「Ζの本当の主人公はシャア」と言われる理由


 「Ζガンダム」でよく言われていること一つに、「カミーユは表の主人公で、実の主人公はシャアである」という話がある。これは企画段階において「逆襲のシャア」というサブ・アタック・タイトルが付けられていたことや、エンディングのクレジットにて、「カミーユ・ビダン 飛田展男」の上に「シャア・アズナブル 池田秀一」と書かれていることなどが要因のようである。

 この話の本当のところは、実際に放映された内容からは断定できる話ではない。むしろ放映内容からいけば「主人公はカミーユ」という結論でほぼ間違いない。これは私的解釈云々という話ではなく、とある出来事をきっかけに、実際にカミーユを主人公として描くことに“方向転換した”からである。

 その出来事というのは、ガンダムシリーズの放映期間延長に伴うΖガンダムの短縮である。Ζガンダムは放映開始後から高視聴率を記録し、それを受けて富野監督の元に放映期間を引き伸ばしてほしいとの要請がかかった。富野監督はそれを受けたものの、延長された期間というのが、Ζを引き伸ばすには長く、新作をやるには短すぎるものであった。そこで本来全70数話の予定であったΖを全50話とし、これによってできた空き期間を延長期間と合わせ、続編(ΖΖ)にあてることとなったのである。
 これによりΖガンダムは終盤の20数話にあたるストーリーをカットし、全50話でティターンズを倒してひとまずの決着をつけることとなる。この終盤20数話がシャアが正真証明の主人公として活躍する大事な部分である。そしてシャアが7年の刻を乗り越えて立ちあがる(ダカール演説か、又は50話あたりか?)までは、カミーユにスポットをあてて物語を持たせようということだったのである。
 しかしこの終盤カットにより、シャアを主人公にする必要が無くなった以上、シャアが主人公であることを匂わせる必要もなくなってしまい、途中からカミーユを正真証明の主人公に据えて進めることとなったのである。

 これが事の真相であり、シャアは「Ζの本当の主人公」というよりは「主人公となる話がボツになった男」であり、カミーユは「仮初めの主人公から本当の主人公になったラッキーキャラ」なのだ。更には、本来精神崩壊にて終わるはずだったものが、ΖΖにおいて見事回復にまで至ってしまうのだから、カミーユは本当にラッキーな男であり、シャアは「よくよく運の無い男」である(笑)


(オマケ)
 ちなみに、当初の予定では、終盤の物語がどのように展開するはずだったのか、簡単に書いておきます。

まず、カミーユ達に促されシャアが立ちあがる(これがダカール演説あたりのことなのか、50話あたりのことなのかは不明)。その後シャアがハマーンを倒し、ジオンはエゥーゴの傘下(吸収?)に入る。そしてシャア率いるエゥーゴはティターンズに立ち向かう。
シャアの前にシロッコが立ちふさがる。しかしシロッコは強大であり、シャアは成す術を失いかける。
しかしそこでカミーユが立ち向かいシロッコを倒す(しかし精神崩壊)。シャアは、精神崩壊したもののシロッコに立ち向かい倒したカミーユを見て、若い世代の力を確認。これからの時代は次の世代に任せるべきだと悟る。

 以上が当時の資料等に見られるストーリーの概要です。私が拝見した限りではアムロ達についてまでは書かれていなかったのですが、やはり気になるところです。でもそこまで煮詰めるに至らずボツになっていますから、仕方ないですね。


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