第14回日本農林漁業トップリーダー発表大会は成功裡に終了しました
発表大会開催にあたり武部会長にご挨拶をいただきました
皆様、おはようございます。本日、「第14回日本農林漁業トップリーダー発表大会」がこのように盛大に開催できますことを、主催者を代表して、御礼申し上げます。
本日は全国各地から、農林業経営者の皆さん、将来の農林業経営を目指し、勉強をされている東京都内の農業高校生、そして農業者大学校の若い皆さん、日本の農林業に大きな関心を持たれている消費者の皆さん、農林行政や農林関係団体の皆さん方に会場一杯お集まり頂いて、本大会を開催できますことを厚く御礼申し上げます。
トップリーダー発表大会も14回を迎えました。本日、基調講演をしていただく、大阪府の大橋さんは、日本の林道づくり50年、森づくり64年の豊富な経験をもった大先生であられます。
また、天皇杯等を受賞された5人の優れた発表者は、長野県の中山間地域において、有畜複合循環型経営と直販事業で地域農業の再生と発展に大きく貢献されている永井(ながい)さん、兵庫県の山間地域で、養鶏と稲作、直販による地域農業活性化に貢献されている西垣(にしがき)さん、富山県で水田稲作など100haの大規模経営をされている戸田(とだ)さん、愛知県で胡蝶蘭(コチョウラン)の大規模経営と日本一を誇る高品質を両立させ、その輸出に取組まれている松浦(まつうら)さん、そして、静岡県朝霞高原における森林の総合的利用サービスで実績を上げている竹川(たけかわ)さんと、いずれも「日本の農林漁業の未来を拓く」という本大会の共通テーマに最もふさわしい方々であります。
本日、発表をしていただく、5人の経営者はそれぞれ農林業経営の形態や内容は異なりますが、時代の変化や流れをつかみながら、創意工夫、経営や技術の改革や革新に粘り強く取り組み、立派な成果を上げられており、今後の農林業経営展開の方向性を示して頂いております。
本日ご参会の皆様方は、それぞれの立場やご関心の持ち方に違いはあると思いますが、本日の発表から、今後の「日本の農林業の未来に向けた」再生と発展の方向性や地域における具体的な改革や取り組みに向けた多くのヒントを、把握して頂けるものと思います。
今日、我が国の農林業と農山村には、多くの困難な課題が山積しています。国会と行政並びに関係団体の責任は、極めて重いと考えております。
日本の農林漁業と農山漁村が健全な姿で存続できなければ、国家社会の安定的持続、繁栄はあり得ないとの認識は、皆様も同様であると思います。今後も、本協議会会長として、皆様とともに力を併せて活動して参る所存であります。
最後になりましたが、本日ご参会の皆様方のご健勝とご活躍を祈念して、ご挨拶に代えさせて頂きます。ありがとうございました。
<基調講演>
大橋慶三郎氏「日本の山と森を守る:道づくり・林道づくり50年」
道づくりは、草木の葉の葉脈や棚田にもヒントを得られ、棚に道をつけると、費用がかからず、潰れないことを発見し、その原則を守りながら、50年間、道をつくり、森づくりを進められて来られました。
山村は人手不足、林業ではお金にならないので、山林は放置されています。大橋さんは間伐が何よりも大事といわれました。そのためには、山の適地を選び、経済性と環境性が一致した作業道を作り、間伐は樹木が持つ生命力を見究め、「調和を乱すもの」を間引きすると教えて頂きました

東京大学大学院森林利用学研究室、酒井秀夫教授に
大橋さんのご紹介を頂きました。

株式会社 永井農場 社長 永井進氏「中山間地における地域と共生した循環型・複合経営の実践」
永井さんからは、日本の農業者から、聞くことが少ない「I am proud to be a farmer」という言葉を聞くことができました。
永井農場は、会長の忠さんが小規模経営から、自立を目指して、地域の協力を得ながら、着実に経営規模の拡大を進め、発展されてきました。
その遺伝子(DNA)が、北海道で5年間、酪農を学んだ社長の進さんに、見事に継承され、中山間地域では、これまで例のない、地域と共生した高度な循環型の有畜複合経営、6次産業化を取り入れた「高付加価値型の複合経営」に発展しました。とりわけ高度の情報システム(ホームページ・プライベートマガジン等)の活用による消費者へのわかりやすい情報発信を行われています。

会場全景

本年の司会は岩崎アナウンサー
林中部営農組合 戸田俊昭氏 「地域に支えられた100haの日本の稲作モデル」
林中部営農組合の30年、100ha経営への発展と今後の展望を含めた発表でした。
地元に根ざした地域密着型の大規模として、地域から信頼され、発展し、地元集落の半分の水田を借地し、土づくりへの努力による高品質、高収量、環境重視したモノづくりに徹していること、農地の集積や、自らの機械整備によるコスト低減、作業効率の追求など、合理的な経営管理で効率的経営を行い、育苗ハウスのトマト、白ネギなどの園芸作物の導入、味噌づくりなど、複合経営、6次産業化への取り組みを行っています。
株式会社松浦園芸 代表取締役 松浦進氏 「高品質、大量生産を実現したコチョウラン経営」
美しい高品質の胡蝶蘭の大量生産、コンピュターによる最適な環境制御、日本の施設園芸技術の頂点に立つ、大規模経営とトップレベルの技術を発表していただきました。
自動環境制御による高品質の胡蝶蘭の大量生産技術、新しい苗生産と育苗を委託する分業化した経営システム、独特の生産工程をグループ化した責任・分担体制による人材の育成、三連棟の大型システムによる作業の省力化、新商品開発と販路拡大への積極的取り組みなどです。

