 マスターが掘り出した一歩の入り口。 こんな雪の壁になっているのを見たのは初めて。 |
この冬は全国的な大雪でした。雪国に住むみなさんにとっては、いろいろご苦労の多い年だったろうと思います。2月に一歩に遊びに行った時も、玄関前の階段と給餌場へ向かう道には除雪作業によって両側に高い雪の壁が出来て見事な“雪の回廊”になっていました。「アルペンルートみたい!」と、つい、はしゃいでしまうと、マスターは渋い顔。
いつもは可愛い小鳥たちの姿が眺められる食堂の窓の外にも、屋根から落ちて来た雪が高く積もって屏風のように立ちふさがってしまい、せっかくの小鳥の給餌場がほとんど見えなくなってしまっていたからです。
日々の雪掻き作業に、いささか、うんざりしていたらしいマスター、遠くを見るようにしながらポツリとつぶやいた一言。
「この雪さあ・・・よかったら、あなたが片付けてくれてもいいんだけどね。いい運動になるよォ!」
「ひえぇ〜っ、か弱い私の細腕でこの雪山を撤去しろと??・・・無理無理、無理ですぅ〜!」と振り切って、雪の上のお散歩へと逃げ出したのでした。(^_^;)
給餌場には夜になるとキツネやテン、タヌキ、ハクビシンなども入れ替わり立ち替わりやってきます。小鳥たちのおこぼれの他にもマスターが彼らのために用意してくれるご馳走がお目当てなのですが、当然、翌朝には雪の上に足跡がいっぱい残っているはず・・・・(もちろん、マスターは食堂から見えなくなったからといって、動物たちに何もあげなかったりはしません)
そう思ってスノーシューを履いて見に行くと、あるある、ありました!いろんな足跡がいっぱい!一応、『足跡図鑑』とかでいろいろなけものたちの足跡を見てはあるんだけど、堅く締まった雪の上ならともかく、降って間もない柔らかい雪だと、足跡が深くめり込んで形が崩れてしまうので、なかなか判別はし難いです。
「これはキツネみたいだけど、なんだか歩幅が小さいな。仔ギツネ?
まさかねえ・・・」
「これがテンかなあ?」
「あ、これはきっとノウサギ!」
雪の上に縦横に走るさまざまな足跡を見ながら、独り、昨夜の彼らの行動を想像して楽しみました。
 給餌場の前の湿原に残る 前夜の訪問者たちの足跡。 |
 キツネに似ているんだけど 歩幅が小さすぎるような・・・ |
 一歩山脈? 雪の壁で遮られてしまった食堂の窓。 |
一歩の前を流れる小さな沢を渡って、マスターが名付けるところの「ひみつの散歩道」へと行ってみます。ここにも木々の間を縫って一歩へと向かうタヌキの足跡が・・・
いつか案内してもらった、マスターご自慢の散歩道は途中で現れる黒々とした杉林に入るあたりで急な下りになって、下の沢沿いの道へと向かうのだけれども、今日は杉林の手前で道を外れて(と言っても、雪が深く積もっているのでどこでも歩けちゃう)上のほうへ登ってみました。もう、5年くらいも前の早春の出来事を思い出したからです。
 コケや地衣類に彩られた木の幹。 |
 一歩の給餌場へ向かったと思われるタヌキの足跡。 |
 オレンジジュースをこぼしたような ノウサギのオシッコ。繁殖期に入った オスだけがするマーキング。 |
あの時はまだスノーシューは無くて、クロカンのスキーを履いて歩いていたのでした。そして、すり鉢の底みたいな小さな窪地までやって来て、ふと見上げると、尾根のところの木の間に何か大きな動物のシルエットが佇んでいるのが見えたのです。初めは「どこかのペンションで飼っている大型犬かな?」と思ったんだけど、犬にしては少し形がちがう・・・・よくよく目を凝らすと・・・カモシカ?
黒い影もこちらをじっと見つめているようでしたが、やがて、フッと消えてしまいました。
ドキドキした胸がちょっと収まってから、「ほんとにカモシカだったのかな?」と、確かめてみたくなって、長いスキーでよっこらよっこら、斜面を登ってみました。
尾根に上がったところで見たのは、畳半畳分くらいの雪がコチコチに踏み固められているのと、その周りに無数に付いた、ひづめが二つに割れた形のカモシカの足跡でした。
あ〜、これが話に聞く「カモシカのお立ち台」というものかも・・・・
カモシカはよく、見晴らしのよい同じ場所を選んで、じっと立っていることが多いと聞いたことがあったので、それかもしれないと思いました。尾根の反対側を覗くと、そこは怖いような急斜面でしたが、たった今付けたばかりのような足跡が真直ぐに下っていました。
さすがはカモシカ!なんだかちょっとうれしくなって、さっそく帰ってマスターに報告したものでした。
 向こうは急斜面。“崖っぷち”に続く足跡 |
今回も同じようにカモシカに出会えたらいいけど、そう、うまいわけにはいかないだろうな・・・
当てにはしていなかったけれども、やっぱり、尾根の上にはそれらしき姿はありませんでした。でも、あそこまでは行って見ようと登って行くと、そこには「お立ち台」こそありませんでしたが、狭い尾根に沿って登って行く一頭のけものの足跡が・・・あった、あった!
まだ柔らかい雪を引きずるように歩いているので、カモシカかどうかはよくわからなかったのだけれど「絶対そうに違いない!」と勝手に思うことにして満足して帰って来たのでした。(^_^;)