よく混同されがちですが、pH試験紙とリトマス試験紙は、全く別のものです。
小・中学校で実験に使ったことがおありのリトマス試験紙は、調べたい液体がpH6.9以下の酸性かpH7.1以上のアルカリ性かの判定をするだけのものでして、pH試験紙のように細かいpH値を測定することはできません。
液に濡れて発色したpH試験紙を比色表の横に並べてpH値を測定するとき、先入観や期待感を持たず虚心坦懐、遠目でチラッと見比べ直感的に判定するのが大切なコツです(先端の糊しろ部分約1mmの色は無視)。
比色検査をしたことがない文科系の方々、特に色彩感覚の優れた美術系の人ほど、比色表との完全一致を求めがちです。 でも、それはムダな努力です。 何故なら、検査した尿がたとえばpH6.9であるとき、比色表の6.8の色とも7.0の色とも一致しないからです。 もっと言えばpH6.90ではなくて、実際にはpH6.87とか6.94などの色が出ているかもしれません。
だからエイッヤッとばかり、pH6.8か7.0かのどっちかに決めていただくしかないのです。 それ故、pH6.9とか7.1などと奇数値のデータを出さないでください。
また、検査する液体の色の濃い薄いが発色した色調に微妙な影響を及ぼします(たとえばビタミン剤を飲んでオレンジ色を帯びた尿など)。
さらに、液への接触加減によりpH指示薬の溶出量がマチマチなので、発色した色調に濃淡が生じるのを避けられません。 しかも、人間の視覚は光線の当り具合(日向・日陰、晴れ曇り)や光線の種類(太陽光、蛍光灯・電球W数)によっても微妙に影響されます。 どうか比色表の色との完全一致を求めないようにしてください(精度重視ならpHメーター使用)。
目を離して見比べつつ、まあ大体この辺だろうと判定することに不信を抱かれるかもしれません。 でも、それで充分なんです。 それが昔からpH試験紙の限界なんです。 そんな頼りないpH試験紙だって、ちゃんと役に立ちます。
(まだ、特許pHスティックでは精密な検査ができないのでは?と一抹の不安がある方は、こちらの「某企業測定部様とのやりとり」へ)
なお、特許pHスティックに採用したpH試験紙は、pH指示薬のメチルレッドMR(測定可能範囲:pH5.0〜7.0)とブロムチモールブルーBTB(pH6.2〜8.0)とを混合して濾紙に染み込ませたものです。 2薬を混合することに若干の無理があるらしく、比色表におけるpH6.8の色調とpH7.0の色調とがやや不連続なのが気になります。 しかし、2薬混合のメリットの大きさに比べたら、この程度の欠点は微々たるものです。
たとえば犬の散歩中、道端で排尿姿勢を示したとき、とっさに2種類のpH試験紙を取り出すのは困難です。 かといって、あらかじめ2種類のpH試験紙を手に持ちながら犬と歩くのは面倒です。 そして、排尿中の尿線に2枚のpH試験紙を同時に接触させたり、あるいは1枚ずつ続けて接触させるのは、不可能でないにせよ決して簡単なことじゃありません。
また、比色表に印刷されている色見本はDr.中島健次のオリジナルです(著作権登録済み)。
市販されている従来のpH試験紙に添付の比色表をコピーできれば簡単至極。 でも、実際はそんな訳に参りません。 白色台紙へ部分的に貼ることによって、鮮やかな色に発色します。
その鮮明な色調を正しく紙へ印刷するために、技術者として私の全力を傾注いたしました。
秘密の一端を披露させていただくと、電極使用pHメーターのゼロ点調整のために市販されているpH5.0とpH7.0の較正液を使用し、12段階の比色表を作製したのです。 これに要した開発費を回収するため、比色表を有料(1枚315円)とさせていただいております。
何卒、ご了承願います。
では、pH検査が初めての方は、正しい色の出し方と見方を練習してみましょう。
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