実際に交配する前に、種鳩を健康な状態に置かなければならない。ひと口に『健康』というが、これがなかなか難しい。回を別にしても、薬品やら補助的食品やらを詳述するが交配論にあわせて、交配前に必要な主な細菌の駆除方法を記す。しかし、鳩の健康は、不断にキッチと管理していれば、鳩自身に抵抗力がつき、容易に状態の落ちるものではないのだが、筆者が見る限り、真に健康状態で管理されている鳩舎は少ない。従って交配前に回虫、毛様虫、コクシジウム、サルモネラ、トリコモナス等の駆除を徹底して実施してほしい。その際に最も重要な事は、検便を実施して、どのような細菌に感染しているかをまず認識することである。これだろう、あれだろうと乏しい知識で推測する事が一番危険な方法である。薬品は本来使用せずにすめば、使わない方が良いのである。
もしも、検便によって感染している細菌が判明したら、こんどは薬品の使用方法を間違えないでほしい。あたりまえだと笑うだろうが、これがなかなかできないことのようである。勝手に指示量の倍以上を服用させたり、効いたようだからといって、指示期間途中で投薬を中止したりするケースは厳に避けなければならない。薬は病気には有効だが、使い方を誤ると害にもなる。いわば“両刀の剣“である。正しく使って、最大の効果を得るようにしたいものである。
一般的に薬品を用いる順序(表A)は回虫、毛様虫の駆除が最優先である。これに罹患していると以後にコクシジウム、その他を駆除しても腸管からの栄養吸収が悪いため、なかなか健康状態に回復しない。先ず回虫を除去しその後にサルファ剤を用いてコクシジウム然る後に抗生剤を用いてトリコモナス等の順で実施してほしい。サルファ剤と抗生剤を面倒だからなどと一緒に投与したりすると、重篤な症状に陥り回復が難しいほどのダメージを受けることになる。サルファ剤と抗生剤の同時投与は、人間の場合でも禁忌であって、鳩のような小動物はなおさらである。
抗生物質は治療薬であって、予防薬ではない。予防のために、濃度を薄めて投与したりすると、耐性菌ができて、より広範囲の抗菌スペクトルを有した抗生剤を用いなければならなくなり厄介な事になる。絶対にしてほしくないことである。
薬品を用いるには薬品を用いる基礎知識が絶対に必要である。どうも作今の鳩界は薬品流行で、メチャクチャな使用方法から鳩の健康を損ねている鳩舎が多いと筆者は警鐘を鳴らしたい。
細菌の感染とは別に、交配時に障害となることは、種鳩の太りすぎである。鳩は秋になると冬の期間に備えて内蔵、皮下に脂肪を蓄積する本能がある。従って、秋の食い込む時期にエサを食わせると過剰な脂肪が蓄積されて、交配をしても卵道が圧迫されたり無性卵が出たり順調な作出が妨げられる。従って、種鳩の太りすぎが目立つ鳩舎は、エサを絞るなどの対策をたてて、交配時にベストの状態にしておく必要がある。