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猫の呟き その三十
大多和 勇
七十才になりました。想えば遠くへ来たものだ。(二十代の私には七十才の自分なんて想像も出来なかった)
十年日記だから発覚出来たのかもしれないが、五月十五日の欄に六十八、六十九、七十と三年間年令が書いてある。
自分の中の何かがそれを書かせたのであろう。自分が七十に成ると云う事はそれだけ私の中で意味を持っていたのだと気付かされる。
しかし成って見ると何の事はない。昨日と代わり栄えのしない自分がそこに居るだけ。付きが落ちたよう。
そう、その日その日を大切に、楽しく、遣りたい事、遣れる事を丁寧に、心置きなく。
昨日と違った、すっきりとした自分がそこに有った。
水上勉作「ブンナよ木からおりてこい」(市民劇場TAMA)の公演に演出協力という事で公演初日を向えた。
色々とハプニングがあり、近来になく大変な毎日であったが、すっきりとした舞台が出来た。
(欲を言えば限がないが、あのハプニングの中でよくぞここまで。全員が諦めなかった事が最後の最後、舞台上に花を咲かせる事が出来たのだ。御目出とう!)
何年振りかで「清沢満之」を読んだ。
以前の感動が虚でなかった事が実証出来た。鈴木大拙を読んで、親鸞を読んで、法然を読んで。
そう、何年振りかであの時と同じ地点に立ち帰ってみよう。そんな気持の今日此頃です。
(2012、5、25)