回答:
おそらくもう気がついておられるとは思うのですが、念のために述べておくと、永井を始めANIMEやMANGA作り手たちの日本での評判は米国での知名度や成功ぶりによって決まるというわけではありません。当たり前のことですが、その名声は日本国内におけるANIME、MANGA業界における存在感の大きさで決まるものです。
永井豪の高名ぶりは当然のことで、なにしろ『キューティーハニー』や『デビルマン』や『マジンガーZ』といった影響力の大きかった名作群を創造したのは彼なのです。いずれも女の子もの(というか魔女っ子もの)、ホラー、巨大ロボットの分野で革新的なANIMEそれにMANGAでした。
ただ、永井は今に至るまでとにかく多作なことで知られていますが、彼のキャリアのなかで最高かつ最重要とされる作品はいずれもかなり前のもので、それらが絶大な支持を受けているとはいっても、それは劇中の刺激的な主題やコンセプトにたいしてであって、コミックアートとしての永井の画力にとは言いにくいところがあります。
英語圏のANIMEファンにとっての永井作品といえば、『マジンガーZ』、『デビルマン』、『手天童子』、『あばしり一家』、『黒いライオン』、『魔王ダンテ』、『けっこう仮面』、『バイオレンスジャック』、『おいらスケ番』等だと思います(訳註1)。
それから私の知るところでは、永井豪のMANGAはここ米国でも発売されたことがあって、’88年に『マジンガーZ』の64ページ、フルカラーの版が出ています(訳註2)。しかし、永井MANGAのほとんどはまだ英訳されていません。思うにそれは英語圏の読者の側にあまり需要も関心もないからのようです。
手塚治虫の作品が今ではたくさん英訳されていますが、これは手塚という巨人の名声ゆえという面が大きいようですし、『ルパン三世』や『サイボーグ009』の原作が今米国で出回っていますが、これらを含め日本で古典とされるMANGA作品が英訳されているといってもANIMEのほうの発売に合わせて出してもらっているというのが本当のところで、そういうタイアップがあっても実際にはそれほど著名になるということはないというのが現状のようです。
非難しているわけではないのですが、英語圏のMANGA読者たちは最新のものを読みたいとは思っていても、名作とされるものであっても永井の傑作群を含め古典にはあまり興味を持ってくれないのです。需要に応じて出版社側も最新ものを優先して翻訳・刊行しているということです。
訳註1 ただ米国でTV放映されたものはというと'85年に流れた『TranZor Z』こと『マジンガーZ』のみで、あとはいずれもビデオ発売
訳註2 '87年に小学館が和製マンガの北米進出を目論んだことがあって、北米支社(現在のヴィズ社の原型である)より『ゴルゴ13』『北斗の拳』『エリア88』らを発売した(おそらく『マジンガー』もその一環だったと思われる)ものの、反応は芳しくなく、このときは撤退せざるをえなかった。MANGAの北米進出はANIME人気を追う形で再開され、'90年代の末よりそれなりの市場を形成・拡大しつつ今に至っている
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