松浦さんの発表には明大の先生から質問も

株式会社西垣養鶏場 代表取締役社長 西垣源正氏 「高品質鶏卵生産・地域共生型の6次産業展開による山間地域の活性化」
但東町の山間部の美しい緑と美味しそうな「卵かけごはん」などの写真、素晴らしい農産物の直売所、生産された卵と米を食材とした「6次産業経営」、交通立地に恵まれない山間地域に、年間十万人が訪れる、株式会社・西垣養鶏場は、地域の活性化の拠点と、西垣さんの発表でした。
その6次産業経営の特徴は、大きく三つに要約されるように思われます。一つはたまごの味にこだわった高品質の「鶏卵の生産」です。二つは、鶏卵・米などを主体にした直販の実施、加工品の販売等による産業経営の実践です。三つ目は、地産地消、農産物直売所等による地域農業の活性化への貢献です。

今年の発表大会には次代を担う高校生も参加してくれました。(弥生講堂脇で)

株式会社 ふもとっぱら 社長 竹川将樹氏 「木材生産と森林の総合利用サービスを統合した新たな森林経営の実現」
恵まれた環境立地条件を活かし、今後の新しい林業経営の方向、在り方を実証された発表でした
人工林の間伐利用に加えて、レクレーション施設の経営など、森林の総合サービスを取り入れた複合経営は、新しい森林経営のモデルとして評価されています。作業道の開設技術を取得され、高性能機械の導入などによる間伐で、収益を上げています。
雇用した職員は、機械の操作技術をもち、キャンプ場運営と兼務が可能な体制を取り、通年労働が出来ることなど、持続的な森林経営への配慮が行われています。
森林の管理に当たっては、大面積皆伐の停止、保護樹林帯の残存、自然環境に配慮した施業方法の採用など、生物多様性の保全への配慮が行われています。
<大会講評>日本大学生物資源科学部食品経済学科 教授 大賀 圭治氏
毎年楽しみながら講評させていただいています。1回目から見ると大分変化が見られます。最初は個性のあるひとばかりでした。その人達は、現在はこの会の幹部になっています。最初の人たちから見るとその道を新たに切り開いてきた人が多い。それとだいぶ余裕がある。また、組織での、集団の力、仲間とやっていることがみられる。いわゆる企業経営となっている。そういう意味では広がりをもっている。危機的反面、可能性もある時代ではないでしょうか。
大橋先生には聞き惚れました。ある種、仙人の境地、他の方の発表と違う、個人として、森に住んでいる仙人の、悟りを開く体験談を聞かせていただいた。理屈ではなく、身体に染みついたものです。業としての林業が崩壊していく中で、大橋さんの話でなぜ日本の林業が崩壊していくのか捉えることが出来るのではないでしょうか。
永井さんのお話です。都市農業の次に中山間問題についてこの会が採り上げているテーマでした。酪農と米を結びつけた複合経営。世代が変わってきたという事を感じさせる。発表の質の高さが伺えます。いわゆる6次産業化を実践するのは大変だと思います。専門化しながらの、すべての、大学教員には指導できない、個別の経営でなく複合経営について教えられる者はいません。TPPは米については何らかの形で例外になるのではないかと確信していますが、それくらい日本にとって、米は根幹をなすものです。優良経営の人たちの世代交代が出来るか、戸田さん達は次の世代の交代が出来ている。そのような点では新しい展望を示しているのではないでしようか。
松浦さんですが、古い人間から見ると農業でない、高度技術集約型の経営でないか、世界と争うというもの、少なくとも質という面で世界に出て行くと、将来に希望をもたせるものでした。それだけに一般化出来ないのでは無いかと思います。他の分野でそうなれるかと言うと難しいと思います。日本の産業として今後とも希望をもたせて欲しい。
西垣さんですが、おいしさが決定的な、要素になっている。米については美味しさの研究がだいぶ進んでいる、料理方法しかり。卵の美味しさはなにか、新鮮さが要素であるのは分かる。それ以外は何か、客観的に、多少なりとも分析して、消費者にどうして美味しいか教えてあげる必要性が有るのでは無いでしょうか。味を楽しむゆとり、美味しさは大事だと思います。噂だけ無くそういう面に期待します。話題になるのは大事ですが、求められていることに答えることも必要かと思います。なぜ美味しいのかと。
竹川さんですが、林業は自然を相手にした、長い時間の掛かるものです。何百年単位の話です。木材生産だけでなく、国民に、日本の国土の多くが森林であり、森林の大切さを教える、自然に親しむことを教えることも、生業の一部としている。テキストに書いてあることは難しいですが、人に分かってもらえること、それも必要だなと。日本人にとって農業より、林業は歴史の中で深い。
大橋先生、武部先生のお話しにもあります。日本人の魂の奥底に神社、森、山が有ります。その山が荒れ果てていくことに危惧を感じます。どうやって再生していくかということを考えなくてはいけない。そのような面で二人の話がきっかけになればと思います。
かつて、立派な人たちがいた、それが、新しい世代に引き継がれ、組織的にされたらと思います。