバー、マグネットスイッチケース、ソケット、端子、トランスボビン、コネクタ、コンミュテータ絶縁材など[機械部品] 工作機械ハンドル、紡織機ボビン、ツールポットなど[自動車部品] エンジン付属部品、ヒートインシュレータ、フェルポンプインペラーなど[電装部品] スタータ、ブッシュ、スイッチ、キャップなど[制動・駆動部品] ピストン、リングプーリ、ブレーキブースターなど[モータ関連部品] モータハウジング、ブラシホルダー、スリップリングなど[その他] 灰皿、鍋や釜の取手、食器など【積層品】 いた、箸、化粧板、積層板、回路基盤など【車両シェルモールド用】 耐熱性や低発煙性を生かした用途【木材加工接着剤】 <メーカー>旭有機材、オタライト、群栄化学、新神戸電機、昭和化成、昭和高分子、鈴木化学、スターライト工業、住友デュレズ、住友ベークライト、大日本インキ化学、東芝ケミカル、東洋工業、日本合成化工、日立化成、フドー、松下電工、三井化学、三菱ガス化学、明和化成、リグナイト、利昌工業 <特殊フェノール樹脂>・ 粒状フェノール樹脂<同義語>粒状フェノールホルムアルデヒド樹脂Granulated(又はPowdery)Phenolic Resin粒状フェノール樹脂は機能性微粒子状フェノール樹脂ともいわれ、PFを微粒子化することにより、微粒子特有の物性を発揮させた材料である。すなわち、耐熱性、耐薬品性、摺動特性などの優れ、耐熱性有機フィラー、耐熱性樹脂および改質材などとして好適正を有する。用途には、[自動車部品] ラジエータ、ヒートインシュレータ、ブレーキなど[電気部品] モータ軸受、スイッチ、コネクタなど[その他] 燃料電池セパレータ、イオンプレートターゲット材、二次電池電極材、接着剤、塗料、    と石、耐火物など。製造会社には、鐘紡、ユニチカがある。・ 特殊なエンジニアリングプラスチックとしてフェノールアルキル樹脂(三井化学)がある。これはフェノールとアラルキルエーテルの縮合反応により得られる。 <適用製品例> IC封止材、半導体   ディスクパッド     ブレーキライニング     タイヤ[写真:住友ベークライト株式会社HP]

(2) ユリア樹脂(UF)<同義語>ユリア・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂 <対応英語>Urea Resin, Urea Formaldehyde Resin <基本的化学構造> <概説>ユリア樹脂は尿素とホルマリンの反応により得られる熱硬化性樹脂。メラミン樹脂を含めてこれらの化学構造を有するものを一般にアミノ樹脂と総称する。初期縮合物は水溶性であるが、加熱または触媒によって硬化し、水不溶性になる。 <特徴>[物理的]表面硬度が大きく、表面光沢性がある。着色性が良い。[化学的]耐溶剤性は良い。[加工性]着色性に優れる。<短所>[物理的]衝撃強度が低い。[化学的]酸、アルカリ、熱水に弱い。 <用途>[成形材料] 機械部品、食器、ボタン、容器のキャップ、日用雑貨類など[工業用接着剤] 合板用、木材接着、繊維加工、塗料など <メーカー>アリカ工業、松栄化学、昭和高分子、住友化学、住友ベークライト、大日本インキ化学、台和、日清紡績、日本有機化学、日立化成、パーマライト、富士化成、フドー、ホーネンコーポラーション、松下電工、三井サイテック、三井化学、三菱ガス化学、山六化成 <適用製品例> 食器                           [写真:株式会社台和HP]

(3) メラミン樹脂(MF)<同義語>メラミン・ホルムアルデヒド樹脂 <対応英語>Melamine Resin,Melamine Formaldehyde Resin <基本的化学構造> <概説>メラミン樹脂はメラミンとホルマリンの反応により得られる熱硬化性樹脂である。 <特徴>[物理的]耐衝撃性が良い。表面硬度が大きい。表面光沢性がある。[電気的]電気的特性、耐トラッキング性※)に優れている。     ※)絶縁材料が高電圧のもとで導電路が形成されて破損に耐える能力[化学的]耐薬品性、耐水性に優れる。[熱的]耐熱性、耐燃性に優れる。[加工性]寸法安定性に優れている。<その他>[ユリア・ホルムアルデヒドとの共縮合樹脂] 耐水性が一段と向上し、繊維などの樹脂加工に適する。[メラミン・ユリア共縮合樹脂] 耐水接着力が大幅に改善される。[メラミン・フェノール成形材料] 耐クラック性、耐燃性、射出成形性に優れる。 <用途>[成形材料] 食器として広く用いられている他、耐アーク性機器用部品、機械部品、薬品容器、電源スイッチ、操作用スイッチ、コネクタ、リレーベース、プラグ、コンセント、照明器具部品、化粧板などがある。[塗料] 焼付け塗料(自動車、自転車、機械部品、電気部品、ミシン用など)[工業用接着剤] 繊維加工用、紙加工用、化粧板用、コンクリートパネル用、パーティクルボード、ハードボードなど <メーカー>アイカ工業、イビデン、オタライト、三和ケミカル、松栄化学、昭和高分子、信越ポリマー、住友化学、住友ベークライト、大日本インキ化学、台和、東芝ケミカル、日産化学、日清紡績、日東紡績、日本カーバイト、二村化学、日立化成、富士化成、フドー、ホーネンコーポレーション、松下電工、三井サイテック、三井化学 <適用製品例>   食器類                        [写真:国際化工株式会社HP]

(4) シリコーン樹脂(SI)<同義語>けい素樹脂、シリコーン、オルガノポリシロキサン <対応英語>Silicone Resin, Silicone <基本的化学構造> <概説>シロキサン結合(Si-O)nに有機基が結合した熱硬化性樹脂。三次元網目構造は触媒(過酸化物など)や空気中の水分、熱水との触媒などにより得られる。シロキサンの骨格構造や重合度、有機基の種類などにより、無色透明な油状(シリコーン油)、弾性を示すゴム状(シリコーンゴム)、加熱により硬化する固体(シリコーン樹脂)となる。 <特徴>[物理的]常用:−50℃〜−70℃の耐寒性に優れている。大きな表面硬度、撥水性、透明性を有する。[電気的]電機絶縁性が良く、温度や周波数による特性変化が少ない。充填剤によりこれら特性が左右されることがある。[化学的]化学的に不活性。耐薬品性、耐溶剤性に優れる。金属や他の有機物を変化させない。[耐候性]極めて良く、20年間屋外で使用しても劣化は殆どない。[熱的]ポリイミドやふっ素樹脂に並ぶ、樹脂として最高レベルの耐熱性、難燃性がある。200〜250℃の高温でも使用可。[衛生性] 極めて低毒性。人工臓器や食品関係の部品に好適である。 <用途>[封止剤] 半導体など[表面処理用] ポリカーボネートやプラスチックレンズなどの表面硬さや耐磨耗性の向上[樹脂改質剤] ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの変性用[塗料] 熱器具、自動車マフラーなどの耐熱塗料、屋外塗料用など[成形材料] 耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、電気特性、屋外使用などを目的とした各種部品 <メーカー>信越化学、ダウ・コーニング、ダウ・コーニングアジア、チッソ、東芝シリコーン、東レ・ダウコーニングシリコーン、日本フランシール、日本ユニカー、バイエル、ヘキスト・ジャパン、ローヌ・プーランシリコーン <適用製品例>   カテーテル  光ファイバー  撥水加工  おしゃぶり   [写真:阿部電材株式会社HP]

(5) エポキシ樹脂(EP)<同義語>エポキシド、エポキシ <対応英語>Epoxide, Epoxy, Epoxy Resin <基本的化学構造> <概説>エポキシ樹脂はオキシラン環を含む化合物の総称で、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするグリシジル化合物が代表的な材料であり、主剤となるオキシラン環を含む低分子化合物と硬化剤(アミン類、酸無水物、ポリアミド、ポリサルファイドなど)の反応により得られる。 <特性>エポキシ樹脂(主剤)と硬化剤の組み合わせにより多種多様な特徴的な特性を発揮する硬化物が得られる。[物理的]耐摩耗性に優れている。[電気的]電気的特性に優れている。[化学的]耐薬品性に優れている。[熱的]耐熱性に優れている。[加工性]成形収縮は熱硬化性樹脂の中では小さい。 <用途>[成形品] ガラス、炭素、アラミドなどの繊維などで強化したFRPは耐熱性や剛性が大きいので各種機械部品やスポーツ用品、航空機や宇宙関連機器の構造材などに用いられている。シリカなどの無機微粒子を充填したものは寸法安定性や耐熱性、耐燃性、電気的特性が向上するので、コネクタや端子、ソケットなどの電子部品などの用途が多い。[注型・含浸材料] 防湿を防ぐ目的で、ICや硝子素子部品などの樹脂封止・封入、プリント回路基盤、積層板など。また、充填剤を加えないエポキシ樹脂は透明であるので発光素子の光学ハウジングなどの用途もある。[塗料] 常温硬化の常乾塗料と150℃〜200℃に加熱して用いる焼付け塗料がある。塗料は防食性、密着性、耐薬品性、強靭性などに優れているので、船舶や橋梁、水道管などの重防食用、電気絶縁用含浸ワニスなどの用途がある。[接着剤] 強力な接着力が得られ、劣化が少ないので、構造用、自動車、航空機などに広い用途がある。 <メーカー>旭チバ、旭電化、鐘紡、昭和高分子、住友化学、大日本インキ化学、大日本色材、ダウ・ケミカル、東都化成、日産化学、日本化薬、日本触媒、日本チバガイギー、三井化学、油化シェルエポキシ、ユニオンカーバイド日本 <適用製品例>  半導体封止材 透明エポキシ                 [写真:阿部電材株式会社HP]

(6) 不飽和ポリエステル(UP)<同義語>不飽和ポリエステル樹脂 <対応英語>Unsaturated Polyester, Unsaturated Ester Resin <基本的化学構造> <概説>無水マレイン酸とグリコールの縮合反応により得られるポリエステルを、スチレンやメチルメタクリレートに溶解したものを加熱硬化させた樹脂。一般に、ガラス繊維などの無機補強材を充填した成形品として用いられる。 <特性>[物理的]剛性、耐衝撃性に優れている。[化学的]耐薬品性に優れている。[熱的]耐熱性に優れている。[成形性]低収縮性で寸法安定性が極めて良い。成形加工が低圧で行え、金型製作が容易でコストを安く出来るので大型成形品にも向く。引き抜き成形やフィラメントワインディング成形のも適する。 <用途>【FRP用】 [建設資材] 浴槽、浄化槽、便層、波板、パイプ、洗面台、家具、サニタリーユニットなど[輸送機器] 船舶、船艇、ボート、ヨット、自動車(ボディー、計器板など)など)の部品[電気部品] 高圧絶縁材、照明カバー、電池ケースなど[スポーツ用品] 釣ざお、洋弓、スキー、ゴルフ用品、ゴルフカー、スノーボードなど[その他] タンク、椅子、扉、航空機部品、ヘルメットなど【非FRP用】 注型、塗料、化粧板など <メーカー>旭ファイバーグラス、昭和高分子、住友ベークライト、武田薬品、大日本インキ化学、東芝ケミカル、日本触媒、日本ユピカ、日立化成、フドー、松下電工、三井化学 <適用製品例>  自動車電装部品 ブレーカー       ヨット     サーフボード   人工大理石[写真:住友ベークライト株式会社、株式会社ソテックHP]

(7) アルキド樹脂<同義語>アルキッド樹脂 <対応英語>Alkyd Resin <基本的化学構造> <概説>多塩基酸と多価アルコールの縮合体を架橋した高分子エステルをalcoholの“al”と酸の“cid”をとってアルキド樹脂と総称する。環状無機酸をアルコールで開環した不飽和ポリエステル(UP)もこれに属するが、それ以前に開発された無水フタノール酸とグリセリンの架橋縮合体を特に狭義のアルキド樹脂ともいう。開発当初のアルキド樹脂は接着剤に僅かに利用された程度であったが、その後、乾性油樹脂との反応物が工業化されてエナメル電線被膜や一般塗料として耐候性の良さを発揮して急激に伸びてきた。アルキド樹脂は反応形態により、次の2つに大別される;1) 非転化型樹脂:2価の酸(無水フタル酸等)と2価のアルコール(エチレングリコール等)から得られる樹脂で、加熱すると可撓性を有する。3価の原料を用いても当量の1価の原料との反応系であれば非転化型が得られる。2) 転化型樹脂:2価以上の官能基を反応させて得られる樹脂で、3次元網目構造を形成するので不溶、不融性である。工業化されている樹脂の多くは、2-2反応によるpre-stage後、ビニル基の重合などによる橋架け反応を用いており、代表的なものとしては、@グリセリン/フタル酸樹脂系:未変性、ロジン変性(ワニス、ラッカー)、不乾性脂肪酸変性(焼き付け塗料)、乾性油脂肪酸型(ワニス)、A樹脂変性フタル酸樹脂:フェノール樹脂変性(塗料:高硬度、耐水性、乾燥性大)、エステルロジン変性型、マレイン酸樹脂変性(塗料)、天然樹脂変性、ユリア樹脂変性などがある。 <特性>[耐候性]良い。[その他]他の樹脂との相溶性が極めて良く、被膜は密着性、可撓性などに優れる。 <用途>塗料、無溶剤絶縁ワニス、接着剤など <メーカー> <適用製品例> アルキド樹脂                     [写真:富士化成工業株式会社HP]

