漢方薬:炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
患者のタイプ:虚証(体力の低下した人)
使用目標:心悸亢進や頻脈、動悸、息切れなどを訴える、
皮膚の枯燥、易疲労感、手足のほてり、口渇、便秘などを伴うものに使用。
適応症:動悸、息切れ、バセドー病など。
成分内容:地黄・麦門冬各6.0、桂枝・大棗・人参・炙甘草・麻子仁各3.0、阿膠2.0、生姜3.0
本方は、別名を復脈湯ともいい、心悸亢進と脈の結滞とを目標にして用いるが、脈の結滞のない場合にも用いてよい。
本方を用いる患者は、栄養が衰え、皮膚が枯燥し、疲労しやすく、手足の煩熱、口乾などがある。
本方の甘草は桂枝と組んで心悸亢進を治し、地黄、麦門冬、人参、麻子仁、阿膠には滋潤、鎮静、強壮の効があり、
麻子仁には緩下の効もある。人参にはまた健胃の効もあり、大棗と生姜は諸薬を調和して吸収を促す。
本方はバセドウ病、心臓病、産褥熱、肺結核などに用いる機会がある。
適応症:心気陰両虚:脈の結代・息切れ・疲労感などの心気虚の症候が主で、動悸・咽や口の乾燥感・眠りが浅い・
寝汗・やせる・便がかたいなどの心陰虚の症候をともなうもの。
舌質はやや紅で乾燥してやせている・舌苔は少ない・脈は結代あるいは細弱。
「中医処方解説」 脈の結代・動悸・息切れに対する代表処方である。
補心気の炙甘草・党参と、通心陽の桂枝・生姜・および滋陰養血の麦門冬・生地黄・阿膠・麻子仁・大棗から構成されている。
「心気虚」とは、主に心臓の駆血能の低下を指すが、さらに脳の興奮性低下・循環機能の低下などが加わって心筋のアノキシーが生じ、
これにともなって心房・心室の期外収縮が発生する状況と考えられる。
適応病態は、さらに全身的な栄養不良状態が生じ、異化作用の亢進・脱水・脳の抑制過程の機能低下
・心筋の代謝障害などの「心陰虚」をともなったものと考えられる。
主薬は補気の炙甘草で、経験的に心気虚にもっとも効果があるとされており、アドレナリン分泌促進・コルチコイド様作用などにより
強心効果を生じたり反応性を増強させるものと考えられる。
党参は、脳の興奮性をつよめ全身の機能や同化作用を促進し、強心作用によって心臓の駆血能を高める。
また、炙甘草・党参は、利尿作用により体内に水分をとどめて滋潤に働く。
通心陽の桂枝・生姜は、血管拡張作用をもち、冠動脈に対しても拡張作用をあらわすものと推察される。
生地黄・麦門冬・阿膠は、滋養強壮に働いて体を栄養・滋潤し、異化作用を抑制する。生地黄にも強心作用があり、
麦門冬は脳の興奮性を高めるとともに、アノキシー抵抗性をつよめる。
阿膠はカルシウム分を含み心筋の代謝を改善する。
桂枝・生姜・大棗は消化吸収促進に働き、麻子仁は油性成分によって腸管を滋潤し通便する。
麻子仁はほとんど滋養効果がないので、便がかたくなければ除いてもよいが、
滋養・鎮静作用をもつ柏子仁・遠志・酸棗仁などにかえた方がより適切である。
心気虚が顕著なら党参を増量し黄耆を加え、冷え・寒気など虚寒がみられれば附子・肉桂を配合する。
心陰虚がつよければ、生地黄を増量し生姜・桂枝を減去する。
動悸がつよければ朱砂・竜歯などを加える。
狭心痛があるときは、舌苔が白など湿証がつよければかつ楼仁
口渇・口乾 口渇のあまりはげしくないものには、括呂根、人参、知母、地黄、麦門冬などの滋潤剤を配合した処方がもちいられる。
口乾には実証はなく、虚証が多いが、お血による口乾があるから、他の証とにらみ合わせて証を明らかにしなければならない。
於血以外の場合は、証に従って温補滋潤の剤を用いる。
