にほめの一歩

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 にほめの一歩はこんな宿(その1)

イラスト  宮野 裕未(ひろみ)        

                 『にほめ』の建物   『にほめ』の外観

質素である!

初めて会った時、「そうですか、ペンションをやっておられるんですか」と、うっかり言ってしまうと、マスターは怒りました。
「ペンションじゃなくて山小屋と言いなさい。俺は“ペンション”なんていう、軟弱なものはキライなの!」
「えー、でも白馬でしょ?落倉でしょ?あの辺にあるのはやっぱりペンションでしょう?」
「違う、山小屋!」

それからしばらくして初めて訪ねたお宿はやっぱりペンション群の中にあって、でも、他の建物と比べると、ほんとーにかざりっけなく質素でした。
お洒落だったり、メルヘンチックだったりする他のお宿と比べると、もう少し、愛想があってもいいんじゃない、という気も、正直言ってしないでもありません。
でも、ご安心(?)を。バス、トイレ、暖房(夏も涼しいので、冷房は要らない)などの設備は充実。そして、見かけによらずキレイ好きのマスターが、ピカピカにお掃除して待っています。
そして、そして・・・ お宿『にほめの一歩』の真価は、まだまだその中身にあるのです

  マスターご自慢のコーヒー

マスターはもとコーヒー屋さん
マスターは十年ほど前まで、東京は自由が丘で『はじめの一歩』という喫茶店をやっていました。
残念ながら、その時代のことは、私(むにえる)はまったく知らないのですが、当時、流行に敏感な若い女性向けの雑誌が取材に来たほどの「シブくて、かつおしゃれな店」(当人曰く)であったそうです。
(私はつい最近まで、その店は池袋あたりの裏通りにあって、初めての客は尻込みして入って来たがらないような、アヤシゲな店ではなかったかと、ずっと思っていました・・・)
ともかくそんなわけで、コーヒーの入れ方には、かなりこだわりがあるようです。

  マスターの料理の腕前

「料理はさ、センスの問題だからね」というのがマスターの口癖。ちょっとそれ、キザな言い方じゃない?と思わないでもない。でも、“自然の達人”かどうかはわかりませんが、このオジサン、“家庭料理の達人”かもしれない、というのが、初めて泊まった時の印象でした。特別凝ったものなど何もない、ごく普通のお料理が「でも、こんなに美味しい!」というのは、やはり大したものではあるまいか?
実際、そんな食事に惹かれて、『にほめ』にやってくる常連さんも多いみたいです。

    『にほめ』の中心?お洒落な食堂兼リビング

食堂兼リビングはこのお宿のメイン。広くて明るくて面白グッズがいっぱい。まずは正面のテレビの両脇にある、巨大な手作りスピーカー。無骨で古めかしいけど、とっても音が良いんです。さすがに「これといって大した才能はないけど、音楽的才能だけはある」と、豪語するマスターがあつらえただけのことはあるかもしれない。
(本音を言えば、むにえるはマスター主催の自然観察会とかにお付き合いするより、あるいは、吹雪の中をスキーに出かけるより、あったかくした食堂で---冬場はね---好きなCDをガンガンかけながら、ゴロゴロしているのが好きです)

更に、ジャンル様々のCD、本棚いっぱいの本(マンガもあり)、それから窓辺に並んだ可愛いぬいぐるみの数々(マスターのイメージとあまりにかけ離れているので、初めて来た時はとても無気味に思った)は、マスターが揃えたものより、常連のお客さんが置いていったものが多いとか。
「別にもらったんじゃないよ。向こうが勝手に置いていくから、置いてあるだけ」
なにそれ?
『にほめ』のリビング
かく言う私も、いつのまにか、何冊かの本を本棚に供出してしまいました。
なんだか人の家のような気がしなくて、こんなものここにあったらいいのに、と思うと、自分の家から持って来てしまうのかもしれない・・・

その他に、変な形の葉っぱだの、木の実だの、マスターが「標本」と称するガラクタ(?)の類もいっぱい。(あ、と言っても、「動物のホルマリン漬け」とかはありません、念のため)
本棚には自然関係の図鑑や実体顕微鏡も揃っているので、自然観察の後、やりたい人はお勉強も出来ます。

もちろん、お勉強などしたくない人、休暇を取って白馬へ来たけど、スキーに行くのもかったるいという人は、音楽を聞いたり、ビデオを見たりしながらいくらでもゴロゴロしていてね。

それに何もしていなくても、あまり退屈はしないと思います。それは・・・
窓の外には、たくさんの小鳥たちがやってくる給餌場があるから。(
その2を見てね!)

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