Ask John
ANIMEのうち純日本製と呼べるものは全体の何割ですか
How Much of Anime is Actually Japanese?
2004年10月8日
問:

日本製アニメーションのうち、100%メイド・イン・ジャパンのものはいくつあるのでしょうか。というのも『NARUTO』が韓国作画だと聞いたことがあるのですが。
答:

ファン達によってANIMEと分類される作品は、普通『幻影闘志バストフ・レモン(訳註1)のような韓国製は含まないものなのですが、こういった非・日本製番組がANIMEとして米国では流通することがあります。でも企画・監督それに制作作業の基幹部分は厳密には日本製と呼べない作品です。


番組によってまちまちですが、今ではANIMEの何割かは韓国の下請けに頼って作られています。『ふしぎの海のナディア』シリーズ中盤のいわゆる島篇がそうでしたが、ガイナックス・スタジオはこの番組のかなりの作画作業を韓国に発注して作らせています(幸いにもシリーズ終盤は社内制作に戻ったのですが)。


ここ数十年に渡って日本の制作元は韓国に動画をまかせて穴埋めしていることは有名です。具体的に言うと、脚本や台詞、登場人物たちの美術造形、音楽、原画は日本側で行って、韓国には動画それに色塗りをやってもらうという仕組みです。


ここ数年、ANIMEへの需要が日本国内外でじっくりと高まっている一方で制作業界側の体力が衰えていくなか、制作工程の重要部分のかなりが韓国に任されるようになってきています。日本のANIME業界の下請けを長く務めてきたのが韓国ですが(訳註2)、米国ANIMEファンもANIMEの制作事情に以前より詳しくなっており、それだけでなく韓国業界がANIMEの制作において大きな位置を占めつつあることにも気がついているようです。


人件費の比較的安い韓国に頼るようになったために韓国アニメーターの腕の良し悪しがそれなりに作品全体の出来をも左右するという現状になっています(韓国アニメーターの腕や献身ぶりを貶めているのではありません)。そんなわけで欧米のANIMEファン達は以前よりもANIMEへの韓国業界の関与ぶりには目が行くようになってきています。


韓国作画に頼るようなものを日本製アニメーションと呼ぶべきではないという評者もいるようです。これと似た声として、ANIMEと呼ぶ場合に日本製でないものも含めるよう定義を広げ改めてもいいのではないかという声もあるほどです。日本のアートといっても必ずしも日本人の手によらねばならないということではないのだからというのがその言い分のようです。


しかしながら、こうした声は正しくないように私には思えます。日本のANIME業界は長年に渡ってとにかくきつい仕事を要求されてきた世界ですし、韓国作画というのもかなり前より行われてきたことです。といって、韓国人の参加したANIMEがもはや日本製ではないのかというと、そうではありません。ANIMEはいまなお日本人によって企画・制作されているのですから。


ケヴィン・スミス原作のTVシリーズ『クラークス』は米国アニメーションとされていますが、作画は韓国でした。それでも米国作品なのです。物語の骨格、スタイルそれに内容は米国の人間がこしらえたものだからです(訳註3)


ワンダフルデイズ(訳註4)や『バストフ・レモン』は企画・原作は韓国であり、韓国で制作された作品です。日本製作品に影響され、実際の作画の一部も日本で行われたけれど、それでも韓国作品というわけです。


アニメーション作品の分類は制作を補助的に手伝ったスタジオの国や人の国籍で決まるものではなくて、その作品がどの国の文化に属するものなのかを決めるのは、そのフィルムの根本をなす部分がどの国の文化に根ざしたものなのかという点だと思っています。


脚本は日本で、基本設定も日本で描かれ、原画工程その他も日本であり監督もネイティブの日本人による作品の場合、韓国作画であっても日本からの仕様書に基づくものであればこれは本質的に日本作品と呼べます(訳註5)


具体例をあげると、『NARUTO』がこれに当てはまります。原作・企画それに制作は日本であり、作業の一部は韓国のスタジオに外注されてはいますが、それでも日本製なのです。



訳註1 '01年にDongWooAnimation(同友動画)が製作した番組。全26話。'03年10月4日〜'04年3月27日、毎週土曜朝7時30分〜8時00分、テレビ東京系列で放送

訳註2 『黄金バット』('67年4月1日〜'68年3月23日)が韓国への動画発注の第一号

訳註3 ディズニー番組でも実は日本製というものが『Ducktales』『The Wuzzles』などいくつかある。ちなみに制作は東京ムービー新社(当時)の海外向け制作部門として発足したテレコム・アニメーション・フィルム

訳註4 2004年10月29日に東京国際映画祭で上映。ガイナックス配給で日本でも公開予定

訳註5 韓国作品にはこういう困ったちゃんもある

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