(8) ウレタン樹脂(UPR)<同義語>ポリウレタン <対応英語>Urethane Resin, Polyurethane, PU <基本的化学構造> <概説>ウレタン結合を有する高分子化合物で、熱硬化型ポリウレタン(PUR)と熱可塑性ポリウレタン(TPUR)がある。PURの代表的な化学反応はイソシアネートとポリオールを原料としたものである。 <特性>原料の種類と配合比率、加工条件などによって多くの種類があり、軟質から硬質、さらには発砲体(フォーム)などの幅広い製品がある。[物理的]耐摩耗性が良い。耐寒性、弾性に優れる。[化学的]耐油性、耐薬品性に優れる。【ウレタンフォーム Urethane Foam, Polyurethane Foam】[物理的]フォームの密度は幅広く製品化されており、引き裂き強度は通常のラバーフォームの数倍あるものがある。軽くて断熱性が大きく、機械的特性も良い。使用温度範囲が広く、−60℃〜80℃で常用出来る。音の吸収性が良い。  [電気的]電気絶縁性が大きい。  [化学的]石油、エーテル、ベンゼン、潤滑油、塩素系溶剤などに強い。      耐水性があり、化学物質や多くの溶剤に耐える。  [耐候性]耐老化性に優れる。但し、経時的に黄変する傾向がある。【ウレタンエラストマー Urethane Elastomer】特性は上記の諸項に類似【塗料用ウレタン樹脂 Polyurethane for Paints】1液型と2液型があり、1液型には湿気硬化型と油変性ウレタン塗料がある。液状だけでなく、紛体塗装もある。塗膜は可撓性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れる。【接着用ウレタン樹脂 Polyurethane for Adhesives】万能接着能力があり、水や溶剤、熱、低温に対する抵抗が大きい。塩素系や芳香族系の溶剤を用い、常温〜95℃位で硬化する。接合条件(温度、湿度、加圧接合時間、圧力など)により接着強度が左右される。【スパンデックス Spandex】ウレタン系弾性糸でゴムに似た高弾性伸長を示す。引張強度はゴム糸の2〜3倍で、優れた回復力を持つ。耐摩耗性、屈曲抵抗、耐老化性、対化学薬品性などに優れる。染色性が良く、ドライクリーニング溶剤で変色することがない。 <用途>[成形材料] 自動車部品(バンパー、フェーシャ)、電気製品用、土木・建築用、ロール[フォーム] 用途の70%は軟質系、30%は硬質系である。軟質品はシート、クッション、ソファー、ベッド、マットレス、座布団など。硬質品は断熱、保冷材料、防音、吸音、音響調整用。半硬質品は自動車内部品(ハンドル、アームレスト、クラッシュパッド)、パッキング、靴底[エラストマー] ロール、タイヤ、ダストカバー、ベロー、ブッシュ、削岩機用部品、鉱石ふるい、バルブ、紡績用部品、ベルト、フィルム、シート、チューブ、ホース、スキー靴、靴底、雑貨[塗料] ゴム、皮革、繊維、木製品、航空機、自動車、電気製品、電線[接着・接合] 万能接着剤、ドライラミネート、磁気テープバインダー、シーラント[スパンデックス] ゴム系、ファンデーション、衣料、水着、スラックス、ベルト、包帯などの織物や医療用分野の用途は多い。 <メーカー>・ 成形材料:旭オーリン、旭電化、花王、三洋化成、昭和高分子、住友バイエルウレタン、第一工業製薬、大日本インキ化学、武田薬品、東邦化学、日本触媒、日本曹達、日本ポリウレタン、三井化学、三菱化学ダウ・ ウレタンフォーム:アキレス、井上エムテーピー、花王、倉敷紡績、東邦化学、東洋ゴム、東洋護謨化学、難波プレス、日清紡績、日本発条、ブリジストン、松下電工、松下冷材・ ウレタンエラストマー:旭化学、鐘紡、坂井化学、住友バイエルウレタン、武田薬品、東洋ゴム、日本エラストラン、日本オイルシール、日本ポリウレタン、北辰工業、三井化学・ 塗料用ウレタン樹脂:旭化学、住友バイエルウレタン、大日本インキ化学、武田薬品、日立化成、日本ポリウレタン、三井化学・ 接着用ウレタン樹脂:クラレ、住友バイエルウレタン、大日本インキ化学、武田薬品工業、電気化学、東洋インキ製造、日本曹達、日本ポリウレタン、三菱化学・ スパンデックス:東洋紡績、日清紡績、富士紡績 <適用製品例>   自動車シート、内装品   インラインスケート車輪   [写真:三洋化成工業株式会社HP]

(9) ポリ塩化ビニル(PVC)<同義語>塩化ビニル樹脂 <対応英語>Poly (Vinyl Chloride) <基本的化学構造> <概説>ポリ塩化ビニル(一般には「塩ビ」と呼ばれている)は非晶性プラスチックで、塩化ビニル単量体(Vinyl Chloride Monomer;VCM)だけを重合して得られる単量体(ホモポリマー)が大部分を占めるが、酢酸ビニルや塩化ビニリデンなどの他の単量体を共重合させた共重合体(コポリマー)がある。ポリ塩化ビニルの製造法としては、懸濁重合が最も多く用いられている。ポリ塩化ビニル製品は、重合された粉末状ポリマーに安定剤、可塑剤、着色剤などの各種添加剤を加えて混練し、カレンダー、押出、射出などの成形加工法によって製造される。可塑剤の添加量(ポリ塩化ビニル100重量部に対して0〜120重量部)によって硬質(一般に10部以下)と軟質の各種製品が得られる。軟質PVCは包装材料に良く使用されるので、廃棄後焼却すると塩化水素を発生するので現在焼却炉では廃棄が困難であり、環境問題から嫌われてきた。今後、塩化水素ガスに耐えうる焼却炉の開発が望まれる。また、予め添加剤を配合した成形材料(コンパウンド)の形で出荷されることもある。 <特性>[物理的]ガラス転移点が常温以上なので、低温での衝撃強度が小さい。このためMBS、塩素化ポリエチレン、ABSなどをブレンドして耐衝撃性を向上させる。透明で硬質だが、可塑剤を加えることにより軟質にすることができる。可塑剤とはよくなじむが、可塑剤の種類と量により、コンパウンドの諸特性は著しく変化する。比重は1.4で比較的大きい。屈折率は1.51、ガラス転移点70〜85℃酸素などの気体透過率が比較的小さい。軟質ポリ塩化ビニルの耐スクラッチ性(耐傷付き性)はプラスチック中では際立って優れている。バイルシュタイン反応をする(銅と熱すると緑色の炎色反応を示す)。[電気的]電気絶縁性が良好である。誘電率が大きく、高周波融着が出来る。[化学的]酸、アルカリに耐える。[耐候性]耐候性に優れる。[熱的]塩ビ製品の実用温度範囲は、−20〜80℃くらいまでとされている。酸素指数は40から45であり、難燃性である。このため、易燃焼性熱可塑性樹脂に機械的または化学的に配合して、難燃性を付与する目的にも使われる。<短所>[熱的]硬質は分子量が小さく、熱安定性が悪い。軟質は分子量の大きな材料を用いる。250℃以上に加熱すると急激に分解が進行する。加熱による脱塩酸で黒化する。[化学的]ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素系の有機溶剤には膨潤、溶解する。 <用途>ポリ塩化ビニルの1995年の国内生産量は221万トンに達し、軟質用43.9%、硬質用25.2%、電線・その他用14.6%、輸出用16.3%だった。[硬質製品] パイプ・継手(建築、土木、農業、下水道など)、波板、平板、シート(食品容器包装、工業、装飾、非食品容器包装など)など[軟質製品] フィルム・シート、レザー、ホース、機械器具部品、日用品・雑貨、その他。 <メーカー>大洋塩ビ(574)、信越化学工業(550)、カネカ(440)、ヴイテック(390)、新第一塩ビ(307)、徳山積水工業(115)                 ( ):生産能力、千トン/年、2001年末 <適用製品例>      パイプ        容器      電線被覆材         床材[写真:株式会社カネカ、株式会社クボタHP]

(10) ポリスチレン(PS)<同義語>スチレン樹脂 <対応英語>Polystyrene <基本的化学構造> <概説>ポリスチレン(PS)は、スチレン系樹脂の基本となる非晶性ポリマーであり、日本国内での生産量は148万トン(1995年)に達する五大汎用樹脂の一つである。単独重合体(一般用PS:General Purpose PS、PS-GP)は無色透明、可視光透過率はメタクリル樹脂に次いで大きく、ガラスと同程度、引張強度、弾性率は熱可塑性樹脂中上位に位置するが、衝撃強さは小さい。高衝撃PS(High Impact PS、PS-HI)はスチレン重合に際し、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加し、PS-GPの耐衝撃性を改良したもので、一般的に透過性がなく、耐衝撃性はPS-GPの5〜10倍高いが、反面剛性は劣る。成形は主に射出成形によるが、成形収縮率は小さく、成形品の寸法安定性、表面光沢ともに優れている。最近は、耐熱性や耐衝撃性の向上が求められ、各種の共重合やアロイが開発されてきた。そのほか、家電製品関係で大型肉薄成形用の高流動/高強度のPS-HI、デカブロム難燃剤を使用しない難燃PS-HI等が求められ、開発/製造されている。ポリスチレンの主要な用途の一つに家電分野があるが、この分野では難燃性ポリスチレンが要求されてきた。最近では、デカブロム難燃剤を使用しない難燃グレードが開発されている。将来は、非ハロゲン系の難燃グレードの開発されるようになろう。特殊なポリスチレンとして、発泡用(FS)と二軸延伸フィルムがある。最近カミンスキー触媒を使用したシンディオタクティックPSが製造、販売されている。シンディオタクティックPSは、通常のPSと違って結晶性であり、耐熱性、耐薬品性、耐スチーム性などが通常のPSに比較し大幅に向上している。 <特性> 非晶性ポリスチレンの特徴は以下の通りである。[物理的]剛性に優れ、表面硬度も大きい。    硬質で透明性に優れ、非晶性である。PS-GPの透明性はアクリル樹脂には及ばないが、良好な光線透過率を示す。[電気的]広い温度範囲・周波数範囲で電気特性に優れる。特に高周波域で極めて絶縁性が良い。また誘電特性も優れている。[化学的]酸、アルカリ水溶液には耐える。[熱的]軟化温度が比較的低い。ポリスチレンのガラス転移温度は約110℃であり、PS-GPの荷重たわみ温度(18.6kgf/cm2)は82℃であり、PS-HIでは75℃前後である。燃えるとすすを出して燃え、独特の臭気を発生する。[加工性]流動性、成形時の熱安定性は良好で、成形性に優れ、ポリマーの中でもっとも加工しやすい樹脂の1つ。また2次加工性も良好である。ゴム系、ドープ系の接着剤でよく接着する。[衛生性]無味、無臭、無毒である。<短所>[物理的]衝撃に弱いが、ゴムをブレンドすれば衝撃強度は上がるが透明性はなくなる。[化学的]非晶性のため耐有機溶剤性や耐油性は悪い。[耐候性]比較的日光に弱く、紫外線劣化がある。 <用途>1995年の国内生産量は126万トンで、内需は102万トン、輸出19万トンだった。その国内需要構成は、包装用26%、電気および工業用21%、雑貨・産業用15%、発泡用17%である。[包装用] 2軸延伸フィルム、食品用容器、乳酸菌飲料容器。[電気・工業用] エアコン、テレビ、VTR、テープレコーダー、複写機、ファクシミリの筐体、各種テープのケース。[雑貨用] 家庭用品、玩具、文具事務用品。[発泡用] 食品包装用トレー、カップ、どんぶり、断熱建材、パネル <メーカー>旭化成工業、出光石油化学、鐘淵化学、新日鐵化学、住友化学、積水化成品、ダイセル化学、大日本インキ化学工業、電気化学工業、日立化成工業、三井化学、三菱化学 <適用製品例>      CDケース            トレイ          家電ケース[写真:出光石油化学株式会社HP]

(11) スチレン/アクリロニトリル樹脂(SAN)<同義語>スチレン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルスチレン樹脂、AS樹脂、スチレンアクリロニトリル樹脂 <対応英語>Styrene/Acrylonitrile Copolymer, AS Resin <基本的化学構造> <概説>アクリロニトリルとスチレンを共重合した樹脂で、ポリスチレン(PS-GP)の耐熱性、耐衝撃性、耐化学薬品性などが改良された素材である。 <特性>[物理的]非晶性、透明で、比重は1.07〜1.10である。引張強度、剛性が大きく、表面硬度(ロックウェル硬さ)も大きく、傷つきにくい。    耐衝撃性に優れている。(vs.ポリスチレン)[化学的]耐薬品性に優れている。(vs.ポリスチレン)[熱的]耐熱性に優れている。(vs.ポリスチレン)[加工性]エポキシ系、ポリエステル系の接着剤でよく接着する。<短所>[物理的]アクリロニトリルが多いと黄着色しやすい。[化学的]一般用ポリスチレンに比べ高い吸水性を示し、低級アルコール類には弱い。 <用途>[車両用] バッテリーケース、メーターカバーなど。[家電用] 扇風機の羽根、冷蔵庫内部成形品、テープレコーダー用カセット・オープンリール、ジューサー、ミキサー、積算電力カバー、テレビのフロントスクリーンなど。[その他] 簡易ライター、化粧品容器、食卓用品、文具、玩具、ピアノの鍵盤など。 <メーカー>旭化成工業、新日鐵化学、ダイセル化学、電気化学、東レ、日本合成ゴム、三井化学、三菱化学 <適用製品例>

