Ask John
ANIMEでは弓をたしなむ女性がよく見受けられますが
Why Are Females Always Archers?
2003年2月14日

質問:

ANIMEやMANGAでは弓をたしなむ女性がよく見受けられます。『魔法騎士レイアース』の風や『サクラ大戦3』の北大路花火、『犬夜叉』の桔梗にかごめ、などなど。これはどうしてでしょうか。全員が恐ろしいほどの使い手です。
回答:

ANIMEにおいて弓と女性がよく関連して描かれるのは、実は日本の伝統文化に関わってくることなのですが、その重要性にもかかわらずなかなか気がつかれにくい点でもあります。日本では弓矢は権力と神の恵みを現すものとして、遅くとも紀元前250年ごろには信仰の対象になっていたようです。日本の最初の天皇とされる神武天皇についての記録や絵画にあたると、この天皇が必ずと言っていいほど権力の象徴として弓矢を携えている姿が描かれています。


もっとも、現代日本においては弓矢は戦さのシンボルというよりはある種の精神統一や禅的な意味での精神浄化のためのたしなみと見なされています。日本では普通「弓道」と呼ばれており、体を鍛えるためというよりは、むしろ技の修練と精神集中に重きがおかれるため、男女りょうほうに受け入れられているスポーツです。例えば『地球少女アルジュナ』には禅思想テーマがいくつか見られますが、そのなかには弓道も含まれています。日本の弓道において大事なことは矢で的を射抜くことではなく、無我の境地となって的と一体化し、矢におのれを託してそれを導くことにあります。


弓や弓道に秀でているという設定のキャラがANIMEに登場する場合、そのほとんどは女性で、弓をたしなむ男性という設定は比較的稀のようです。たいていの場合、男が扱いに秀でているのは刀や銃のような粗暴な武器で、弓矢のように穏やかで、かつ優雅な武器は女性が扱うものとほぼ決まっています。


いくつか例を挙げていきましょう。『魔法騎士レイアース』の風、『赤ずきんチャチャ』のチャチャ、『セーラームーン』の火野レイ、『ゲートキーパーズ』の生沢ルリ子、『サクラ大戦3』の北大路花火、『犬夜叉』の桔梗にかごめ、それに『地球少女アルジュナ』のアルジュナが典型でしょう。このうち桔梗にかごめ、火野レイは神道の巫女に該当する女性です。セイフティは見習い天使、おとなに変身したチャチャは天使の翼をつけた王女の姿をしています。アルジュナとルリ子は共にひとの傷を癒す能力を備えている女性です。花火は気品と優雅さを備えた乙女として描かれています。


弓矢をたしなむ女性は優雅さと高貴さ、それに精神の気高さを司る存在としてANIMEでは理想化されているということです。これは日本人の抱く弓道のイメージの反映と考えられます。要するに、高貴な精神性と美への日本人の憧れをさりげなく現すものとして弓矢をたしなむ女性がANIMEでは好んで描かれていることはほぼ間違いないと思われます。


Archive