人材派遣Home特集 「アパレルショップ、売上を変える 8つ の戦術」

これから先、アパレルのブランドショップにおいて、業績が上向いていくのか、下降していくのか、それを見極める一つの指標があります。
それは雑貨の売上構成がどう変化しているかを見ることです。

第7回  雑貨の売上構成で未来が見える

【2010年5月10日】

雑貨の売上げ構成

アイテム売上構成,雑貨構成,カジュアルアイテム
Justlookingaround

トータルアイテムを扱う、ブランドショップにおいて、雑貨アイテムとは、通常、バッグ、シューズ、アクセサリー、ベルト、帽子、マフラーやストールなどなど、 ショップによって取り扱う商品は様々だと思いますが、ぜひ、その雑貨の売上げに注目してもらいたいと思います。
そのショップの全体の売上げの中で、雑貨アイテムの売上げがどのくらいの割合を占めているのでしょうか。
10%? 15%? それとも25%?
 

シーズンやイベントによって雑貨構成が大きく変化してしまうショップについては、雑貨の売上構成と合わせて、売上の伸長率も重ねて見ていただければ、 より正確な判断ができると考えます。

雑貨構成が拡大しつつあるショップ

現状、ショップ全体の売上が苦戦していたとしても、雑貨の売上構成が拡大傾向にあれば、そのショップは今後、売上が回復していくと考えることができます。
その理由は・・・

180ショップからの確信

私は、以前バイヤーをやっているとき、アパレルブランド、14ブランド、約180ショップを担当し、年間 110億の売上高と仕入れを行なってまいりました。
この180ショップの数字を毎日眺めていて、この傾向にほぼ間違いが無いことを確信したのです。

雑貨化、カジュアル化

さらに未来に確信を持ちたければ、雑貨の売上の確認に続き、中軽衣料(カットソー、ブラウス、ニット、ボトムス、等)の売上構成、さらにさらに、ボトムス単体の売上構成の変化 まで、明らかにしていただくことを希望します。

つまり今回の特集は、不振ショップの至上命題として 『雑貨化、カジュアル化の推進』 という事実を明らかにしていくことにあるのです。

売上が苦戦しているときの行動

雑貨アイテム,雑貨売上構成,カジュアル化
lanuiop

少々、話しが迂回しますが、売上苦戦に直面しているショップの店長や営業担当者、または百貨店のマネジャーや、売場担当社員の方も、 その突破口を求めて、以下のような対策を講じられたことがあるのではないでしょうか。

・在庫をたくさん抱える
・セールの回数や期間を増やす
・単価の高い重衣料をショップ前面から展開する

不振が続けば、遅かれ早かれ、まるで遠心力に引っ張られるように、こうした行動をとってしまうものです。

ただ、わたしの場合は、次のように反対の方向へ舵取りをしていきます。
つまり…
・在庫をしぼる
・セールによる売上を減らす
・中軽衣料を中心に売り込む

中長期的な視野

『今日一日の売上を何が何でも死守する』 という考え方は、もちろん立派な考え方だと思います。
ただ、同時に中長期的、半年先、一年先、またその先も考えた視点を持っておくことも大切です。
これは私の持論ですが、 「アパレル商売は、ゆるやかな右肩上がりを目指す」 という考えです。
これは問題の焦点を目先に置かず、常にヴィジョンを優先して行動していくことを意味しています。

時々見かける、パワー溢れるマネジャーに多いタイプで、刈り取るだけ刈り取って、ぺんぺん草も生えないような土壌にした後、さっさと異動されてしまう。
また仕掛けるだけ仕掛けて、売上げのコブだらけにしてしまう、など。
反対に、ゆるやかな右肩上がりの商売をしていけば、1年後から先は、ことあるごとに頭を悩ます必要はなくなるのです。
会社がそこまで待ってくれない?
ならば、現在の数字を1年間は何とかキープしながら、 「ゆるやかな右肩上がり」 に向けた行動を進めるしかありません。
「1年後」 を合言葉に・・・

負のスパイラル

アパレルショップ,セール在庫,プロパー売上
Elizabeth Welsh

在庫を多く抱える、またセールの回数を増やしたり、期間を延長するという施策は、実は負のスパイラルの始まりです。
なお、業界に精通されている方はこの章は飛ばしていただいて構いません。