例えば、老人、産婦、大病人などで、一睡して目がさめると、水を口に入れないと、舌が動かないほどに乾くものがある。
このような患者には、人参、地黄、茯苓などの配剤せられた十全大補湯、炙甘草湯、茯苓四逆湯などがもちいられる。
炙甘草湯も、桂枝、甘草野他に数種の薬が配合せられていて、
大病後あるいは慢性病などで体力が衰え、心悸亢進、脈の結滞などのあるものに用いる。
心下悸・臍下悸:心臓の動悸は、心悸という、心下悸、臍下悸、水分の動、腎間の動などとよぶものは、
腹部大動脈の拍動の波及が顕著で、他覚的にこれを望見し、あるいは容易に触診によって知ることのできるものをいう。
健康な人では、これらの動悸は、腹底で静かに、あるかないかわからない程度に搏っているから、手を軽くあてても、ほとんど感じない。
気血水:気血水いずれとも関わる。
六病位:少陽病。
脈・舌:舌質はやや紅で、乾燥しやせて、舌苔は少ない。脈は結代あるいは細弱。
勿誤薬室方函口訣
心動悸を目的とす。(浅田宗伯)
不整脈のなかでも、虚している、熱候としてたとえば口がはしゃぐ、手足の芯がほてる、息が熱く感じる、
燥いた症状として息が切れる、便秘する、などの症状のどれかがあるものを参照して用いる。(龍野一雄)
病名・病態・効能・効果:体力が衰えて、疲れやすいものの動悸、息切れ。
漢方医学的病態:心気陰両虚。すなわち、脈の結滞、息切れ、疲労感などの心気虚の症候が主で、
動悸、咽や口の乾燥感、眠りが浅い、寝汗、やせる、便が硬いなどの心陰虚の症候を伴うもの。
舌質はやや紅で、乾燥して痩せている。舌苔は少なく、脈は結代あるいは細弱。
構成生薬
地黄6、麦門冬6、桂皮3、大棗3、人参3、麻子仁3、生姜1、炙甘草3、阿膠2。
中医学理論:益気通陽・滋陰補血。動悸が強い場合は、桂枝、竜骨、牡蛎を加味する。
漢方医薬学湯剤使用経験 滝野一雄著『新撰類聚方』増補改訂版より
@チフス・肺炎・流感その他の急性伝染病で、熱高く、動悸虚煩、不眠、譫妄などがあるもの。
A肺結核で、高熱、息苦しく、盗汗、喀血、皮膚乾燥、咳などが著明のもの。
B心臓弁膜症・期外収縮・遷延性心内膜炎等で動悸、或いは脈結滞するもの。
Cバセドゥ氏病・神経性心悸亢進症・交感神経緊張症・ノイローゼ・本態勢高血圧等で、動悸がし汗をかきやすく、直ぐ疲れ、のぼせ気味のもの。
D百日咳などで、息切れ動悸し、衰弱を現すもの。
E音声を発しがたく、胸腹動悸し、胸下痞鞍、便秘するもの。
F口内炎・舌炎・歯齦炎・扁桃腺潰瘍等で、濁唾を出し、飲食すること能わず、衰弱が加わるもの。
G癇症または老人衰弱者の便秘。
H慢性下痢で、動悸息切れするもの
I指の爪が反り裂け、息切れ、動悸するもの
J肝臓肥大、黄疸で、息切れ、浮腫、目眩、耳鳴り、食欲不振、手足煩熱等のもの
K腎臓炎の蛋白尿、虚労行動常の如し
気管支喘息、気管支炎によい漢方薬!
特集:柴朴湯(さいぼくとう)
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漢方専門 大山漢方堂薬局 厳選漢方薬解説:柴朴湯(さいぼくとう)
処方名:
柴朴湯(さいぼくとう)
患者のタイプ:
中間証(体力中等度の人)
使用目的:
胸脇苦満、心窩部の膨満感があり、精神不安や抑うつ傾向がある。
しばしば喘鳴やセキ、食欲不振、全身倦怠、動悸、めまい、咽喉・食道部の異物感などを伴う。
適応症:気管支喘息、気管支炎、神経症など。
成分内容:柴胡7.0、半夏6.0、茯苓5.0、黄今・厚朴・大棗・人参各3.0、甘草・蘇養各2.0、生姜1.0・
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