眼の種類による交配も、交配作出の際の補助的ポイントとして大きなウエートを占める。
 多くの先人がこの魅力的法則を引き出そうと試みたであろうことは想像に難くない。筆者も多くの論文を読んでみたが、確実な結論は下されていない。従って、浅学的非才の筆者が、片手間の研究によって、この難解な問題を解こうなどという大それた考えは微塵もない。だからといって避けて通ることもできない問題であるので経験的な部分で論述する。
 経験的には、柿眼系統の鳩に石眼(銀眼)系統の交配がベターであるといわれている。筆者もこの説は否定しない。理由は、柿眼と石眼をそれぞれ純系と仮定すればこの交配は前段の雑種強制の理論と妙に合致するからである。柿眼×石眼の交配によって、両者の有する性能的特徴が、優勢遺伝すると解釈すればよいだろう。
 また、柿眼×柿眼の交配は、緑色系の色素が、簡単に発現・増加し、脳力の劣悪化をたどりやすい。しかし、石眼×石眼の交配は、色素が淡くなる確率も比較的低く、劣悪化は極端ではない。
 レース鳩の目は、鮮明で、輝きがあり、英知が感じられ、かつ、鋭さから勇気が感じ取れるものであってほしいと考える。逆に、色素の濃い眼は、種鳩向きといえる。もし、あなたが、色素の濃い鳩を多く作出できる技量ができたなら、成功へのスタート台に立ったといえるであろう。
 なぜならば選手鳩は種鳩から作出するからである。
 アイサインも重要な要素である。瞳孔周囲をぐるりと取り囲むアイサインは、帰巣性の安定した粘り形で、低分速スピードバードに多く、逆にクチバシよりに3分の1程度浸みたアイサインを有した鳩は、高分速スピードバードに多い。低分速スピードバード同士を交配すると、瞳孔を極端に絞る神経質な鳩が多く作出され、失踪の危険性が増加する。体の色、体型、眼の色素の交配を順次述べてきたが、眼だけは同色同士を回避し、柿眼×銀眼(石眼)で雑種強勢を図ったほうが賢明で、アイサインにおいてもぐるりと瞳孔をとりまくアイサイン鳩には、クチバシの方に3分の1程度しみたアイサイン鳩を配した方が好結果が得られる。なぜに目だけをといぶかる方もあると思うが、眼は知能、頭脳部分であるからである。
 しかし、やむを得ぬ場合は、石眼×石眼の交配程度までの血族交配は可能であって、特記すべき性能の変化の事象は少ないようである。
 ただし、くどいようだが柿眼×柿眼の交配は絶対に回避すべきものだと確信する。
 これまでに記した事を参考に、交配までの期間を十分に検討し、どのような鳩を作り出すのか強くイメージする事である。交配的に完全であっても、どのような鳩を作り出すのだという強い意識を持たないと、不思議に好鳩は作出されないもののようである。芸術、スポーツすべてに共通なことは目的意識を強く持ち、ひたむきな思い入れである。