(12) アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)<同義語>ABS樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体 <対応英語>Acrylonitrile/Butadiene/Styrene Resin, ABS Resin <基本的化学構造> <概説>SANの耐衝撃性を改良した素材で、アクリロニトリル(AN)、ブタジエン(BD)、スチレン(ST)の3種の単量体の頭文字からABS樹脂と呼ばれるが、実際にはブタジエン系のゴム(PBR、SBR、NBR)の存在下にスチレン、アクリロニトリルを共重合して作られる。強靭性、寸法安定性、加工性に優れ、さらにはメッキ性、塗装性などの2次加工性も優れることから車両、民生機器、工業用機器、高級雑貨などの分野に幅広く用いられている。5大汎用樹脂であるPP、PVC、PE-LD、PS及びPE-HDに次ぐ大型樹脂だが、最近は国内消費量も飽和し世界的に生産の大型化と合理化が進められている。ABSは家電・OA機器に使用されており、この分野の難燃性や耐熱性向上の要求により、ノンハロゲン系難燃剤の開発やフタルイミドとの共重合などの動きもある。グレード開発としては汎用エンプラの機能向上のためABSとPC、PA、PBTなどとのアロイが開発されている。 <特性>[物理的]非晶性で、不透明である。剛性があり、堅牢で、機械的性質はバランスがとれている。引張強度、曲げ強さ、クリープ強さなどが優れている。表面光沢・着色性に優れている。外観部品としてデザインの多様化を与える。メッキ性に優れている。[電気的]電気特性は良好で、ポリスチレンと同様である。[化学的]酸、アルカリに極めて強い。[熱的]耐熱性は一般的な成形用途としては十分であり、耐熱温度(荷重たわみ温度)は100〜110℃程度であり、かつ耐寒性も優れている。また耐熱性を高めた耐熱性ABSも供給されている。[成形性]成形性に優れ、射出成形、押出成形、カレンダー加工、真空成形などあらゆる加工技術が応用できる。成形収縮率が小さい。極性を持つ樹脂、ゴムと良好な相溶性があり、ポリマーアロイ・ブレンドに広く利用される。<短所>[耐候性]耐候性は長期間の直射日光により、表面変色と光沢低下が起こる。[熱的]すすを出して燃え、特臭がある。 <用途>1995年の国内生産量は60万トン、国内需要は45万トンだった。需要構成は、雑貨29%、一般機器27%、電気機器25%、車両15%である。[電気機器] OA機器、エアコン、冷蔵庫、掃除機、AV機器、ステレオなどのハウジングや機構部品。[一般機器] パソコンなどOA機器のハウジングなど。[車両] インストルメントパネル、ラジエーターグリル、ランプカバーなど。[雑貨] 建材、住宅部品、衛生機器用品、医療介護用品など。 <メーカー>旭化成工業、宇部サイコン、鐘淵化学工業、新日鐵化学、住友A&L、ダイセル化学工業、テクノポリマー、電気化学工業、バイエルジャパン、BASFエンジニアリングプラスチックス、三菱レイヨン <適用製品例>     トランク        車[写真:株式会社タイトウトランク、UMG ABS株式会社HP]

(13) ポリメタクリル酸メチル(PMMA)<同義語>メタクリル樹脂、メチルメタクリレート <対応英語>Poly(Methyl Methacrylate), Methacrylic Resin <基本的化学構造> <概説>メタクリル酸エステルのポリマーの総称がメタクリル樹脂であるが、一般的にはメタクリル酸メチルを主成分とする非晶性プラスチックである。我国において1938年(昭和13年)に本格的工業生産がスタートした長い歴史と実績のある樹脂であり、そのきらびやかさから“プラスチックの女王”と呼ばれている。一連のメタクリル樹脂のうち、メチルエステルが軟化点(125℃)は最も高く、iso-プロピルエステル95℃、エチルエステル65℃、sec-ブチルエステル62℃である。 <特性>[物理的]透明プラスチックの中では最も透明度が良く、可視光線の透過率は93%と高い。硬度が高く、表面光沢に優れる。[電気的]電気特性に優れる。[化学的]水、塩、弱酸に耐える。[耐候性]耐候性が優れている。[加工性]成形性が良好である。注型成形が出来る。<短所>[物理的]100℃で変形することがあり、耐衝撃性もやや低い。[化学的]アルカリに侵され、有機溶剤に溶ける。 <用途>1995年の需要構成は成形材料としての生産は82千トン、うち内需55千トン、輸出27千トン、また板としての生産83千トン、内需78千トン、輸出6千トンだった。[車両関係] テーブルランプ、サンバイザー、メーターカバー[弱電関係] 銘板類、カメラレンズ、ピックアップレンズ、液晶ディスプレイのバックアップライト導光板。[光学関係] 光ファイバー、各種窓ガラス、ファイバースコープ[その他] 看板、テーブルウエア、眼鏡レンズ、照明カバー、水槽 <メーカー>旭化学工業、クラレ、住友化学、三菱レイヨン <適用製品例>       レンズ        水槽       電話機ボタン     カーポート屋根[写真:旭化成株式会社HP]

(14) ポリエチレン(PE) <対応英語>Polyethylene <基本的化学構造> <概説>@ ポリエチレンは、1932年にイギリスのICI社のFawcettとGibsonによって高圧下のエチレンの反応の基礎研究中に偶然発見された。ICI社は1938年世界で最初のプラントを稼動させ、1942年に工業生産を開始している。その方法は、エチレンを1000〜3000気圧の高圧下、150〜300℃でラジカル重合させる高圧法である。高圧法はラジカル重合なので、ビニル化合物との共重合が可能であり、幾つかの共重合体も生産されている。A 1950年代に入って、酸化クロム(Cr2O3)をシリカに担持させた触媒を用いる中圧法(Phillips法)や、酸化モリブデンをアルミナに担持させた触媒を用いた中圧法(Standard Oil法)が開発された。また1953年にはドイツのZieglerによってチーグラー触媒(TiCl4/AlEt3)が発見され、常圧〜10気圧程度の低圧下での配位重合法を利用した低圧法(チーグラー法)が開発された。1960年代の後半から中低圧法メーカーが触媒の高活性化に競って取り組み、更にPhillips社のスラリープロセス、UCC社の気相プロセス、チーグラー触媒系のスラリープロセスなどのプロセスの合理化も行われた。B 1970年代後半から、中低圧法でエチレンとα-オレフィンの共重合体で得られる低密度ポリエチレンがその機械的強度特性が優れている事から注目を集めるようになった。このポリマーは、短い側鎖を多数含む直鎖状の低密度ポリエチレンであることから、直鎖状低密度ポリエチレン(linear Low Density Polyethylene:PE-LD)として高圧法の低密度ポリエチレン(PE-LD)と区別されている。最近では、UCC社法の気相重合による方法が多い。PE-LLDの生産量は年々増大しており、1995年には前年比11%増の約64万トンに達し、低密度ポリエチレン全生産量(PE-LD+PE-LLD)の37%に達している。C 1990年代に入って、カミンスキー触媒を用いたPE-LLDやPE-VLD(Very Low Density Polyethylene)生産の計画が発表された。カミンスキー触媒は二塩化ジルコノセン(Cp2ZrCl2)とメチルアルモキサン(MAO)を組み合わせた可溶性触媒であり、メタロセンを用いることからメタロセン触媒とも呼ばれる。また、成形ポリマーの分子量分布も狭く、触媒活性点が均一であることからシングルサイト触媒(Single Site Catalyst、Constrained Geometry Catalyst Technology:CGCT触媒)とも呼ばれる。メタロセン系触媒を使用したポリエチレンは、分子量分布が狭く、共重合組成の分子量依存性が小さく、従来の重合法による同一密度の製品に比較して強度、クリープ特性、耐ストレスクラック性、透明性、低温ヒートシール性、高温剛性、ブロッキング性などの点で優れている。D JISでは、高圧法による密度0.91〜0.94のものを低密度ポリエチレン(PE-LD)、中・低圧法による0.94以上のものを高密度ポリエチレン(PE-HD)、中・低圧法0.94未満のものを直鎖状低密度ポリエチレン(PE-LLD)と分類している。最近は、PE-LLDの密度を0.91以下にさげたPE-VLDや、高性能の触媒を使用した溶媒法による密度0.90以下の特殊なα-オレフィン共重合体であるPE-ULDも開発されている。E ポリエチレンは生産・販売量の最も大きい結晶性の樹脂であり、コストとバランスの取れた性質のために、五大汎用樹脂(PE-HD、PE-LD、PP、PS、PVC)の中でも極めて広範囲に使用されている。しかし、同じポリエチレンでも触媒や重合法によってかなり性質が違うことがあるので注意が必要である。 <特性>[物理的]密度、分子量、分子量分布、分子構造(分枝の種類、分枝量分布など)で性質が変化する。剛性率・強度は密度(=結晶化度)に依存して高くなる。Tgは−120℃付近と極めて低く、そのため耐衝撃性と耐寒性に優れている。結晶化度は密度比例し、PE-HDはクリスタリットサイズも大きく半透明で剛性・強度が大きい。PE-LDはクリスタリットサイズも小さく透明で、フィルムなどに加工しやすい。[電気的]電気特性が優れている。特に誘電損失が小さく、また電気絶縁性に優れている。(600mv/mil)。[化学的]吸水率は非常に小さい。水蒸気は透過しにくい。耐薬品性が優れている。<短所>[化学的]O2、N2、CO2のガスが透過しやすい。    特に密度が高いほど界面活性剤でストレスクラッキングを起こしやすい。[成形性]成形収縮率が大きく、耐熱性もさほど大きくないので構造用成形品には適さない。表面張力は極めて低く、接着・印刷しにくい。このため、接着・印刷を行うには、コロナ処理・火炎処理などで表面改質を行う必要がある。 <用途> <メーカー>国内:三井住友ポリオレフィン(954)、日本ポリケム(723)、日本ポリオレフィン(629)、東ソー(333)、日本ユニカー(300)、旭化成(282)、出光石油化学(190)、宇部興産(197)、京葉ポリエチレン(168)海外:Dow-UCC(7,370)、Exxon-Mobil(6,110)、Equistar(3,190)、Basell(2,735)、Chevron-Phillips(2,620)、Borealis(2,015)、BP Amoco(1,730)、Nova(1,700)、Atofina(1,600)、Sabic(1,560)( ):生産能力(千トン/年)、Modern Plastic International,2001,March,60 <適用製品例>       HD-PE         HD-PE       LD-PE       LD-PE[写真:出光石油化学株式会社HP]

(15) ポリプロピレン(PP) <対応英語>Polypropylene <基本的化学構造> <概説>@ 1955年イタリアのNatta教授は、Ziegler触媒を改良したTiCl3/AlEt2Cl系を用いてプロピレンを重合することで、初めて固体の高分子材料(ポリプロピレン(PP))が出来ることを発見した。早くも1957年にはMontecatini社が工業生産を開始し、その後欧米各社で工業化がスタートした。日本では、1962年に三井東圧、三菱油化、住友化学がMontecati社から技術導入し、1963年にはチッソがアメリカのアビサン社から技術導入し、生産が開始された。1994年にはPP生産会社は14社に達し、1995年の国内生産高は250万トンに達している。A ポリプロピレンはプロピレンが立体的に規則正しく配列した結晶性もしくは規則性を持たない非晶性のプラスチックである。メチル基の配置によって立体規則性の違いが現れ、アイソタクチック、シンディオタクティック(共に結晶性)やアタクチック(非晶性)が出来る。立体規則性、分子量、分子量分布、結晶化度などによって性質が変化する。重合触媒としては、当初TiCl3が用いられたが重合活性が低く、脱触媒・脱アタクチックPPプロセスを必要とした。その後、MgCl2にTiCl4を担持させる担持型触媒の使用が主流となり、無脱触媒(無脱灰)・無脱APPプロセスに移った。ポリプロピレンにはプロピレン単独重合体、エチレンなどの他のオレフィンとのランダム共重合体及びブロック共重合体(耐衝撃性ポリプロピレン)の3種類がある。単独重合体には、塩化マグネシウムにTiCl4を担持させた触媒によるアイソタクティシティの極めて高い([mmmm]が99.1以上)ものや、メタロセン触媒によるシンディオタクチックのものがある。メタロセン触媒によるアイソタクチックPPは高い剛性を与えるとの報告もあるが、一般に頭-頭結合などにより剛性や融点が低く未だ実用化に至っていない。ランダム共重合体は透明性や常温での衝撃強さが優れているが、弾性率が小さく融点が低い。プロピレンとエチレンのブロック共重合体は、プロピレンの単独重合(前段)とエチレンとの共重合(後段)の2段連続共重合で製造されたもので、一般に「ブロックコポリマー」と呼ばれるが大部分はPPとエチレン・プロピレン共重合ゴムのブレンド物である。単純ブレンド物より分散が良く、耐衝撃性に優れ、ランダム共重合体に比較すると剛性や融点の低下が小さく物性バランス良い。ブロック共重合体は日本で開発された製品で、日本での使用量は欧米に比べても非常に多い。最近は、重合槽の中で二段目の成分を変えたり量を増やすことにより熱可塑性エラストマー的なもの(Montel社のキャタロイ等)も作れるようになってきた。更に、重合後の後処理により軽度の架橋点もしくは長鎖分枝を持たせ、溶融張力を上げ成形加工性を改良したもの(Montel社のHMS-PP)もある。 <特性>[物理的]比重が0.90〜0.91で汎用プラスチックの中では最も小さく、コストメリットがある。結晶性プラスチックであるので、ホモポリマーは半透明〜不透明である。薄肉で急冷したり、核剤を添加した場合は透明になる。また共重合ポリマーは透明になる。ブロックコポリマーは剛性−衝撃強さのバランスが優れている。[化学的]常温では硝酸、鉱物油を除き、耐薬品性は良好である。結晶性であるので有機溶剤には耐性があり、ソルベントクラック現象はほとんどない。[熱的]融点が165℃であり、熱可塑性樹脂のうちでも耐熱性の高い方であり、蒸気消毒をする衛生機具にも適している。また沸騰水中での使用も可能である。荷重たわみ温度(4.6kgf/cm2)は約120℃で、低荷重の場合は100℃以上でも使用できる。[成形性]加工性は、流動性が良く、薄物や複雑な形状物が成形出来る。成形収縮はポリエチレンより少なく、また縦、横の収縮率の差が小さくバランスが良好である。<短所>[物理的]ホモポリマーはガラス転移温度が−10〜20℃であるので、低温衝撃が問題になることがある。これはエチレンとの共重合によって改良される。[化学的]銅及びその合金に接触した状態で高温になると劣化が促進される(銅害)。銅害防止用安定剤の添加が必要になる。[耐候性]耐候性は良くない。直射日光に対して弱く、安定剤、紫外線吸収剤を用いる必要がある。高温では酸素に敏感であるが、抗酸化剤を添加すれば安定度が増す。 <用途>1995年の国内生産量は2,501,858トンで、全熱可塑性樹脂生産量の21%を占める。国内需要は、射出成形56%、フィルム20%、射出成形10%、繊維4%、フラットヤーン3%、中空成形2%、その他5%だった。[射出成形] バンパーや大型内装部品に代表される自動車の各種部品、洗濯機に代表される家電部品などの工業部品[その他] コンテナなどに加えて透明衣装箱が脚光を浴びた。[フィルム] 二軸延伸フィルム(OPP)やT-ダイフィルム(CPP)単独もしくは機能性フィルムとの貼りあわせで、食品や一般包装材料に使用されている。[押出シート] 食品用薄物シート、文房具などの厚物シート[繊維] 不職布、カーペット。特に不職布は今後の伸びが期待される。 <メーカー>出光石油化学、グランドポリマー、住友化学、チッソ石油化学、トクヤマ、日本ポリオレフィン化学、日本ポリケム、三井東圧、Montel-JPO <適用製品例>       ひも           ひも       フィルム      バンパー[写真:東海化成株式会社、出光石油化学株式会社HP]

