回答:
奇遇なことですが、ANエンターテイメント社には日本より『じゃりん子チエ』劇場版の米国配給の話が持ち込まれております(訳註1)。これ以後も最新のものでない作品も扱っていきたいと願っております。設立当初より弊社では英語圏のANIMEファンに向けて、年代ものであるなしを問わず過去の傑作シリーズを届けていきたいと考えてきました。
しかしながら、弊社は業者としてはまだ小さく、これはという過去の名作たちを日本より手に入れて配給していくには資本が十分ではありません。売れればまた話は別なのですが、最新ものでないとなると権利獲得それに英語版の制作費を補うほどの売れ行きは期待できそうにありません。弊社のDVDを買ってくださるANIMEファンの皆さんからの売上利益しだいで、今後どれだけ多様なANIMEを扱っていけるのかが決まるということです。
過去の名作は扱わないというのではありません。ANIME黄金期に青春を送ったひとりとして言えば、20年乃至それ以上前のANIMEシリーズには特別な愛着があって、弊社の人間も全員が熱心なANIME好きですので、後世に伝えるべき芸術的価値のある作品、現代の古典としてそれ相応の扱いを受けるべき作品をいつかここ米国でも発売していきたいと考えています。
しかし、質問のなかで挙げられたような『じゃりん子チエ』や『ベルサイユのばら』といった作品の多くは、ここ米国でのANIMEファンたちの主力層にとってはまだ生まれてもいなかった頃に作られた作品ですし、ということはファン達の目にはあまり魅力的なものとしては映らないであろうということです。
どういう作品が売れて、どういう種類のものがアニメ・エクスポなどのファン集会やネット上では人気になるのかを弊社は見続けてきましたが、名作とされる旧作を出してくれという声は多くとも、実際に買ってくれるひとはそんなにはいないのだと言えます(訳註2)。
今のところ弊社では過去の作品を積極的に買い入れていく予定はありません。でも、それは過去の名作たちを黙殺しようということではなく、営業上の問題もしくは利益のことを優先せざるをえないという事情ゆえであって、今後もっと大きい会社になっていけば、あるいは過去の名作を扱っていくことが増えていくことになるのでは、と自分では期待しています。
ADヴィジョン社のような大手でさえ『聖戦士ダンバイン』や『科学忍者隊ガッチャマン』のような古典と呼ばれる作品に手を出すのに会社設立より10年もかかっていますし、ジェネオン社(パイオニア社が親会社)が『ルパン三世』の赤背広のTVシリーズを発売したのはまだ最近のことでした(訳註3)。
売れる見込みがあまりないような作品をあえて手に入れ扱っていくようになるにはまず会社を安定させ有名かつ商業的に成功させないといけないわけで、それには時間がかかるということです。その域に達するのはそう先のことでないことを自分としては希望しています。
訳註1 東京ムービー新社からのこの申し出は結局ANエンターテイメント社には受け入れられず、現在も北米では発売されていない(←2005年7月27日加筆)。同社の設立の経緯についてはジョン様本人へのインタビューあり。ここが始めて権利獲得した作品は『臣士魔法劇場リスキー☆セイフティ』。'発売は03年2月のことで、これ以後も『マイアミ☆ガンズ』を配給、さらに『ジャングルはいつもハレのちグゥ』も近日発売予定。
訳註2 「『未来少年コナン』は北米では発売されないのですか」参照
訳註3 '92年に映画『カリオストロの城』、93年に宮崎駿演出によるTVの『死の翼アルバトロス』、94年に赤背広シリーズの最終話『さらば愛しのルパン』(これも宮崎演出)、95年に映画『風魔一族の陰謀』と『バビロンの黄金伝説』と『ルパン対複製人間』がVHS発売されているが、TVシリーズのものはというと昨年(03年)1月にようやく赤背広シリーズがカートゥーン・ネットワーク局の深夜1時半枠で放映が始まり、それにあわせてDVD発売も始まったが、6月に放映はシリーズ途中で打ち切られた。いわゆるファースト・ルパンこと第一シリーズの放映・発売予定はない模様。
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