回答
士郎正宗の漫画がANIME化されるとどうしていつも原作と違うものになるのか、それは正直なところ私には分かりません。これは『攻殻機動隊』だけではなく過去の士郎作品についてもそうなので、監督やスタッフの嗜好によるものとも言いがたいようです。
士郎が自身の原作を自ら演出した『ブラックマジック66』というビデオANIMEも、原作とはまるで異なる内容でした。ANIMEになったのは原作漫画のうちのごく一部です。『アップルシード』がANIME化されたときもそうで、ヒロインのデュナンは漫画版の彼女に比べるとさして強くも垢抜けてもいませんでした。
ただ、『攻殻機動隊』のヒロインが漫画原作と映画とで行動も人柄もかなり異なるというのは、監督の押井守の意向が強く現れたものであるとは考えられます。押井の代表作といえば、劇場版『うる星やつら』の第一作と第二作、ビデオANIME『トワイライトQ』『天使のたまご』、映画『パトレイバー』シリーズそれから実写映画『ケルベロス』等が思い浮かびます。『攻殻機動隊』に見られる内省的、哲学的かつ政治的な主題はまさに押井好みのもので、この点では映画化にあたって彼を監督に据えたのは正解だったと思いますが、この比較的おとなしいANIME監督に、資質的には正反対のアクション重視で騒々しい漫画をまかせたのはなぜか。それは私には分かりません。
漫画に見え隠れする主題が映画になるだけの深みがあるものの物語自体はとても複雑でかつ長いのでそのまま映画化は難しいと判断された結果、映画化にあたっては原作の哲学的な部分のみが取り上げられ、残りは捨てられたということではないかと思います。1時間20分という短い時間で主題が明確に伝えられるようにするためには、主人公・素子を命や人格の存在本質について思い悩むような人物に作り変える必要があったのだと思われます。
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