(16) ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)<同義語>四ふっ化エチレン樹脂、ポリ四ふっ化エチレン <対応英語>Poly(Tetrafluoroethylene), TEF <基本的化学構造> <概説>1938年に開発されたPTFEはポリエチレンの水素を完全にふっ素で置換した分子構造を持ち、ふっ素樹脂の優れた特徴と欠点を全て持っている。ふっ素樹脂の最上位に位置する。この樹脂は実用的な機械的性質を得るためには分子量が百万を超えるものでなくてはならず、そのため溶融粘度が1011ポイズ程度となり、通常の溶融成形法が使えない。したがって、PTFE特有の成形法である圧縮成形、ラム押出成形が行われている。他のふっ素樹脂群は、PTFEの加工性を改良する過程で開発されたものである。 <特性>[物理的]極低温(4K)でも脆化しない。不粘性である。特異な低摩擦性、非粘着性を備えている。    機械的特性は、しなやかで粘り強く、荷重下での変形は大きく、シール材に適する。    機械部品として無潤滑軸受のような摺動部に用いるときは、ガラス、カーボンなどの無機充填剤を加え使用される。[電気的]熱可塑性樹脂の中では最高の高周波特性を有する。誘電特性は誘電率、誘電正接とも有機固体中最低である。[化学的]熱可塑性樹脂の中では最高の耐薬品性を有する。吸水率は実質的に0である。溶融アルカリ金属、高温高圧のふっ素ガス、特殊なふっ素化合物の他に侵す薬品がない。[熱的]熱可塑性樹脂の中では最高の耐熱性を有する。連続使用温度260℃。<短所>[化学的]溶融アルカリ金属、高温高圧のふっ素ガス、特殊なふっ素化合物の他に侵される。[成形性]融点(327℃)以上でも流動しないので成形性は劣る。粉末冶金に似た方法で成形される。 <用途>[化学工業用] ガスケット、パッキング、O-リング、リップ型シール、メカニカルシール、ネジシール用テープ、配管およびタンクのライニング、ベロー、移送用ホース、チューブ、フィルター、無潤滑コンプレッサのピストンリングなど。[電気・電子工業用] 電線被覆、通信機、電算機の配線、コネクタ、ターミナル、コイルボビンなどの部品、絶縁テープ、ヒーターケーブルなど。[その他] ホッパー内張り、パン練りロールの被覆、フライパンなどのコーティング、製紙、印刷、食品加工機械のロール被覆など。 <メーカー>旭硝子、ダイキン、三井デュポンフロロケミカル、ヘキスト・ジャパン(輸入) <適用製品例>   コーティング     Uシール      ピストンシール    キャブシール[図:株式会社シャイツ工芸HP、三菱電線工業株式会社HP]

(17) テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)<同義語>パーフルオロ(エチレン/プロピレン)共重合体、ふっ化エチレンプロピレン樹脂、四ふっ化エチレン/六ふっ化プロピレン共重合体 <対応英語>Fluorinated Ethylene/Propylene Copolymer, Fluorinated Ethylene Propylene Resin, FEP resin, PFEP <基本的化学構造> <概説>PTFE以外のふっ素樹脂は、すべて融点以上で流動性を示す真の熱可塑性樹脂であるが、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)はその中でも最も使用量の多いふっ素樹脂である。押出成形できる材料として開発され、主に電線被覆やコーティング材として使用される。PTFEと同様、完全にふっ素化された分子構造で、炭素とふっ素だけからできている。以下のような特性を示す。 <特性>ほとんどの性質がPTFEと同様である。[物理的]表面特性(低摩擦特性、非粘着性)、極低温特性などは、PTFEに極めて近い。[電気的]誘電特性はPTFEに極めて近い。[化学的]耐薬品性、吸水性はPTFEに極めて近い。[熱的]連続使用温度は200℃でPTFEよりやや劣る。耐熱性はPTFEより約50℃劣る。[成形性]溶融成形が可能であり、射出成形、押出成形により、PTFEでは不可能あるいは著しくコスト高になる複雑な形状物を量産したり、太い電線の被覆やジャケッティングをしたり、広幅のフィルムを製造するのに便利である。圧縮成形やトランスファー成形も可能である。 <用途>電線・ケーブルの被覆、電子工業・航空機の機器配線用ワイヤーのジャケット、同軸ケーブル、化学工業・石油工業用制御ケーブル、工業用サーモカップル用ワイヤー、化学装置のライニング、ベロー、バルブ部品など。[フィルム] 電気絶縁、非粘着性ロールカバー、製紙、繊維、印刷、食品加工用ロールに被覆熱収縮性チューブ[射出成形品] ソケット、コイルボビン、スペーサー、ブッシュ、コネクタ部品など <メーカー>ダイキン、三井デュポンフロロケミカル <適用製品例>  FEPコートセンサー     チューブ        菓子型      樹脂金型[写真:川惣電気工業株式会社、グンゼ株式会社、株式会社サンフロロHP]

(18) テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)<同義語>パーフルオロアルコキシアルカン、四ふっ化エチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体 <対応英語>Tetrafluoroethylene/Perfluoalkylvinylether CopolymerPerfluoro Alkoxyl Alkane <基本的化学構造> <概説>FEPは、PTFEに欠けている溶融成形を可能にし、しかも特性は出来るだけ保持することを目標に開発されたが、融点が約50℃低いため耐熱性が犠牲になったFEPの最高使用温度を改良するために開発されたPFAはその耐熱性が向上され、PTFEと同等になった。射出成形、押出成形などの溶融成形が可能である。 <特性>[物理的]伸びや衝撃強さはPTFEより優れている。特異な表面特性(低摩耗性、非粘着性)はPTFEと変わらない。摩耗性はやや劣る。[電気的]誘電特性はPTFEと変わらないが、電気特性はやや劣る。[化学的]耐薬品性はPTFEと変わらない。[熱的]融点が302〜310℃(PTFE:327℃)と高く、連続使用温度も260℃で、PTFEと遜色がない。    極低温の特性、不燃性等はPTFEと変わらない。 <用途>電線・ケーブルの被覆ジャケット、チューブ、半導体洗浄治具、理化学機器、電気用コネクタ・ソケット、鋼管・継手・バルブのライニング、ポンプ・タンクの耐食ライニング、ベロー、膨張継手、ホースなど <メーカー>ダイキン、三井デュポンフロロケミカル <適用製品例>    SUS容器(耐食)                    [写真:株式会社サンフロロ]

(19) ポリアミド6<同義語>ナイロン6 <対応英語>Polyamide 6, Nylon 6 <基本的化学構造> <概説>ε-カプロラクタムの開環重合により合成され、我国におけるナイロンの主要部分はナイロン6である。[熱的]ナイロン6の融点(DSC法)はナイロン66より約40℃低く、215℃であり、ナイロン66に比べて成形時における熱劣化も起きにくい。[成形性]成形が容易である。 <用途>輸送機器25%、電気・電子・OA 機器9%、精密・光学・一般機器15%、建材6%、フィルム・シート31%、水産・畜産資材5%、その他9%(1944年)出典:合成樹脂の需要動向調査報告書“1996年”通商産業省基礎産業局化学製品課監修 (社)化学経済研究所 1996年8月発行 <メーカー>宇部興産、鐘紡、東レ、東洋紡績、日本合成ゴム、BASFエンジニアリングプラスチックス、バイエル、三菱エンジニアリングプラスチックス、ユニチカ <適用製品例>    ケーブル貫通部処理部材      自動車部品        食品包装フィルム[写真:北川工業株式会社、宇部興産株式会社HP]

(20) ポリアミド66(PA66)<同義語>ナイロン66 <対応英語>Polyamide 66, Nylon 66 <基本的化学構造> <概説>ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によって製造される。以下のような特性を有する。[物理的]ナイロン6に比べ弾性率が高く、腰が強い。[化学的]吸水性が小さい。[熱的]ナイロン6よりも融点が高く耐熱性が良い。[成形性]寸法安定性に優れている。 <用途>輸送機器53%、電気・電子・OA機器26%、精密・光学・一般機器14%、雑貨・その他7%(1994年)出典:PA6のものと同一 <メーカー>旭化成工業、宇部興産、鐘紡、昭和電工、デュポン、東レ、バイエル、BASFエンジニアリングプラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックス、ユニチカ <適用製品例> インシロック    洗浄便座用熱交換タンク   電気コネクター シフトレバースペース[写真:旭化成株式会社HP]

(21) ポリカーボネート(PC) <対応英語>Polycarbonate <基本的化学構造> <概説>ポリカーボネートとは、一般に二価ヒドロキシ化合物と炭酸との縮合によってつくられたポリエステルの一種であるが、工業的に生産されているものは、ビスフェノールAタイプの非晶性の芳香族ポリカーボネートである。以下のような特性を有する。 <特性>[物理的]機械的特性は高温下でも低温においても非常に強い。プラスチックの中で抜群の耐衝撃性を有している。ガラス転移温度が145〜150℃の透明で光沢に優れるプラスチックである。[電気的]電気特性に優れ、140℃までほとんど変化しない。[化学的]水、弱酸に強い。吸水性は最大0.36%で、吸水によるひずみが起きない。[耐候性]耐候性が良好で、過酷な直射日光、風雨、気温変化にも耐える。[熱的]耐熱性が良好で、低温特性にも優れ、非常に広い温度範囲(−100〜140℃)で使用が可能。    自己消火性である。[衛生性]毒性が少ない。[成形性]寸法安定性に優れる。成形収縮率、線膨張係数も小さく、長時間の経時変化も少なく、精密成形部品に適する。加工時の酸化が少ない。<短所>[化学的]非晶性なので芳香族炭化水素、塩素系炭化水素のような有機溶剤に膨潤、又は溶解する。またソルベントクラックも起こし易い。 <用途>1994年の需要構成は電気・電子分野14%、OA機器分野が18%、自動車分野11%、機械分野10%、建材(シート)分野14%、包装資材8%、医療4%、その他が21%である。(出典:PA6の項参照)具体的な応用例としては:[電気関係]家電機器(VTR部品、ヘアドライヤーハウジング、コーヒーメーカー、テレビ部品、アイロン部品、シェーバ、電子レンジ部品、CDなど)電子通信用(リレーケース、LEDランプ、コンピューター部品、スイッチ、コネクタ、電話ジャック、端子台)照明器具(信号機用レンズ、照明ランプ、グローブ、懐中電灯)[自動車・車両用] ヘッドランプレンズ、ドアハンドル、メーターカバー、バンパー、カーヒーターファン、車両肘掛け、レール絶縁板、二輪車風防[光学機械部品] カメラボディー及び部品、顕微鏡部品、時計部品[OA機器用] 複写機ハウジング、フロッピーディスクドライブ、パソコン・ワープロ部品、ファックス部品[その他機械部品用] ポンプ部品、電動工具ハウジング、フィルターボウル、エスカレーター部品[日用品] 食器、台所用品、哺乳瓶、おもちゃ、ベビーカー部品、コーヒードリッパ、水筒、水道器具部品、くし[文具] 万年筆、筆箱、鉛筆削り[スポーツレジャー用品] スキーゴーグル、空手・剣道防具、野球ヘルメット、パチンコ部品、サーフライダー[その他] 楽器、養魚槽、サンダル[医療器材用] 人工透析ケース、目薬容器、義歯、飼育箱、搾乳器[シート] 車両の窓ガラス、高速道路フェンス、体育館等の窓ガラス、看板、銘板、アーケードドーム[パイプ] 釣竿ケース[フィルム] 包装用フィルム、コンデンサーベース <メーカー>出光石油化学、住友ダウ、帝人化成、日本ジーイープラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックス <適用製品例>      DVD         ヘルメット         コピー[写真:出光石油化学株式会社HP]