負のスパイラルとは…
@売れないから、在庫をたくさん抱えようとし、反対に売れないから、在庫が消化して行かない
A在庫の消化が悪いと、期末にセール対象在庫が増える
Bセール対象在庫が増えるとセール展開期間が長くなる
Cセール期間が長いと次シーズンの立ち上がりが遅れる
D立ち上がりが遅れるとシーズン中のプロパー売上が落ち込む。
E売上が落ち込むと、また消化率が下がり鮮度の落ちた在庫が発生する
と、なるのです。

さらに加えるなら…
F在庫を余分に抱えると、鮮度の落ちた商品で店頭の鮮度も落としていく
Gアパレル企業は、プロパーの消化が悪いと、資金繰りの面からも、次のモノづくりに影響が出る
H期末セールでも消化しきれない在庫は、キャリー在庫となり、取引先店舗からの要請で期中でもセール品の対応をしてしまう
I一度、期中でセールに参加すると、それは既成事実化し、次の機会も断れなくなる

などなど、ふと気がつくと、年間のセール売上構成がどんどん高まっているのです。

店頭でのセールが増えると、確実にプロパーで購入しているお客様が離れていくことになります。

目先の売上は一時的に回復しても、それを引き換えにブランドの崩壊が始まるということを知っておかなければなりません。

在庫は中身にこだわれ

在庫は腹八分目、少し足りないくらいがちょうど良い状態です。
もちろん商品の特性にもよりますが、目安として回転率で年4回転以下ならもっと減らした方が良いでしょう。
つまり年間1億売るショップなら、平均在庫は2500万以下となります。
在庫高に固執するのではなく、在庫は徹底して中身の追及をすることです。

セール在庫、ゼロを目指す

これはアパレルメーカー側に立っての発言ですが、できれば最終的にはセールのスタート在庫は “ゼロ”を目指すべきです。
セールで売っても利益が出ない、ということも、もちろんありますが、それ以上にお客様が受け取る信頼感は、売り手が予想する以上のものだからです。

シーズンMD

セール バーゲン MD シーズン
Patrick

セール在庫ゼロを目指していくなら、シーズンの細分化が必要です。
たとえば12月1月というシーズンをしっかり確立させてMDを考えなければいけません。
その点ではレディスの方が進んでいると思いますが、メンズはまだ4シーズンでMDを組んでいるところも、あるのではないでしょうか。
「春色冬素材」 を投入しただけで満足しているのではなく、早くシーズンの細分化を確立させるべきです。

売上不振ショップは雑貨商材が売れていない

繰り返しになりますが、売上不振ショップに共通している項目は・・・
一つ目は、在庫を多く抱えて、什器の数を増やし、なんでもかんでも店頭だししている。
二つめは、単価の高い商品を売って今日の売上を確保しようと、重衣料の一本釣り的陳列になっている。
三つめは、ショップ内でセール品を展開し、日銭を稼ごうとしている。

結果的に雑貨アイテムは、奥へ奥へと押しやられ、狭い入口と窮屈な什器配置、 重衣料を押し売りされそうな、それこそ商品の浴びせ倒し、といった感じの、ショップイメージになっているのです。
ことの本質は、典型的なこうしたショップに、店長自身が気づいていない、ということなのです。

本部の雑貨政策

雑貨アイテムをしっかり売っていこうと考えているブランドと、反対に雑貨は、後もわしで構わないと思っているブランドと、はっきり二分されているような気がします。
得意、不得意と言ってしまうのは、あまりにも簡単過ぎます。
雑貨に力を入れていないブランドは、 「売場ががもっと広ければ…」 とか、 「雑貨は利益率が低い、回転率が低い」 と決めつけているのではないでしょうか。
だから海外で買い付けてきた雑貨商品をお付き合い程度に店頭の隅に並べているくらいなのです。
ますます、利益が出ない、回転しないアイテムに成り下がっていくことになります。

雑貨の効果

売れているショップは雑貨の持つ力や役割を把握しているショップと言うことになります。
どんなに優秀な販売員を揃えても、お客様に入店してもらえなければ、その優秀な力を発揮することはできません。
楽しそう、ワクワク感、ちょっと足を止めてみたくなる、思わず衝動買いをしてしまう、ザワザワといつもお客様が入っていて、 つられて入ってしまう、などなど雑貨アイテムの効果は計り知れないのです。

未来が見える

すでにお分かりのとおり、雑貨が売れているということは、入店客数が増えていることです。
入店が増えれば、認知度も上がっていきますし、リピーターの絶対数も増えていくわけですから、間違いなく未来の売上をつくっていくことになるのです。

