「ダージリンは死を招く」 ローラ・チャイルズ/著 ランダムハウス講談社
 チャールストンでティーショップを営むセオドシアは、年に一度の恒例行事<ランプライター・ツアー>で出張ティールームを開いていた。ところが、そこでお茶を飲んでいた客が死んだことから、給仕をしていたベサミーに嫌疑がかかり、セオドシアは事件に首を突っ込む羽目になり・・・。
 ティーショップのオーナーが、出張ティールームの客が不審死したために、殺人の嫌疑をかけられた友人のためにいつのまにか事件に首を突っ込んで探偵をする羽目になるというミステリです。沢山の住人が登場し、沢山の疑惑が降って湧いたように出て来る中での犯人はかなり意外な人物でした。
 ミステリとは言ってもトリックなどは存在しませんし、犯人も意外でしたし(これまでの捜査はなんだったんだ、というくらいに意外でした)、でも内容は軽めだったので読みやすかったです。
 主人公のセオドシアの性格は好きですが、最初に警察から犯人の嫌疑をかけられたベサミーはあまり好きになれないタイプでした。どうもベサミーのような被害妄想が強くて後ろ向きな性格の人は(特に女性は)苦手です。(2005.09.29)
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「空中庭園」 角田光代/著 文藝春秋
 ダンチと呼ばれるマンションで暮らす京橋家は、夫婦と娘・息子の4人暮らし。秘密が無いオープンな家族と言いつつも何らかの秘密を抱えている家族とそれを取り巻く人々で・・・。
 彼氏と上手くいかなくまった娘のマナ、浮気をしているけれどもバレていない夫タカシ、母親を疎ましく思い自分の家庭を理想的に保つことに熱心な妻エリコ、建物に興味がある息子のコウ、それぞれの家族の微妙なバランスによって崩壊しそうで崩壊しない危うそうで大丈夫そうな家庭の物語です。更にそこにエリコの母親やタカシの浮気相手が絡んできたりするのですが、どこでも余所の家庭って奇妙に見えるものなのじゃないかな、と時々思います。
 それぞれの家族がそれぞれを語ると、家族が想像もしていないようなことが飛び出してきたりするものなのですが、そういう微妙な秘密を抱えつつなんとなく上手く物事が進んでいっている家庭はどこにでもあるのでしょうけれど、面白いものです。ちょっと突けば壊れるバランスの危うさに、よくこれで崩壊しないものだという感心します。(2005.09.24)
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「大地の女神 西風の皇子」 喜多みどり/著 角川ビーンズ文庫
 ついに目覚めた<滅びの女神>によって、世界は滅ぼされようとしていた。ダークロアが死んだことを告げられたディディウスは、死者の声を聴くことができるという人物の元へと向かうことにする。そこでディディウスが出会った死の神から告げられた事実は、ダークロアの死と復活で・・・。
 「西風の皇子」の最終巻です。
 ついに<滅びの女神>との対決も最終局面となった訳なのですが、これまではほとんど他の人間の手を借りようとしなかったディディウスが、神々だけではなく人間の力も借りて<滅びの女神>と向き合うことになったのが結構意外でした。思っていたような力を引き出されないままでディディウスはどうするのかな、とも思っていたのですが、なかなか頑張っていたので良かったです。
 わたしはウィルゴが最後までお気に入りでしたが。とっても鈍感で、あまり女性らしいところが無いのですが、鈍感過ぎるところが面白いです。ちゃんとノクスの話を最後まで聞いて理解できたのか、それがちょっと心配です(笑)。
 無事に戦いが終わって良かったな、という感じです。もちろん、これで世界が大団円になった訳ではないのですが、一つの時代が終わったような雰囲気と、新しい時代が始まった予感の終わり方が良かったです。(2005.09.23)
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「最後の魔法使い 西風の皇子」 喜多みどり/著 角川ビーンズ文庫
 ギャンダルフィッハによって<滅びの女神>の種を奪われたディディウス。目覚めた地上の神々に会う為に、メイヴェーラの案内によってオドの町に入ったディディウスたち一行だったが、そこにはノクスのかつての身の上を知る者がいて・・・。
 物語は佳境に入ってきたのですが、ディディウスにはどんな力が秘められているのかと思いきや意外な結果があったり、ダークロアには予言された死が迫っていたりとするのですが、どちらかといえば今回はノクスも色々悩んでいたりして大変そうです。そういえばノクスは、「天空の剣」の頃よりもちょっと性格が変わってきたような気がするのですが、喋るようになったからでしょうか。
 ダークロアだけではなく、ウィルゴまでもがディディウスの保護者化しつつあるのがちょっと面白かったりします。ディディウスにとってはかなり不本意な状況のようですが(男の子ですし)。
 神様が沢山登場しているのが、ちょっとややこしい感じですが。(2005.09.23)
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「古道具 中野商店」 川上弘美/著 新潮社