(22) ポリアセタール(POM)<同義語>ポリオキシメチレン、ポリホルムアルデヒド、アセタール樹脂 <対応英語>Poly(Oxymethylene), PolyacetalPoly(Formaldehyde), Acetal Resin <基本的化学構造> <概説>ポリアセタール(POM;Polyoxymethylene)は、エンジニアリングプラスチックの名付け親と言うべき樹脂で「金属に挑戦する樹脂」として開発されたものである。POMは(CH2O)nの構造式で表され、ホルムアルデヒドのみで主鎖が構成されているホモポリマーとホルムアルデヒド以外の他の少量モノマーと共重合されているコポリマーがある。また熱安定性向上のための安定化処理の方法が両者で異なる。各種の物性バランスに優れるエンプラで、融点はホモポリマーで約175℃、コポリマーで約165℃と10℃の差がある。力学的性質(強さ、弾性率)や荷重たわみ温度はホモポリマーの方が高い値を示す。例えば曲げ弾性率は、それぞれ3.2×104kgf/cm2、2.6×104kgf/cm2となる。安定化処理の違いは熱劣化特性、耐熱水性、耐アルカリ性などの差に表れる。これらの性質ではコポリマーの方が優れる。全般的には、以下のような特性を有する。 <特性>[物理的]結晶化度が75〜85%と高く、比重が約1.4と他のプラスチックより高い。耐疲労性、強靭性、耐摩耗性に優れる。クリープ変形も少ない。耐疲労性は定応力型で106回の値が約6kgf/mm2である。プラスチックスとしては高い値である。摩耗特性に優れ、自己潤滑性がある。[化学的]結晶性樹脂なので、耐溶剤性、耐油性は良好である。吸水による寸法変化が少ない。    耐溶剤性に優れるため接着や表面装飾が難しい。<短所>[物理的]結晶化度が高いので一般に不透明である。ガラス転移温度が約−60℃なので、力学的特性の温度依存性が大きい。荷重たわみ温度の応力依存性も大きい。[化学的]強酸、強アルカリには弱い。[耐候性]耐候性は悪い。熱安定剤を処方したフレー度がある。[熱的]可燃性であり、一部の電気・電子分野等で必須な難燃化は非常に難しい。 <用途>1994年の需要構成は電気・電子32%、自動車33%、機械21%、その他14%である。(出典:PA6の項参照)その具体的用途としては以下の通りである。[電気・電子部品] テープレコーダー及びVTRのメカ部品、OA機器キー部品、カセットのハブ及びローラー、洗濯機、扇風機の部品など[自動車部品] ドアロック、シートベルト部品、レバーコンビネーション部品、バルブ類、ウインドウレギュレータハンドル、ギヤ・スイッチなどのワイパー部品、カーヒーターファン、スピードメーターギヤ、ウインカスイッチなど[機械部品] 時計、農機具、繊維機械、ミシン、自動販売機などの機械部品など[建築・配管部品] カーテンランナー、アルミサッシ戸車、ガスや水道メーター部品など[雑貨] 服飾用ジャンパーやバックル、ジャーの部品、エアゾールのバルブなど <メーカー>旭化成工業、デュポン、BASFエンジニアリングプラスチック、ポリプラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックス <適用製品例> ローラーシャフト、ギヤ付きローラー               [写真:旭化成株式会社HP]

(23) ポリイミド(PI)<同義語>イミド樹脂 <対応英語>Polyimide, Polyimide Resin <基本的化学構造> <概説>熱硬化型PIには反応形態により、縮合タイプ(縮合反応)と付加タイプ(付加反応)があり、ビスマレイミドや芳香族イミドを反応原料とした樹脂が多用されている。 <特性>[物理的]耐摩耗性に優れ、限界PV値は7,000kgf/cm3・m/minを有する。    高分子中で最高の耐熱性(250〜360℃)    極低温特性に優れ、−200℃でも物性に変化はない。(−200〜+250℃で常用できる)。[電気的]高分子中で最高の電気絶縁性(H種、広い周波数と温度範囲で安定した誘電特性)[化学的]耐薬品・耐溶剤性に優れる。但し、n-メチル-2-ピロリドン、DMF、1,4-ジオキサンなどに溶けるものがある。[熱的]高分子中で最高の難燃性[成形性]各種充填剤(ガラス繊維、カーボン繊維、グラファイト、炭酸カルシウム、ふっ素樹脂など)との親和性が良い。寸法安定性が良い。<短所>[物理的]吸湿、吸水による特性、変化の傾向がある。 <用途>耐熱性、寸法安定性を活かした用途が多く、用途範囲は広い;[成形品] 耐熱性高寸法精度部品、ベアリング、ワッシャー、ブッシュ、シール材、実装部品基盤など。[フィルム] マグネットワイヤー、モータ絶縁、フレキシブル回路基盤、キャリアテープ、TABテープ[ワニス、接着剤、コーティング材] H種以上の絶縁エナメルワニス、半導体絶縁、コイル含浸 <メーカー>宇部興産、鐘淵化学、東芝ケミカル、東レ・デュポン、三菱ガス化学 <適用製品例>

(24) ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン)<同義語>ポリビスマレイミドトリアジンポリビスアミドトリアゾール <対応英語>Bismaleimide-Triazine Resin,Polybismaleimide-Triazine, BT Resin <基本的化学構造> <概説>BTレジンはイミド基とトリアジン環を持つ樹脂で、広義にはポリイミドに分類される。イミゾダール環で変性した材料も工業化されている。 <特性>[物理的]機械的特性、耐摩耗に優れ優れている。[電気的]電気特性、誘電特性に優れている。[化学的]耐湿性が良い。吸湿性の機械的強度の低下に及ぼす影響は小さく、信頼性が高い。[熱的]長期耐熱性が優れている。[耐候性]耐放射線に優れている。[加工性]良加工性。接着性に優れている。化学メッキの技術が実用化されている。成形加工時のプリプレグの保存安定性が極めて良く、常温での保存も可能である。射出成形品は、耐熱性、電気絶縁性、低収縮率が顕著である。[衛生性]無毒性 <用途>[高性能電子部品用材料] 銅張積層板、コネクタ、回路一体型成形部品など[C〜H種用絶縁材料] 重電機器などの絶縁部品、耐熱性接着剤。自動車用部品などの絶縁・摺動部材[樹脂変性材、触媒充填剤、補強材] 航空機、自動車、電車、原子力発電用に各種繊維(石英、カーボン、ケプラー、ガラス)などとの複合 <メーカー> 三菱ガス化学 <適用製品例>

(25) ポリフェニレンスルフィド(PPS)<同義語>ポリフェニレンサルファイド <対応英語>Poly(Phenylene Sulfide) <基本的化学構造> <概説>耐熱性に優れたスーパーエンプラで、製法により架橋型と直鎖型がある。その特性は、両者一長一短がある。前者は耐熱性、強度、剛性に優れるが引張伸びが小さく、強靭性に欠ける。一方、後者は耐熱性、強度、剛性は前者より劣るが、引張伸び、強靭性に優れる。また、樹脂の色が前者は褐色で着色に制限があるのに対し、後者は白ないし淡黄色であり、着色が可能となる等の相違がある。 <特性>[物理的]極めて硬い熱可塑性樹脂で、主にガラス繊維と複合したFRTPとして使われる。    強度・剛性が高く、高温でも機械的性質の低下が少ない。    耐摩耗性に優れ、非粘着性である。PTFEをブレンドした塗膜は非粘着性、低摩擦係数となる。[電気的]電気的特性に優れている。[化学的]耐薬品性は優れていて、ほとんどの有機溶媒に侵されず、酸化性の酸の高温で侵されるだけで、耐熱水性も高い。    吸湿性が0.02%と極めて低く、線膨張係数も小さいため寸法安定性が良い。[熱的]荷重たわみ温度が260℃と非常に耐熱性が優れており、ポリイミド、PTFEの耐熱性に匹敵する。    難燃性に優れ、難燃剤を加えずにUL94V-0に合格する。[成形性]成形性は流れが良好で、成形収縮率も0.2%以下と少なく、精度の高い成形が可能である。粉体の高温焼付けにより金属に密着性の良い耐熱、耐食性の高い塗膜が得られる。無機質との親和性が良いので、ガラス繊維のほか炭素繊維、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFEなどをブレンドして高度の摺動材料、メタルに変わる高剛性材料がつくられる。[衛生性]無毒性である。 <用途>PPSの需要構成は電気・電子分野46%、自動車分野33%、その他工業用部品16%、その他15%である。(出典:PA6の項参照)具体的応用例としては、[自動車] ラジエターサーモスタット、排ガス対策パーツ、オルタネータ部品、イグニッション部品、モータ用ブラッシュホルダ、エンジン回りの電装部品の絶縁パーツなど。[電気・電子] ドライヤーグリル、ヘアーアイロンジョイント、サーモスタットベース及びケース、コネクタ、ヒューズホルダ、コンタクトブレーカー、IC部品、コイルボビン、小型モータケース、軸受など。[機械] ポンプ、バルブ、流量計のハウジング及び内部部品、カメラパーツ、時計ケース、複写機パーツ、ケミカル用ファン、ギアポンプギア、タコメーター部品など。 <メーカー>旭硝子、出光石油化学、宇部興産、呉羽化学工業、信越ポリマー、住友ベークライト、大日本インキ化学工業、東ソー・サスティール、東レ、トープレン、ポリプラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックス <適用製品例> 電気・電子分野                     [写真:出光石油化学株式会社HP]

(26) ポリブチレンテレフタレート(PBT)<同義語>ポリテトラメチレンテレフタレート <対応英語>Poly(Butylene Terephthalate) <基本的化学構造> <概説>ジメチルテレフタレートあるいはテレフタル酸と1,4-ブチレングリコールとの重縮合により得られる熱可塑性の飽和ポリエステルである。汎用エンプラでは最も歴史の新しい樹脂である。エンプラとしての熱可塑性飽和ポリエステルの中ではPBTが成形性、物性、価格などでバランスが取れており、最も需要が多い。PBTは総使用量の過半数のものが複合系グレードとして使用されている。 <特性>[物理的]PBTは結晶性樹脂(融点:215℃)で、結晶化度は約35〜40%である。    ガラス繊維入りグレードとしては摩擦特性が良い。    非強化グレードの成形品の表面光沢は良好であり、ばね特性をもつ。[電気的]電気的性質が優れている。[化学的]結晶性であるので有機溶剤、潤滑剤、ガソリンなどには十分な剛性がある。    吸水率が小さいので力学的性質などの変化が少ない。[耐候性]結晶性樹脂の中では耐候性が良好である。[熱的]熱劣化特性に優れていて、UL温度指数ではガラス繊維30%グレードの力学的性質(衝撃なし)は140℃、電気的性質は130℃である。[成形性]結晶化速度が速いので成形サイクルは短い。寸法安定性も良い。<短所>[物理的]ガラス転移温度は40〜60℃である。このため非強化グレードの荷重たわみ温度の応力依存性は大きい。強さ、弾性率はこの温度近辺で大きく変わる。[化学的]高温使用時に水分があると加水分解による劣化が起こる。エステル結合があるのでアルカリに侵される。 <用途>PBTの1994年の需要構成は電気・電子部品44%、自動車部品47%、機械・精密部品、輸出、その他9%である。(出典:PA6の項参照)その具体的応用例としては、[電気・電子分野] コネクタ、プラグ、ソケット、コイルボビン、スイッチ、リレー、ケース、モータ部品、ステレオ部品、カバー類、チューナ部品、素子ケース、テレビ高電圧部品、抵抗器、蛍光灯口金、ドライヤー部品、ファンモータなど。[自動車部品] スピードメーター部品、フューエルポンプ部品、バルブ類、ワイパープレート、各種スイッチ、ソケット、カップラーキャップ、イグニッションコイル、ディストリビューターキャップ、キャブレータ、安全ベルトパーツ、ギヤ類、バンパーなどの外装品、排気ガス対策部品、ワイヤーハーネスコネクタ、アウタードアハンドル、ランプリフレクター、フューエルリッド、ミラースティなど[機械部品その他] 時計部品、複写機カバー、ポンプ、事務機器部品、農業機器、ガス、水道部品、建材部品、自転車用駆動部品、ミシン部品、OA機器のキートップ、サインペンキャップなどの文房具など <メーカー>宇部興産、クラレ、大日本インキ化学工業、帝人、東レ、日本ジーイープラスチックス、ポリプラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックス、三菱レイヨン <適用製品例>