同じように中軽衣料の構成が上がっているショップも同様のことが言えます。
スーツやコートなど重衣料の売上に頼らず、中軽衣料もしっかり接客をしてファン拡大や、リピーターにつなげていくことが、これから先の売上になっていくのです。
雑貨や中軽衣料の売上げとは、イコール、売上げ点数の伸びを意味しています。
ショップ全体の売上高が好調でも、売上げ点数が減少しているようなら、すでに 「ほころび」 が始っているのかもしれません。

ボトムス

リピーター,ファン,売上点数
Elizabeth Welsh

もう一つの指標はボトムスの売上げです。
ボトムスを接客し販売するということは、同じ額のトップスを売るより時間と労力を必要とします。
販売員の心理からすると、同じ額を稼ぐなら、できれば、ボトムスよりトップスを接客した方が効率的なのです。
つまり、何も人為的付加を加えなければ、ボトムスの売上げが上がっていくケースは少ないはずです。
逆にボトムスの売上が上がっていることは、そこに店長なり、会社なりのきちんとした方針や施策があるから、ということになります。

ショップスタッフは、とりわけ、リピーターや顧客につなげられるアイテムがボトムスだ、ということを知っていなければなりません。
なぜならお客様側からしても、ショップを次から次へと廻って、ボトムスを試着していくのは、勇気と労力を必要とするからです。
と言うことは、一度、シルエットやデザインなど、気に入ってしまえば、次から、そのショップを選択する可能性が、ぐんと高くなるわけです。
ボトムスは最も、お客様が浮気しないアイテム、と言い替えることができます。 さらにボトムスは、それに合わせてトップスも欲しくなるわけですから、いわゆるコーディネートの主軸アイテムです。
当然、そこから顧客につながっていくことになるので、これも未来の売上をつくるアイテムということになります。

まとめ

・在庫は腹八分目にして、商品鮮度を上げる
・雑貨のフェイスを広げ、前面から訴求し、楽しいそうで、入りやすいショップ作りを徹底する
・セール品の展開は極力避けて、プロパーのお客様からの支持と信頼を高める
・中軽衣料の接客を強化し、客数アップと点数アップにこだわる
・ボトムスを売込み、リピーターの増加につなげる

「そんなことは言われなくても…」 と一蹴することは、容易いでしょうが、同じ轍を繰り返し、繰り返し踏んでいるブランドを数多く見て来ました。
思いがけない小さな妥協が、数年後の万死に値しないことを願っています。
半年先、一年先の売上げの一部分は、今日つくっている、ということを常に頭の片隅に置いて、行動していくことが大切です。
ぜひ、自ショップの雑貨の売上構成が、昨年の同時期と比べてどうなっているのか、3ヶ月前と比べてどうなっているのかを確認してみてください。
きっと未来が見えて来るはずです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回 「最終回、チーム接客の時代」 をどうぞお楽しみに!

特集ラインナップ

 

筆者より

特集を拝読いただき、ありがとうございます。
私は販売業界、またはアパレル業界に、何かお役に立ちたいとずっと考えて参りました。
私は、将来、日本の販売職を専門職としてのステージまで引き上げて行きたいという、壮大な夢がありあります。
皆様方から、「こんなことをしたら売上が上がった」「こんなことに取り組んでいる」など、些細な情報や お持ちの知識や経験をお寄せいただけないでしょうか。
当サイトでご紹介させていただきたいと思っております。
ぜひ、ご一緒に日本の販売という職業を変えていきませんか。

>>成功事例募集
筆者紹介

渡邉 創太郎〈わたなべ そうたろう〉

1981年 株式会社丸井に入社。以降、22年在席
主に営業店で販売の第一線に立つ。
マネジャー、営業店商品担当責任者、副店長等を歴任。
営業店での実績を背景に商品本部紳士ブランドバイヤーとしても実績を積む。
2003年 滑ロ井退社

同年  有限会社SOヒューマンデザイン設立。
百貨店社員、アパレルメーカーの販売スタッフの教育・研修事業をスタートさせ、実績を重ねて行くとともに 2007年よりアパレル専門の人材派遣業務を開始する。
現在はその二つのノウハウを連動させた”コンサルティング併用型スタッフ派遣”と言う新しいスタイルの人材派遣に取り組んでいる。

料金表へ,コスト削減,低価格 お問い合わせへ,売上回復,不振対策
アパレル,ブランド,人材派遣
Copyright (C) SO humandesign All Rights Reserved.