帯状疱疹は、医学事典を引くとき「たいじょうほうしん」で調べます。症状が帯状(おびじょう)に出るのでこの名前がつきました。ですから、「おびじょうほうしん」と読んだ方が分かりやすいと思います。
ヘルペスウィルスの感染が元にあるので、俗にヘルペスと言うこともあります。しかし、ヘルペスの場合、単純ヘルペス(*注)もあるので、混同しないように注意が必要です。
症状は、まず痒みをともなった痛みを自覚します。痛みはピリピリしたと形容されます。そして、数日から1週間経つと、疱疹が帯状に出現します。帯状といっても体の右か左の半身です。一回りするわけではありません。痛みと痒みは強くなっていきます。
疱疹が出現する場所は、だいたい3カ所です。
(1)首から顔にかけて (2)胸と腹 (3)腰から臀部、大腿にかけて です。そして、神経に沿って出現するのが特徴です。
順調にいけば、2〜3週間すると疱疹はかさぶたとなり、痛みと痒みは徐々に消えていきます。
帯状疱疹が治ったとしても、後遺症が残る場合があります。ヘルペス後神経痛です。これがなかなか難治なのです。
− ご隠居さん、お久しぶりで。
− おう、熊さんかい。まあ、おあがり。
− 秋山道場へ行きましたらね、三冬さんから、ご隠居が帯状疱疹になっちまったと聞きまして、心配でこうして訪ねてきたんですが。
− そうなんだよ。胸のあたりにできて。まあ、疱疹も消えて良くはなったんだが、まだピリピリするんだよ。
− なんでも帯状疱疹の後に神経痛が出るそうですね。でも、神経痛なら鍼灸がいいんじゃないですか?
− ああ、そうだ、その手があったね!
− 梅庵先生の施術所にもそういう患者さんがときどきみえてましたよ。
− いや、熊さん、いいことを教えてくれた。
帯状疱疹は、高齢、過労、病後など体力、免疫力が落ちたときに発症しやすいようです。
ポツンとできた水疱、ピリピリとした痛みと痒み。このため、患者さんも、その家族の方も虫に刺されたのではと思うことがしばしばです。
疱疹が出てくれば、帯状疱疹だと間違いなく言えるのですが、やっかいのは疱疹より痛みがまず先行することです。痛みの原因が分からず、診断がつかず、右往左往することがあります。
*注 単純ヘルペスは、単純ヘルペスウィルスの感染によって、口唇または性器にできる。俗に風の吹き出しなどと言って、疲れたときなどに唇の端にできる水疱がそれ。
帯状疱疹のときに使う経穴(つぼ)
患部に鍼(浅い単刺)と糸状灸。