(27) 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)<同義語>変性ポリフェニレンオキサイド変性PPE、変性PPO <対応英語>Modified Poly(Phenylene Ether)Modified PPE, m-PPE,Modified poly(Phenylene Oxide)Modified PPO, m-PPO <基本的化学構造> <概説>ポリフェニレンエーテル(PPE)は、荷重たわみ温度220℃の非晶性材料である。機械的特性や熱特性に優れたエンプラであるが、成形加工が難しい。このため単独で用いられることはまれで、大部分はPS等とアロイ化して使用される。変性PPEはPPEの成形性を改善するためPS系プラスチックとブレンドしたポリマーアロイが主である。PPEはPSと任意の割合で均一に混合し、相溶系をつくる。ガラス転移温度は加成性を示し、混合比率により、荷重たわみ温度は80℃から170℃まで自由にコントロールできる。また非ハロゲン系難燃剤で難燃化できる数少ない樹脂である。難燃剤との相溶性も良く、添加量によりV-1からV-0まで調整できる。近年では、PPE/PAも上市されており、自動車外装用途などに使用されている。 <特性>[物理的]機械的特長のバランスがとれた樹脂で、強度、剛性、衝撃強さ、耐クリープ性が優れている。    比重は1.06とエンプラでは最も小さい部類に入る。剛性があるため軽量化が容易である。[電気的]エンプラの中では最も誘電率、誘電正接が低く、周波数や温度による影響も小さい。    絶縁破壊電圧はエンプラの中で最高である。[化学的]吸水性が非常に小さく、耐水性に優れ、熱水にも安定である。酸、アルカリに耐える。[熱的]種々の耐熱性のグレードが揃っている。荷重たわみ温度と難燃性(V-1〜V-0)を自由にコントロールできるため、用途に応じた材料ができる。[成形性]成形収縮率が小さく、熱膨張係数も他のエンプラと比較して最も低い。寸法精度、寸法安定性に優れている。<短所>[耐薬品性] ハロゲン化物、芳香族化合物などの有機溶媒に侵される。 <用途>変性PPEの需要構成はOA機器分野が41%、自動車分野26%、電気・電子分野22%、その他11%である。(出典:PA6の項参照)具体的応用例としては、[事務機器] レーザービームプリンタ、複写機、ファックス、フロッピーディスクドライブ、パソコンなどのハウジング、シャーシ、CD-ROMシャーシなど[自動車] ホイールキャップ、インストルメントパネル、スポイラ、ラジエーターグリル、コンソールボックス、スピーカグリル、ルーバ、外板部品など[電気・電子] フライバックトランスの絶縁ケース、コイルボビン、アダプタ、LEDケース、リレーソケット、モータ部品、ACアダプターなど[家電] テレビ、ビデオカメラ、ビデオディスクプレーヤー、エアコン、炊飯器、加湿器などのハウジング、各種部品[機械] 各種カメラ部品、計測器、各種ポンプのインペラーなど。 <メーカー>旭化成工業、日本ジーイープラスチックス、三菱エンジニアリングプラスチックス、住友化学 <適用製品例>

(28) 生分解性プラスチック<同義語>グリーンプラ <対応英語>Biodegradable Plastics <基本的化学構造(代表例としてポリ乳酸)> <概説>生分解性プラスチックは、微生物の菌体外酵素により低分子量化合物に分解し、好気的分解(酵素の存在下)では最終的に水と二酸化炭素に、嫌気的分解(酵素が存在しない条件下)ではメタンと二酸化炭素に分解される。国際標準化機構(ISO)で合意されたプラスチックの「生分解性」の用語の定義としては、「特定の標準化試験法で所定時間内にバクテリア、カビ、藻類など微生物の作用により指定された程度に分解を受けた場合、その材料は生分解性である」となっており、標準化された試験方法で所定量以上の生分解速度を確保することが生分解性プラスチックの前提となっている。生分解性試験方法:国際標準化機構(ISO)ISO 14851、14852、14855日本工業規格(JIS)JIS K6950、K6953 <種類>実用展開されている生分解性プラスチックは次の3つに大別され、原料や製造法、材料としての力学特性や生分解の挙動において大きく異なっている。[微生物産生系]微生物がつくる典型的なポリエステルはポリ-3-ヒドロキシブチレート[P(3HB)]であり、通常、乾燥菌体重量の5〜20%のP(3HB)を蓄えているが、培地組成を調整すると70〜80%まで蓄える。菌体内に貯蔵されたP(3HB)は、物理的処方、化学的処方や有機溶媒に溶解して取り出すことができる。P(3HB)は確実に生分解を受ける基準物質として指定されている。[化学合成系]ポリ乳酸(PLA)L-乳酸のみからなるポリ(L-乳酸)は融点が180℃、ガラス転移温度が60℃の結晶性ポリマーである。   ポリ乳酸の子分子量体は他の生分解性プラスチックとは異なった過程で生分解する。高分子量ポリ乳酸は、まず微生物の関与しない化学的(非酵素的)加水分解によりMnが10,000〜20,000程度まで分子量低下する。その後、加水分解に加えて生分解がはじまり、重量減少が認められる。ポリ乳酸はコンポスト中では容易に生分解するが、通常の自然環境中では1年程度ではほとんど重量減少は見られない。[天然物利用系]植物が生産するデンプン、セルロースや、カニ・エビなどの甲殻類の甲羅に含まれているキチンなどの多糖を利用した生分解性プラスチック。多糖類は熱可塑性を示さないため汎用プラスチックのような成形加工ができない。この点を解決するために、変性や他の生分解性プラスチックとのブレンドが行われる。 <用途>[繊維用]糸、綿、編み織物、不織布、網、水切りネット(コンポスト化(堆肥化))[包装用]紐、ロープ、結束バンド、ネット[フィルム・シート]インフレーションフィルム、一軸延伸・二軸延伸フィルム、発泡シート[成形品]射出成形、真空成形、ブロー成形、発泡成形。カップ、ボトル、食器類、爪楊枝等 <メーカー>[ポリ乳酸]三井化学、カネボウ合繊、東洋紡績、Cargill-Dow他[ポリビニルアルコール]日本酢ビ・ポバール、クラレ、日本合成化学工業他[ポリブチレンアジペート/テレフタレート]BASF他 [ポリブチレンサクシネート]昭和高分子他 <適用製品例>    [写真:生分解性プラスチック研究会HP]

[引用文献] ・(財)高分子素材センター 新素材事業部;高分子素材ガイドブック(1997);全般

〔V〕プラスチックの成形加工法 1. 各種プラスチックと適用されている成形加工法

表1 各種プラスチックと適用される成形加工法 成形加工プラスチック 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 圧縮成形 トランスファ成形 積層成形・高圧 積層成形・低圧 射出成形 押出成形 吹込成形 カレンダ成形 注型 ペ|スト技術 粉末技術 (1) フェノール樹脂 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ (2) ユリア樹脂 ◎ ◎ ◎ ○ ○ (3) メラミン樹脂 ◎ ◎ ◎ ○ (4) シリコーン樹脂 ◎ ◎ ○ (5) エポキシ樹脂 ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ◎ (6) 不飽和ポリエステル ◎ ○ ◎ ○ ○ (8) ポリウレタン ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ (9) 塩化ビニル樹脂 ○ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ (10) ポリスチレン ◎ ◎ ◎ (11) AS樹脂 ◎ ○ ○ (12) ABS樹脂 ◎ ◎ ○ ○ ◎ (13) ポリメタクリル樹脂メチル ○ ◎ ◎ ○ ○ (14) ポリエチレン ○ ◎ ◎ ◎ ◎ (15) ポリプロピレン ◎ ◎ ◎ ◎ (19) ポリアミド6(20) ポリアミド66 ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ (21) ポリカーボネート ○ ◎ ◎ ○ ◎ (22) ポリアセタール ◎ ◎ ○

2 成形加工法および機械 2.1 圧縮成形 成形順序 1) 成形材料の秤取(又はタブレットの準備) 2) 秤取材料、またはタブレットの予熱 3) 予熱した材料のキャビティへの投入 4) 低圧型締め 5) ガス抜き 6) 高圧型締め、加圧保持(硬化) 7) 型開き 8) 成形物の取出し 9) 金型の清掃

     図1 圧縮成形           図2 圧縮成形機(株式会社神藤金属工業所)

2.2 トランスファ成形 熱硬化性樹脂の成形法の一つで、加熱室内でいったん加熱軟化した樹脂をノズル(ゲート)からキャビティーの中へ押し込んで硬化させる方法である。 トランスファ成形の利点と難点(圧縮成形と比べた場合)  [利点] 1) 注入時にランナやゲート部で摩擦熱によって発熱するため、硬化時間が短い。 2) 均一硬化により成形品の品質が向上する。 3) 軟化した材料が注入されるのでインサートをいためない。 4) いばりが薄く、仕上げの手間がかからない。 5) 多数個取りが用意である。  [難点] 1) 材料のむだができる(カル、ランナ、スプルーなど)。 2) 高い型締力を要する(通常圧縮成形の3倍程度の型締力が必要)。 3) 繊維質充填剤が配向し、成形品がそりやすい。

図3 トランスファ成形     図4 トランスファ成形機(株式会社神藤金属工業所)

2.3 積層成形  樹脂を含浸させた紙、布、マットなどを適当枚数重ね合わせ、加熱、加圧により硬化させて一体とする方法を積層成形と呼ぶ。このとき、どの程度の圧力を必要とするかにより、高圧積層と低圧積層とに分類することができる。

     図5 樹脂含浸紙製造工程           図6 含浸基材製造装置

  図7 多段プレスによる積層板の製造

 積層板:所定の枚数の含浸基材を積み重ねる。  化粧板:さらにその上に化粧紙を載せた光沢板に挟み、多段プレスに挿入し加熱、加圧成形する。

2.4 射出成形  射出成形は、原理的にはシリンダ中で加熱流動化(可塑化)させた成形材料を高圧により金型内に射出し、その中で冷却固化(熱可塑性樹脂の場合)または硬化(熱硬化性樹脂の場合)させ、次いで金型を開いて成形品を取り出す。したがって成形材料が熱可塑性であるか、熱硬化性であるかにより、最適金型温度は著しく異なり、またシリンダの構造やシリンダ温度などもそれぞれ異なっている。しかし、成形機や金型の基本構造はほとんど同じで、成形技術上でも類似点は多い。 図8 射出成形機の外観(横型、株式会社名機製作所)

             図9 射出成形サイクル  成形サイクル 1) 型締め 2) 成形材料の射出 3) 保圧 4) 冷却(この間に次回に射出されるべき材料の可塑化と計量が行われる) 5) 型開き 6) 成形品の取り出し

    図10 型締機構               図11 各種ゲート

   図12 ゲートバランス

2.5 押出成形  押出成形は加熱流動化させたプラスチックをダイを通して連続的に押し出すことにより成形する方法で、設備としては図12のように押出機、ダイ、および引取装置の3者がかくことのできない要素である。

     図13 単軸押出機(東芝機械株式会社)    図14 単軸押出機の構造

  図15 単軸押出機の代表的なスクリュー

A:溝の深さが先端に向かって漸減、先端部で一定。一般的 B:圧縮部が短い。ポリオレフィン等の結晶性ポリマー用 C:計量部に特殊ヘッド。特に混練が必要な場合に使用

  図16 二軸押出機のスクリュー

  図17 パイプ用ダイとサイジングシステムの代表例

図18 インフレーション法による       図19 インフレーション法による       フィルム製造工程               ポリエチレンフィルムの製造

図20 インフレーション法における    図21 Tダイ法によるシート製造工程 水冷システム

  図22 発泡製品の押出成形原理図          図23 電線被覆工程

2.6 吹込成形  吹込成形は、押出機からチューブを押し出し(押し出されたチューブはパリソンと呼ぶ)、柔らかいうちに金型で挟み、チューブ内に空気を吹き込んで中空製品を作る方法である。

  図24 吹込成形              図25 回転式吹込成形

  図26 角形びんの横断面図と肉厚分布と パリソン用ダイのデザイン

  図27 射出吹込成形

2.7 カレンダ加工  カレンダ加工は樹脂を熱ロールによって圧延し、フィルム、シート、レザー、床材などをつくる方法で可塑化温度範囲の広い材料に適用される。塩化ビニル樹脂、ゴム類への利用は代表例であるが、そのほか繊維系プラスチック、メタクリル樹脂、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレンなどにも応用できる。 図28 カレンダの型式 図29 カレンダロールと作業上の呼称

図30 フィルム・シート製造工程

2.8 注型 注型は熱硬化性樹脂初期縮合物、熱可塑性樹脂モノマーまたはその部分重合物、熱可塑性樹脂加熱溶融体などの液状プラスチックを型に流し込み、通常、常圧下で型中で固化させて成形する方法である。

図31 注型による板の製造

2.9 ペースト技術 ペーストレジンは主に乳化重合で作られたPVCで、重合度は1,200〜1,700、粒径は0.1〜2μmの微細な球形粒子よりなる白色粉末である。ペーストレジンに適量の可塑剤を加えてよく混合するとレジン粒子が可塑剤中に分散浮遊し、ペースト状態となる(プラスチゾル)。プラスチゾルは常温では液状を保つが、加熱するとレジンが軟化溶融し、レジン微粒子内部への可塑剤の浸透拡散によってゾルの増粘、更にゲルへの変換を行う。ゲルはゾルとは反対に固体レジンの連続組織内に可塑剤が微分散した状態で、ゲル化が完全に起こればペーストはもはや流動しなくなり、やわらかで強靭な弾性体となる(セット)。セットのための最適温度は175℃付近である。 ペーストのこのような性質を利用すると、一般PVCには適用不可能な種々の加工技術によりさまざまな形態のPVC製品をつくることができる。

図32 ディップ成形

2.10 粉末技術 粉末技術とは粉末状プラスチックの流動・分散性などいわゆる紛体としての特性を加工工程に利用し、合わせて熱的性質あるいはさらに電気的性質までも応用して行う加工技術の総称である。

図33 エンゲルプロセス

図34 三軸式回転成形機と成形工程

図35 静電塗装工程

図36 流動浸漬の原理 図37 流動浸漬槽から引き上げた洗濯籠

3 成形用金型 3.1 射出成形用金型

図38 射出成形用金型 図39 割り型を用いた金型(2ヶ取り)

図40 アンダカットのある製品の金型 図41 内面ネジの金型

  図42 ホットランナモールド 図43 ダイレクトゲート金型

3.2 押出成形用金型

図44 ダイ内の材料流路の形状と流線 図45 ストレートダイ

図46 クロスヘッドダイ 図47 オフセットダイ

図48 2層インフレーションフィルム用ダイ 図49 電線被覆用ダイ

4 強化プラスチックの成形 4.1 ハンドレイアップ法 型に樹脂、補強材を積層して空気に暴露したまま硬化する方法。舟、プール、タンク、浴槽、便槽

図50 ハイドレイアップ法の概要               〔プラスチック成形加工技術ガイド、p.180(工業調査会、1997)〕

4.2 スプレーアップ法 触媒入りの樹脂と促進剤入りの樹脂をそれぞれ別のスプレーガンから同時に吹き付けると同時にロービンカッターで切断されたガラス繊維も型に吹き付ける方法(1)と同一製品、労力がハンドレーアップ法の1/4.