 古道具屋である中野商店は、店主の中野さん、アルバイトのわたし(ヒトミ)とタケオ、それに中野さんの姉のマサヨさんが時々加わる。この中野商店に集まる人々の微妙な人間関係と、古道具たちが店に出入りする物語。
 淡々としているようで、水面にさざ波が起きるような、そんなひっそりとしつつもどこか深い部分で感情の動きを感じる連作集でした。
 人間関係に関して、必ずしも器用とは言い難い人々が集まり、古道具を介して人間関係を深めていっているように見えます。
 ゆらゆらとゆっくり揺れるような物語全体の雰囲気が良かったです。
 最後の「パンチングボール」でタケオが口調が変わってしまったことが、なんだか寂しいような気もしました。(2005.09.21)
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「黄金を奏でる朝に〜セレナーデ〜」 沖原朋美/著 集英社コバルト文庫
 18世紀。オルガンを弾く為に母を捨て故郷を捨てて、見知らぬ町へ父の友人である司祭だけを頼ってやってきたミレイラ。そこで再会したのは、少女のような美貌と天使の歌声を持つかつての幼馴染みのクリスティアンで・・・。
 女性というだけで故郷の教会でのオルガニストの将来を絶たれたミレイラが、オルガンを弾きたいという情熱を抱えて余所の町の教会のオルガニストとなり、かつての幼馴染みと再会したことから自分と向き合い、やがて再生していく物語です。
 この沖原さんの作品は重い部分もあるのですが、でも読後の余韻がとても良いです。
 シスカ夫人が最初はどういう人なのかわからなかったのですが、なんだか途中から「あれ?」という感じになってきて、意外な人であることが判明したのが可笑しかったです。後、その時のミレイラの狼狽振りとが。
 クリスティアンの歌声が聴いてみたいものです。できれば、教会でバッハのアリアとか歌って欲しいです。(2005.09.06)
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「ブラック・ベルベット 緑を継ぐ者と海へ還る少女」 須賀しのぶ/著 集英社コバルト文庫
 ハル神父に弟子入りして修行に励むキリ、ドラッカー・ノワールである部分をコントロールできるようになろうとするロキシー、そしてランディ商会に囚われの身のファナ。シルヴァーナのお陰でファナは人質の身分から解放されようやく3人は一緒に過ごせるようになったが、しかし厳しい現実が目の前には待っていて・・・。
 ついにキリが「花」となってハルの元で修行に励んでめきめきと強くなっていくのかと思いきや、なかなかそう簡単には事は進まないようです。
 しかも、ディートニアに関する謎は増えていくどころか、キリに関する謎も増えていっていて、一体キリって何者なんだろうという疑問も。ただの反乱者なのかと思っていたら、どうやらそうでもなさそうで、しかもシルヴァーナのような聖女ともまた一風違うようで、謎は深まるばかりです。
 ディートニアでは謎の人物が増えていくばかりだというのに、まだ序章が終わったばかりだということですし。
 一体この先どういう展開で物語は進んでいくのか、楽しみです。
 個人的には、サンティス大主教が気になるんですけど、どういう訳か彼の声が山寺宏一さんの声で聞こえてくるもので・・・(苦笑)。(2005.09.04)
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「伯爵と妖精 恋人は幽霊」 谷瑞恵/著 集英社コバルト文庫
 ゴシップペーパー上において様々な醜聞で賑わしているエドガーは、降霊会に参加していた。そこにはアシェンバード伯爵を名乗る偽物の姿が。死んだ娘の幽霊を呼び戻し、結婚相手を探したいというコリンズ夫人が依頼した霊媒師は、かつてエドガーの仲間だったアーミンにそっくりで・・・。
 アーミンがいつか再登場するだろうということは1巻を読み終わった時からなんとなく思っていたのですが、まさかこういう形でくるとはちょっと予想外でした。「魔女の結婚」の時もそうでしたが、この作家さんは良い意味で期待通りの展開をしてくれますし、予想外の展開を持ち込んでくれるので油断出来ません。そうきたか!という楽しみが多いです。
 ついに本格始動したプリンスの目的は、どうやらエドガーというよりは青騎士伯爵にあるようで、プリンスの配下もはっきりと姿を見せ始めたのでますます面白くなってきました。
 相変わらず口説き魔神のエドガーですが、リディアの方にちょっと心境の変化が起きたのと同時に、エドガーの方にも心境の変化が起きたようで、これから先エドガーの振る舞いがどんな風になっていくかも楽しみです。
 レイヴンにもちょっと心境の変化が見られているので、彼の方も気になります。
 リディアのお母さんってどんな妖精博士だったかも気になるところです。この先、何かの拍子にお母さんが登場することってないのでしょうか。ちょっと期待してみたりして。(2005.09.04)
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