宮沢賢治「語り芝居」


   
 ひとり語り   マクベス




「くすのき20年略記」

座くすのき第8号より(2008年7月)   大多和 勇

 いつの間にかの、あっという間の20年。陳腐な言葉だが長くもあり、短くもあり、遣りたいと思った事の幾つかはやれたと心のどこかでうなずき、
でも遣れなかった事の多さに己の無力を感じ、だが、人間一つでも自分流を創ればたいしたもん。

「おれ達は「語り芝居」を創った」と自分自身を慰め「さあ、勝負はこれからだ」と一休みしたがる己自身を叱咤激励し、そんな己の内面を少しでも整理出来ればと
記録を捲り、記憶を辿ってみた。

 1988年、演劇企画「くすのき」大多和勇、あきなんし、高塩景子三名で結成。現在に至る。(簡単に書けば略歴はこれで終る)

勉強会を始める。

 翌1989、3、15(水)東京都西多摩郡羽村町(現羽村市)公民館文学講座の一環として、宮沢賢治「よだかの星」を上演。公演活動がスタートした。
教室をどう使うか、言葉(語り)の魅力を中心に観客の想像(創造)力をどう共同作業に参加させるか、今に至るまでの中心テーマがここから始まった。

 同年3、26(日)東京都青梅青年の家「春休み子供祭り」に高塩景子一人芝居「蜘蛛となめくじと狸」上演。
これが一つの切っ掛けとなり「どうせなら芝居を見せるより子供達自身の舞台を」という事で十一年に及ぶ「春休み子供祭演劇」が始まった。
「演劇を通して何かを創りたい」という地域のエネルギーとの共同作業(「くすのき」の主要な一面)もこうした一つ一つの具体的活動を通して豊かになっていった。

 同年10、7(土)都職労青年部主催宮沢賢治八作品連続公演を青梅青年の家ホールで上演。
「貝の火」「注文の多い料理店」「祭の晩」「蜘蛛となめくじと狸」「ツェねずみ」「なめとこ山の熊」「詩」「よだかの星」を6時間かけて。
これらは今に至るも「くすのき」の大切な財産。レパートリーシステムの確立を創立時より重視。

 1990、1、14(日)東京都青ヶ島村教委「ツェねずみ」「よだかの星」「詩」公演。
アサヒタウンズに『「くすのき」は「語り芝居」を中心に昨年度旗揚げされた劇団で、宮沢賢治作品八作品を持って全国をキャラバンして公演活動をしている。
創る者と観る者が一体になった時に初めて本当の演劇が生まれる』云々の紹介記事が。

今もこれが「くすのき」である。

来る日も来る日も八丈島の港で「今日は欠航します」のアナウンスを聞きながら島をあちこち歩き廻った事、
ようやく船に乗ったと思ったら、空と海とがミキサーにかけられた様な猛烈な揺れ。今となっては大切な想い出。

 1992、8、22(土)〜8、30(日)東京都立川市「真夏の夜の演劇祭」8日間15作品連続公演。三人共に若かった。パワーが充実していた。

 
どんぐりと山猫


 1993、1、19(火)東京都芸術劇場小ホール1「ツェねずみ」「よだかの星」公演。
その日の日記に「よくぞここまで二人(あき、高塩)を育てたものだ」とある。192ステージ目の公演。感無量だったのであろう。

 同年8、6(金)〜8(日)東京都立川市民会館での3日間17作品連続公演。

 1994、8、3(水)〜7(日)同じ会館で5日間18作品連続公演。

 1995、8、2(水)〜6(日)同じ会館(アミューたちかわと名称が変わる)で5日間20作品連続公演。

レパートリーを次々と増やし、創造力を貯え、楽しくて楽しくてしかたのない季節でした。

 1996、10、4(金)〜6(日)同じ会館で宮沢賢治生誕百年記念公演として「グスコーブドリの伝記」上演。

 
グスコーブドリの伝記


 同年11、9(土)地元日の出町の有志が実行委員会を作り、賢治生誕百年公演を同町公民館で。
日記に「生誕百年祭の幸せな、幸せな一日だった」とある。

 1997、7、26(土)〜28(日)熊本県清和村での「清和子どもフェスティバル97」での上演と上演数日間のワークショップでの延岡おやこ劇場との出合い。
これが切っ掛けとなって十年間にも渡る子供創作舞台の共同作業が生まれた。

 同年10、10(金)東京都国立市くにたち郷土文化館での野外公演。−木々が風にそよぎ、月は中天に昇って・・・−想い出に残る舞台の一つだ。

 1998、7、18(土)〜26(日)東京都アミューたちかわ展示室での9日間21作品連続公演「リア王」「マクベス」がレパートリーに加わった。

 

リア王
 

マクベス



 2001、12、22(土)東京都青梅市青梅青年の家さよなら公演。11年間続いた「春休み子供祭演劇」もこれで全て終り。
子供達の子供達による創作活動が又一つ消えた。怒り、そして寂しさ。

 2002、11、25(月)茨城県水海道第一高等学校定時制公演。
始めは壁に張り付いていた生徒達がどんどん舞台に吸い寄せられて、終演時には全員客席前面に。夜遅く、片付けが終り荷物を積み込む為玄関へ。
と、そこに何人かの生徒達が寒い中待っていてくれて「何か話したくって・・・」
「くすのき」をやっていて本当によかった。

 2003、8、7(木)〜10(日)福島県喜多方発21世紀シアター「蔵の中での創造」の始まり。今年で6年目。

   
喜多方発21世紀シアター
 

蜘蛛となめくじと狸


ツェねずみ


 同年9、29(月)広島県上下町教委公演。
翁座という素晴しい芝居小屋に立てた。役者でなければ解らぬ大きな、大きな喜び。

    翁座 正面 

 翁座 中    


 同9、30(火)広島県三良坂小学校田利分校公演。
町村合併のあおりで今年度で閉校。小学生三名、保育園児七名のお客様、いつまでも元気でな。

 2004、11、15(月)名古屋市「はてな感」での「祭の晩」「虔十公園林」「なめとこ山の熊」一人芝居三作品公演。
十名ぐらいの狭い狭い演劇空間であんな素敵な時間を共有出来るなんて。演劇の不思議。

 2005、11、8(火)〜12(土)北海道稚内、滝川、岩見沢、千歳子ども劇場例会公演。
「・・・三人共本当に力みなく・・・百回に一度の舞台が創られた・・・又々百回に一度の舞台が・・・何かを自分達のものにしたようだ・・・云々」
日記にはそんな文字が躍っている。
毎回、毎回、稽古に公演に励んでいると、そう百回に一度くらいは自分ではどうしてそうなったのかわからない様な舞台が。
そう、これはきっと神様からの励まし、贈物。
これからも毎日、毎回、コツコツと焦らずに。

2007、8、5(日)福島県喜多方発21世紀シアター「竹取の物語」「くすのき喜劇」の誕生。

   竹取の物語  


そして今日、20周年記念公演が始まりました。782ステージ目の舞台が始まりました。
色々な事がありました。これからも色々な事があるでしょう。でも、創り続けます。楽しいから、好きだから、演りたい演目が沢山あるから。
さて、次は何が出てくるか・・・

くすのき20周年記念公演 
 
オッベルと象
 
ツェねずみ
 
注文の多い料理店
 
雪渡り


 これからも、よろしくお願い致します。