Ask John
18禁ANIMEをいじる是非について
Are Uncensored Hentai DVDs Actually Censored?
2002年6月21日
質問:
最近、ヌーテク社への不満の声を耳にします。あそこが出している『夜勤病棟』や『背徳の少女』などの18禁ANIMEなのですが、前者の日本語オリジナルには女の絶叫場面があったと思います。ヌーテク社は『背徳の少女』シリーズの第二巻の発売を予定していますが、これの第1巻(米国では未発売)の日本語オリジナル版には二匹の犬に女性が襲われる場面がありました。いわゆるHENTAIもののファンの多くは絶叫とか獣姦にはそんなに興味はないものですが、それでも無修正を売り物にしておきながら一部のシーンそれにまるごと話を削ってしまったものを発売するというのは解せません。これは宣伝に反しませんか。
回答:
質問にお答えする前に、ふたつ指摘しておきたいことがあります。『夜勤病棟』の発売元はヌーテク社ではありません。それに、確認できる限りではヌーテク社は『背徳の少女』の続きを発売する予定はまだないそうです。
本題に入ると、『夜勤病棟』全3巻より約20分ぶんは米国版では削られています。でも、これは誇大広告にはあたりません。なぜって、発売元のCPM(セントラル・パーク・メディア)社はこのヘンタイANIMEを無編集と銘打ったことはなく、米国での発売に当たってかなり削られていることを隠そうとしたこともありません。米国版が再編集版であることを個々の消費者にまできちんと説明しなかったとしてCPM社を責めるのは酷というものです。
ADヴィジョン社が『美しき逃亡者』のパート4を出したときのように、CPM社も『夜勤病棟』を無修正で出ましたが、それでも編集はされています。それに、何をもって無修正やノーカットと銘打っていいのか、明確な基準をつくることは今の業界ではまず不可能です。なぜなら、米国で発売されているANIMEのほとんどが、フィルムにある監督だれそれ作画監督だれそれという表記それに作品名が英語のものに取り替えられているのです。
こうして厳密に考えると、パイオニア(現ジェネオン・エンターテイメント)、ADヴィジョン、CPM、マンガ・エンターテイメント、ヴィズ、アーバン・ヴィジョン、メディア・ブラスターズそれにバンダイもまた、オリジナル版のままで出しているとは言えなくなります。フィルム中に英語の表記をいれることを商売上の必要悪または致し方なしとみなすファンは大勢いますが、その一方で、発売に当たって米国消費者の口に合うようにいじられたものではない、素のままのジャパニーズ・アニメーションを観たいと願うファンは私も含め少なからず存在します。私たちオリジナル原理主義者にとって、日本の視聴者が観ているままに自分達も作品を観たいと願うことは、決して手前勝手な願望ではないのです。
閑話休題。シリーズもので話が一本まるごと跳ばされて発売されることを「自主規制」と呼んでよいのかどうかは見解の分かれるところです。たいていの場合、これは自主規制とは言えません。メディア・ブラスターズ社が18禁の『殻のなかの小鳥』シリーズを発売した際に全5巻のうち1巻ぶんを出さなかったことで非難されたことがあります。もっともこれには理由があって、問題の巻は、中学生くらいにしか見えない女の子がいたぶられる話だったからです。
また、メディア・ブラスターズ社は『Bible Black』シリーズの第3巻、第4巻を、CPM社も『夜勤病棟』シリーズのうち3、4、5巻を発売していませんが、これは自主規制ではありません。バンダイが『ラブひな』の全巻を出してくれないからといって、それは別に規制や検閲がかかったからというわけではありません(註)。単に全話の権利を手に入れていなかったということです。
知る限りでは、ヌーテク・デジタル社は概ね編集・改変なしで作品を世に送っている数少ない業者のひとつで、いじることがあってもそれは日本語オリジナル版にはあったぼかしやモザイクを取り除くことに限られています。ヌーテク社はADヴィジョン、バンダイ、パイオニアそれにヴィズ社がやるような修正や変更はしていなくて、例えば、『背徳の少女』第2巻の米国版発売に当たって日本語オリジナルが縮められた形跡はありませんでした。
このシリーズの第1巻は米国では発売されていませんが、これは今米国で手に入る第2巻とは無関係な話で、登場人物も異なります。この第1巻には獣姦の場面があって、米国50州のうち27の州それに首都ワシントン区ではこういう描写は御法度とされているため、ヌーテク社はこれの発売そのものを見送ったのではないかと思われます。
註: 『ラブひな』とはどういう作品ですか と 『ラブひな』が観たいのですが』 参照。現在は全話が北米でも発売。