    図51 スプレーアップ成形             図52 スプレーアップ用ガン (株式会社明治機械製作所)            (株式会社明治機械製作所)

4.3 マッチドダイ法 成形温度 100〜150℃ 圧力   0.7〜2.1MPa 硬化   3〜5分 補強材をあらかじめ被成形物の形状にプレホームしたものを型に入れ、樹脂を含浸させて硬化させる。複雑な形状物の量産成形に最も経済的。椅子、安全帽、エンジンカバー、自動車の部品

図53 マッチドダイのピンチオフ部

4.4 プリミックス法 樹脂やガラス繊維の他に多量の充填材を加え、混練してパテ状にした材料を用いる。BMCは塊状成形材料(Balk Molding Compound)を略したもの。BMCではプレス成形以外に射出成形も可能である。プレス成形 120〜140℃、圧力5〜10MPa、硬化3〜5分

4.5 SMC法 ガラス繊維やマットにポリエステル樹脂を含浸させた後ゲル化させた成形材料をシートモールディングコンパウンド(SMC)という。マッチドダイ法に比べて高圧のプレスを必要とする。成形条件はBMC法と同じ。

図54 SMCの製造工程

4.6 コールドプレス法 FRP製の雌雄型を用い常温成形用ポリエステルの硬化に伴う発熱を利用して成形する。プレスを用いるが常温成形であるので、コールドプレス法という。 成形はマッチドダイ法と同じ手法で成形、短時間でゲル化し発熱を起こすような触媒や促進剤を多量に加える。

4.7 フィラメントワィデング法 樹脂を含浸させたガラス繊維を芯型に巻き付け成形する。ガラス繊維含有量が高く、極めて強度の高い成形品が得られる。

図55 FW法の概要

4.8 引抜成形法 ガラス繊維に樹脂を含浸させ、これを加熱ダイに通し、他端から引き抜いて棒、パイプおよび異形品などを製造する方法。

図56 引抜法

4.9 連続積層法 離型フィルム(セロハンまたはポリエステルフィルム)の上に切断したガラス繊維のロービングを落下させ、ポリエステル樹脂を注ぎ、さらにその上に離型フィルムをかぶせた後、脱泡を行い、そのまま70℃の硬化炉の中へ入れる。波板用では硬化炉の中に数ヶ所、波板用ダイが置かれている。

図57 連続積層法の概略 〔森本尚夫著、FRP成形の実際、p.249(高分子刊行会、1984)〕 [引用文献] ・大阪市立工業協会ほか;プラスチック読本,プラスチックエージ(1980、2002);全般 ・廣江章利、本吉正信;プラスチック成形加工入門、日刊工業新聞社(1995);図21

〔W〕プラスチックの劣化1) プラスチックを材料とする製品は加工性、軽量性、耐食性等の利点から、建築設備分野でも広く使用されている。これらプラスチック製品の一例として樹脂管があり、硬質塩化ビニル管、耐熱性硬質塩化ビニル管、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管がある。 一方これらプラスチックは種々の要因で劣化する。代表的な要因として熱、紫外線、化学薬品、応力などがあり、これらの劣化の特徴を知ることは重要である。 また、プラスチックの劣化を進めない方法としては添加剤や、成形、施工法があり、これらを理解することも重要である。 これらの点に留意し、正しい材料選択と使用を心掛けて頂きたい。

はじめに プラスチックを材料とする製品は耐食性、電気絶縁性、加工性等多くの特長を有し、戦後の化学工業の発展と共に日用雑貨から建築材料等の広い範囲で普及してきた。 確かに石油を主な原料とするプラスチック製品は化学的、電気的に安定しており金属材料のような腐食による劣化は起こりにくい。しかし、雨樋の変色や脆化、熱水管の変形や破損に見られるように紫外線や熱、一部の化学物質が材料固有の性能を低下させる原因となる。  本報では主に配管材料として用いられる樹脂管を中心に劣化を促進する要因とメカニズムを解説すると共に、その対策について述べる。

1.建築設備に使用される主なプラスチック 建築設備には色々なプラスチックが使用されている。例えば各種樹脂管、壁紙、雨樋、給排気用ダクト、照明カバー、電線の被覆材など多種多様であり、また樹脂サッシや樹脂サイディングなども普及が見込まれ、今後ますます拡大すると考えられる。本稿ではこれらの中で、主に樹脂管を取り上げ、その劣化について触れることにする。ここで、JISに規定されている代表的な樹脂管を表‐1に示す。 樹脂管の用途は広いが、熱硬化性樹脂を除き樹脂別に分類すると硬質塩化ビニル(PVC)、耐熱性硬質塩化ビニル(CPVC)、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン(PEX)、ポリブテン(PB)の5種類に大別される。図‐1にその分子構造式を示す。

プラスチックは一般に以下の長所を有する。 @錆びや電食性がない。赤サビ・青サビの発生などによる 水質汚濁がない。 A衛生的である。有害物質の溶出がない。 B摩擦抵抗係数が小さく、スケールが付きにくい。 C施工性が良い。 また、短所としては下記が挙げられる。 @クリープ現象がある。 A熱膨張係数(線膨張係数)が大きい。 B使用圧力、温度条件に制約がある。 C熱や紫外線により劣化する。 今回取り上げる5種類の樹脂管について、その区分を表‐2にまとめた。以下、個々の樹脂について概説する。

1.1 ポリ塩化ビニル(PVC)管 ポリ塩化ビニル(PVC)は代表的な汎用樹脂である。分子構造はビニル基に塩素がひとつ付いた基本単位が重合したもので、非晶性樹脂である。他の汎用樹脂に比べ引張強度が高い。使用限界温度は60℃であり、低温では脆くなり、脆性破壊する可能性がある。自己消火性を示すが、燃焼時、刺激性ガスを出す。耐薬品性は良好で、酸、アルカリにも良く耐え、特に塩素、塩化物に対しても非常に安定している。ただ、シクロヘキサノン、ニトロベンゼン、テトラヒドルフランなどには溶解する。 管としては、昭和30年代後半から屋内配管に使用されはじめ、さらに昭和55年には薄肉鋼管の内面に塩ビ管をライニングした排水用塩ビライニング鋼管が開発された。さらに近年、環境問題への感心が高まる中、平成12年に中間層に再生塩ビ材料を用い、管の内外面には新材料を用いた建物排水用リサイクル発泡三層管が発売され、平成15年2月の閣議決定でグリーン調達法の指定品目となった。なお、この管は埋設用途の下水道用リサイクル三層管とともに平成17年度にJIS規格が制定される予定である。管の接続方法は、接着接合かゴム輪接合方式である。 1.2 塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)管 塩化ビニル樹脂の水素の一部が塩素に置換した構造で、PVCに比べ軟化温度は高くなる。これは塩素化により分子鎖の動きが制限されるためで、限界使用温度は60℃から85℃に上昇する。基本的にはPVCと同じ特徴を有している。 耐薬品性は、PVCは酸、アルカリに強い樹脂であるが、塩素化することにより耐強酸性は強い傾向が見られる。逆に塩素化することにより極性が高くなることから、溶剤系に溶解しやすくなる傾向が見られる。エステル、ケトン、芳香族炭化水素、クレオソート、塗料、防蟻剤等に対する耐薬品性は良くない。主に高温特性を生かし、給湯管として用いられている。 1.3 ポリエチレン(PE)管 代表的なポリオレフィン系の汎用樹脂である。分子構造は炭素と水素の直鎖で構成される最も単純な形をしており、結晶性樹脂である。柔軟性、耐衝撃性、低温特性、耐震性に優れており、ウォーターハンマー等の水撃に対しても強い性質を示す。また圧縮復元性がある。化学的にはかなり安定な樹脂で、常温では有機溶剤に対しても安定であるが、ごく微量であるが、ガス浸透性が認められる。 給水用ポリエチレン管は、1980年頃より敷設後数年経過した管の一部で水泡が発生する現象が見られたが、これは耐候性向上のために添加されていたカーボンブラックが関与していたことが解明された。その後カーボンブラックを配合していない内層を持った二層管の耐塩素水性が良好であることが確認され、1998年のJIS改定では、単層管を削除し、二層管だけの規格に統一された。 給水管の接続は、金属継手が一般的で、配水管は電気融着式(EF)継手が採用されている。材料の特徴から長尺管が生産でき、また可撓性を生かした曲げ配管が可能なため、継手箇所を少なくすることが可能である。これにより施工性に優れ、また継手部分からの漏れの可能性も低減できる。これはポリオレフィン系管材の共通の特長である。主な用途は水道用給配水管や農工業用配管である。なお、本樹脂は指定可燃物に属する。 1.4 架橋ポリエチレン(PEX)管 ポリエチレンに架橋剤を加えて加熱して架橋反応させる。反応が終了した時点で熱硬化性樹脂のような立体網目構造となり、分子量は飛躍的に向上する。架橋の程度は、一般にゲル分率で表される。ポリエチレンと比較して架橋により耐ストレスクラッキング性、クリープ性能、耐薬品性、耐塩素水性、耐熱性が向上する。 管の接続には主に金属継手を用いる。可撓性と適度なコシの強さのため、予め埋設或いはピット内に配置されたCD管に後から押し込み通管させる“さや管工法”も採用可能である。 なお、架橋反応により熱硬化性樹脂的な性質に変わることから、再加工は困難で、現在各種リサイクル方法の研究が進められている。主に給水、給湯管や床暖房配管に使用されている。 1.5 ポリブテン(PB)管 分子構造は、ビニル基の側鎖に大きなエチル基をもち、立体的にはラセン構造をしている。ポリオレフィン系の結晶性樹脂である。分子量が約120万と大きいこと、特殊の分子構造を持つことにより、耐熱クリープ特性、耐ストレスクラッキング性を示す。柔軟性、耐熱性、耐薬品性に優れ、不凍液や潤滑剤などにも安定している。 接続方法は金属継手と融着継手が使われ、住宅用給水給湯配管、空調用冷温水配管、温水引湯用配管、床暖房配管、融雪配管等に使用されている。最近では給水給湯配管にさや管を使用しないヘッダー方式や分岐工法などの様々な工法が採用されている。

2.劣化を進める外的要因・メカニズム JISプラスチック用語(K 6900)では、劣化(degradation)は「特性に有害な変化を伴う化学構造の変化」となっている。また老化(ageing)は「時間の経過の中で材料に生じる不可逆的な化学構造および物理的作用の全体」となっている。具体的には劣化は分子の主鎖や側鎖が切断したり架橋することにより性能、機能、外観などの特性が低下することであり、老化は化学構造や分子配向、結晶化、応力緩和などの経時的で、不可逆な変化を意味すると考える。ここでは、劣化と老化を合わせ、配管部材としての機能に影響を与える悪い変化を劣化として捉え、取り扱うことにする。従って金属に対してプラスチックの特徴であるクリープ現象は一般には老化に入ると考えられるが今回取り扱うことにする。表‐3 2) にプラスチックの劣化要因とその現象を示す。また、それぞれの樹脂管に影響を及ぼす主な劣化要因、すなわち使用にあたり考慮しなければならない劣化要因について表‐4に示すと共に、以下これらの個々の劣化要因について解説する。  

2.1 熱 2.1.1 プラスチックの熱分解  プラスチックの熱分解反応は多数の素反応からなり複雑であるが、表‐5に示す熱分解パターンに分類できる 3)。プラスチックの熱分解は主鎖切断型と主鎖非切断型に分類される。主鎖切断型は主鎖が切断して低分子量化し、最終的に揮発物質になる型である。主鎖非切断型は分解と同時に架橋や環境など他の反応を起こして炭化する型である。次に主鎖切断型はランダム分解型と解重合型とに分けられる。ランダム分解型はラジカル的に起こる熱分解反応で、主鎖がランダムに切断するものを言い、分解が進むにつれて鎖長が短くなり分子量は低下するが、モノマーあるいは揮発性物質の生成はきわめて少ない。この分解は主鎖の結合エネルギーに支配され、エネルギーの大きいものほど熱分解しにくい。PE、PBはこの型に属する。解重合型は、弱い結合のところでは主鎖の切断が起こり、この切断部からモノマーが1つずつ分離脱離するものである。この型のプラスチックでは、分解生成したモノマーは気化して系外に除かれるため、加熱減量があっても、残存プラスチックの重合度はあまり変化しない。したがって、物性低下も比較的小さいという特徴がある。 主鎖非切断型は主鎖炭化型と側鎖脱離型に分類される。この型はある程度主鎖切断は伴うが側鎖の脱離、分解が優先し、架橋、環化その他の反応を起こして分子全体が炭化し不溶化する。PVC、CPVCは側鎖離脱型に属する。

2.1.2 塩ビ系樹脂の熱劣化 塩化ビニル樹脂は熱安定性が低いため、加工時および製造後の変色や分解を防ぐために安定剤を配合している。樹脂分解は起点になる結合の弱い部分がところどころにあり、そこから脱塩化水素が発生しポリエンが生成すると言われている(図‐2参照)。ポリエンは一つおきに二重結合のある構造をしているが、この二重結合が8単位ぐらいになると変色し始め、さらに多くなるにつれて黄色、赤色、褐色、黒色に変化する。 安定剤の作用は生成した塩化水素の中和、結合の弱い塩素に作用して分解の抑制、二重結合に反応してポリエン構造による色を消すなどである。分解、および安定機構的については諸説があるが紙面の都合上ここでは割愛する。

図‐2 塩化ビニル樹脂の脱塩化水素反応

2.1.3 オレフィン系樹脂の熱劣化 (1)有酸素状態での熱分解 ポリマー分子骨格の劣化は表‐64)に示すように自動酸化反応によって進行する。熱と酸素の存在下で、酸素分子による水素分子の引き抜き反応によって炭化水素ラジカル[R・]が生成する(連鎖開始)。つぎに、炭化水素ラジカル[R・]は酸素と反応し、パーオキシラジカル[ROO・]を生成する。このパーオキシラジカルは他の炭化水素から水素を引き抜きハイドロパーオキサイド[ROOH]を生成する。ハイドロパーオキサイドは、高温下で分解してパーオキシラジカル[ROO・]オキシラジカル[RO・]を生成し、さらにパーオキシラジカルや炭化水素ラジカルの発生を誘発する。 一方、この段階でのオキシラジカル自身の分解によって分子切断もおこる。停止反応はラジカル同士が反応して分解は停止するが、この段階で架橋反応も起こる。以上のように、分子切断や架橋が発生することにより、成形品が脆化したり、表面に微細なクラックが発生する。

(2)無酸素状態での熱分解 酸素の存在しない無酸素状態では、熱分解の速度は遅い。また長時間高温にさらされると無酸素でも高分子化、架橋化などによりゲル化が起こる。実際の射出成形や押出成形で樹脂を融解して成形する場合、成形機・金型内ではほとんど無酸素状態であり、通常の酸素存在下に比較すれば熱酸化劣化の速度は遅い。熱分解は温度と時間が関係するので溶融状態での温度と滞留時間によって熱分解は進行する可能性はある。 2.1.4 使用時の熱劣化 樹脂成形品の使用時における熱劣化の影響は機械的強さ、熱的性質、寸法などの変化と熱酸化劣化の進行による物性の低下の2つが挙げられる。 非晶性樹脂ではガラス転移温度に近い温度で熱劣化すると分子は再配列する。この結果密度の増加、引張強さの増大と引張伸びの低下、衝撃強さの低下、荷重たわみ温度の上昇、寸法の収縮などの現象が発生する。 一方結晶性樹脂は、熱劣化による物性変化は非晶性樹脂の場合より大きい。熱酸化劣化は熱と酸素の作用によって製品の表面から劣化が進行する。この場合の劣化は先に述べた自動酸化によって進行するが、成形するときの樹脂温度に比較すると使用段階での温度は低いので酸化劣化の進行は遅い。酸素と接する表面で徐々に分解が進行して、表面から分子切断による分子量の低下や架橋化が起こり、表面層の脆化やクラックが発生する。表面層にクラックが発生すると衝撃強さや引張伸びは著しく低下する。 2.2 紫外線 光は波長に応じてエネルギーを持っている。地上に届く太陽光には、紫外線、可視光線、赤外線が含まれているが、この中で紫外線は波長が短く大きなエネルギーを持っていてプラスチックを劣化させる。紫外線が持つ波長別のエネルギーを表‐7 5)に示す。この中で地上に達する紫外線は290nm以上であり、エネルギーは約398kJ/mol以下である。一方、プラスチックの原子間の結合エネルギーは、C-Cが335kJ/mol、C-Clが327kJ/mol(表‐8 4)参照)と398kJ/molより小さいので表‐9 4)に示すように最も劣化を受ける波長が含まれている。紫外線劣化を受けた排水管の状況を写真−1に示す。  

写真‐1 塩化ビニル排水管の紫外線劣化した例 2.3 化学薬品 耐薬品性は材料の劣化と相変化が一般的に考えられている。材料の劣化は機械的強度の変化に顕著に見られる。種々の測定により定量的に把握することができる。これに伴って材料表面にクラックが発生したり、小さなひび割れが見られる。これらの現象は成形品の残留応力との関連があるとされている。 一方、相変化による物性変化は化学薬品による膨潤、溶解である。このとき影響する因子は使用される管の材料と対象となる化学薬品との溶解度パラメーター(SP値)の差である。この値が大きく離れていることが相溶性をもたないことの条件である。しかし、架橋ポリエチレンのようにポリマーが結晶性を示すときは適用できないことや溶剤が水素結合を示したり、極性基をもっていたりすることにより大きく影響されるので、前記条件が満たされたとしてもポリマーが膨潤したり溶解したりすることを予想することは困難である。従って、ポリマーの評価は実際の各種化学薬品に対し、個別に行う必要がある。 耐薬品性は使用する温度、圧力、共存する薬品等の影響が大きい。樹脂管への影響が懸念される場合は都度メーカーにご相談されることをお薦めする。写真‐2はクレオソートによる製品劣化の再現試験サンプルである。成形品にクレオソートを部分的に塗布し、偏平荷重を負荷して再現した。

写真‐2 クレオソートを部分塗布したCPVC継手

2.4 塩素水 日本の水道水には殺菌用として塩素が添加されている。そのため各樹脂の耐塩素水性評価が必要である。PE管の項で触れたように1980年頃PE管で水泡が発生し、さらに水泡状のものが剥離する現象が発生した。調査の結果、原因として耐候剤として配合していたカーボンブラックが水泡発生の触媒作用を起こしていることが推定された。ポリオレフィン系樹脂においてはJISやJWWA等の公的規格に耐塩素水性試験項目が入っている。

写真‐3 塩素水浸漬によるカーボン ブラック入りPEの水泡発生

2.5 応力 プラスチックが力を受けて少しずつ伸びる現象をクリープ、力を受けてクラックが入る現象をストレスクラッキング、また有機溶剤等の環境下で力を受けてクラックが入る現象をソルベントクラックと呼んでいる。以下、これらの現象について述べる。 2.5.1 クリープ パイプに内圧をかけたとき、円周方向に引張応力が作用する。この負荷を長時間加えておくと短時間でパイプは割れないが、徐々に塑性変形して遂には破壊する。この現象をクリープ現象といい通常金属では見られない現象である。このクリープ現象はパイプ材料の分子量が大きいほど小さく、長期性能が向上する。 プラスチック管の実用的強度を表す最も重要な指標がクリープ線図によって示されるクリープ性能である。クリープ線図はプラスチック管の寿命と強度の基準を決定するのに広く利用されている。樹脂管の一般的なクリープ線図を図‐3に示す。

この線図の意味を図‐3によって説明する。線ABが穏やかな右下がりとなっているのはクリープによる寸法変化、この場合は径が拡大し、肉厚が減少するため仮に破損を生じさせる応力が一定であるとしても、時間の経過につれてその管が耐えられる内圧が徐々に低下することを示している。また、この過程での管の破損形態を見ると延性破壊であり、単に管材の強度以上の応力がこの時点で負荷されたことを物語っている。 急勾配である線CDはこの区間では管材の強度が急激に低下することを示している。この段階で破損した管を普通のポリエチレン等の例で見ると脆性破壊の様相を呈し、明らかに質的変化すなわち劣化の発生が認められる。経験的には耐衝撃性が著しく低下していることが知られている。 曲線部BCは延性破壊と脆性破壊の混在する領域である。 このようにクリープ線図は、それぞれの使用温度で内圧によって破損を生じる応力と時間の関係を示すのみでなく、劣化が始まる時間を明らかにするものである。プラスチック管材の寿命は脆性破壊が始まる時間以前に設定し、設計に用いる応力の基準値は寿命時間に於ける破壊応力に基づいて決定するのが合理的である。  前記のクリープ線図は配管材が実際に使用されている状況に即したもので、設定した温度に於いて、内圧によって生じる円周応力(hoop stress)とその応力により管が破損するまでの時間の関係を示している。すなわち、設定温度と寿命時間に対して経年変化を考慮した破壊応力を示すものである。なお、縦軸の円周応力値は初期(クリープ進行前)の寸法より算出したものである。各樹脂管のクリープ線図を図‐4 6,7,8)に示す。

2.5.2 ストレスクラッキング ストレスクラックは、空気中の常温・湿度の環境で発生するクラックを指す。一般にストレスクラックは非晶性樹脂より結晶性樹脂の方が発生しにくく、また樹脂の分子量の高い方が発生しにくい傾向が見られる。これは結晶構造が強固で、クラックの発生・成長を防止していること、分子量が高くなると分子の絡み合いが多くなるためと考えられる。樹脂管の場合クラックの発生と成長を抑えること、すなわち耐ストレスクラッキング性の高い材料選択が重要となる。 2.5.3 ソルベントクラック ストレスクラックは空気中で常温・湿度の環境であったが、ソルベントクラックはソルベント(溶剤)に限らず、化学薬品の環境の中で成形体に応力をかけて発生するクラックのことである。一般に環境応力き裂(ESC:Environmental Stress Cracking)と呼ばれる。ソルベントクラックはストレスクラックに比べ、短時間で発生し、成長速度が速く、小さな応力でも発生するという特徴がある。また、同じ化学薬品でも樹脂の組み合わせによりクラックの発生状況は異なる。PEも応力と界面活性剤の条件下でソルベントクラックが発生することが知られている。ポリ塩化ビニルを原料とする管(PVC管、CPVC管)では次の条件が揃った場合にソルベントクラックが発生する可能性が高くなる。  @5℃以下の低温(冬季配管時)  A過大な応力が作用している(熱応力、管の偏平・曲げ等)  B溶剤の存在(接着剤の塗り過ぎ、防腐剤等)

写真‐4 CPVC管のソルベントクラック

2.6 その他 2.6.1 加水分解 今回取り扱っている樹脂管に使用されているPVC、CPVC、PE、PEX、PBでは実用上問題になる程度の加水分解は発生しないと考えられるが、プラスチックに発生する一般的な劣化として紹介する。 プラスチックが加水分解されるのは樹脂の中に加水分解性の結合が含まれている場合である。例えばエーテル結合、エステル結合、アミド結合などを含む樹脂は水分で加水分解される。加水分解反応は低温では遅いが温度が高くなるほど著しくなり、溶融温度領域では微量の水分でも加水分解する。また、アルカリ性物質が存在すると分解はいっそう促進される。これらの樹脂は加水分解によって分子量が低下することによる強さの低下と同時にクラックが発生し強度低下の大きな要因になる。 2.6.2 微生物 樹脂管に使用されている樹脂は一般的に微生物による劣化はないと考えられる。

3.劣化を進めない方法と解説 樹脂管の劣化を起こさせない方法として、材料面からは樹脂や添加剤による対策、製品設計、成形、施工の各段階での注意点を整理した。 3.1 材料による劣化防止 3.1.1 ポリエチレンの開発 ポリエチレン(PE)は1950年代に第一世代の低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)が開発された。その後1980年代に耐き裂性を向上させた第二世代HDPEが開発され、さらに1989年にクリープ性能を向上させた第三世代HDPEが開発された。この樹脂はPE100と規定され、20℃で50年間管が破損しない一定応力値が10.0MPa以上であり、現在「水道配水用ポリエチレン管」に採用されている。このように樹脂の選択により、耐劣化性の向上を図ることができる。 3.1.2酸化防止剤 オレフィン系樹脂の熱劣化は樹脂が酸化されて進行する。この酸化を防止するための添加剤として酸化防止剤がある。機能面からは有害なラジカルを捕捉して自動酸化の進行を停止する1次酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)と、過酸化物を無害化する2次酸化防止剤(過酸化物分解剤)に分類できる。代表的な1次酸化防止剤はフェノール系、アミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系、芳香族アミン系)である。また2次酸化防止剤としてはリン系や硫黄系酸化防止剤が挙げられる。オレフィン系樹脂(PE、PEX、PB)には通常酸化防止剤を添加している。 3.1.3 紫外線吸収剤、光安定剤、光遮蔽剤 先に述べたようにプラスチックは紫外線により劣化する。この劣化を低減・防止するための添加剤として紫外線吸収剤と光安定剤がある。紫外線吸収剤は樹脂を劣化させる有害な紫外線を吸収して熱エネルギーに変換する。代表的な紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系、およびベンゾトリアゾール系がある。  光安定剤には紫外線吸収能はないが、紫外線により発生した有害なラジカルを捕捉し無害化することにより樹脂の劣化を防止する。代表的な光安定剤としてヒンダードアミン系(HALS)が挙げられる。また紫外線吸収剤と光安定剤を併用することで相乗効果が見られる場合がある。  さらに紫外線を遮断してプラスチックの劣化を防止するものとして光遮蔽剤が挙げられる。代表的な光遮蔽剤としては無機系の充填材、有機や無機の顔料が挙げられる。これらを樹脂に配合することにより有害な紫外線は成形品の表面で遮断され、樹脂の劣化を抑制することができる。 3.2 製品設計による劣化防止 雨樋やカラーパイプに見られるように、屋外使用され、耐候性が求められる製品は多い。近年、多層成形技術の向上により、製品表層に耐候性の良い樹脂を組み合わせた製品が開発されている。このように性能とコストを考慮したハイブリッド製品の開発も進められている。 3.3 配管・施工による劣化防止 劣化の進行を低減する施工を行うことも重要である。以下にその注意事項を列記する。 ・露出配管:伸縮、熱応力を考慮し、必要に応じ伸縮継手を用いる。 直射日光の当たる場合はカバー、覆いをする。 ・架空配管:支持間隔を遵守する。 ・埋設配管:大きな石やコンクリート、枕木が樹脂管に当たらないようにする。 有機溶剤などで汚染されているところへの使用は避ける、または保護スリーブを用いる。 ・凍結防止:寒冷地で凍結の危険のある所では、水抜きを設 ける。保温カバーや凍結防止ヒーターを巻く等の対策を講じる。

おわりに  プラスチック材料ならびにその製品は数多くの利点を有する反面、種々の劣化要因がある事も事実である。上述の各々の事項に留意頂き、正しい材料選択と使用を祈念する次第である。

 
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