えんべ新聞のコラム転載します



8/22-8/26「動物図鑑(ウゴクモノズカン)」(ヒダマリオネット)@シアタートラム
 ★★★★ 糸吊り人形ではあるが「糸あやつり」ではなく「マリオネット」。
      操演者も舞台に登場するが、原則として台詞は無い。それなのに結
      城座のように生命力に満ち溢れたキャラクターが舞台上で動きまわ
      り、その鼓動と息吹が客席に伝わってくる。とてもアーティスティ
      クであるのに、プリミティブでシンプルでクリアーな舞台であり、
      しかもその上イマジネーションが豊饒で拝見していてカタルシスを
      おぼえてしまった。 (秋拓)



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夏の公演「動物ウゴクモノ図鑑」のレビューを2件みつけました。ちょっとながいですが転載します。

観劇日時:2002年8月26日(月)12:00 シアタートラム

 とても素敵な作品でした。
 二部構成の第一部は「動物図鑑(ウゴクモノズカン)」。小作品6部構成で、モノの変化、動きの楽しさを、そのこと自体を楽しんでいる3人の繰演者ごと絵にして客席まで届けていました。一番印象に残ったのは積木で、無造作に積んである積木3個が一瞬のうちに糸の張り具合でしょうか、子犬になったり馬になったりして駆け回る作品です。その無心に人形を楽しむ心は、ヒダ氏が長年造形プランナーを務めたNHK「できるかな」での発想の凝縮形のように感じました。

 第二部「パラダイス」は抽象的でちょっと難解。というより例えば、彫刻や彫塑を創る芸術家がその作品を“展示”という形で提示すると同じように、ヒダ氏の作品は動くことによって(動かすことによって)完結する作品なのだということを強く感じました。チラシのコメントにも「造形作家ヒダオサムが作り上げたヒダマリオネットは、人形を演じさせる人形劇ではなく、・・・」とあるように、そのことは明らかではありますが、表現形態はダンスのパフォーマンスに似ています。磨き抜かれた鉄で出来てる人間マリオネットが、その重みで、自分の居場所のガラス盤を砕いてしまったり(自己存在の否定?)、巨大な磨き抜かれた鉄の蛇が、水盤から眼を光らせながら現れたり、寸断された蛇の頭から小さな人間マリオネットが現れたり、おもわず息を止めて凝視する舞台(作品)です。そして強く感じるのは、マリオネットの自由と不自由。それは奇しくも人間の自由と不自由を暗示するかのように。そして分裂(破壊)と再構築。それは人間も歴史のパーツ? 宇宙のパーツ? パーツの再構築? 歴史の再生? というような連想をしてしまいました。この11の場面からなる「パラダイス」という作品の構成自体が、各パーツを糸を操作することにより総合的に統合して表現するマリオネットという本質なのではと感じられました。
 セリフのないこの作品には、音楽の要素も重要です。人形の表現を効果的に増幅する音楽は、心地よい選曲(第一部)と作曲(第二部)でした。
 プログラムによると、今回の公演は「愛」と、それに裏打ちされた「いのち」とのことです。
                                (M.K)

月の光 E-mail:hhcc@SKYLINE.nissan.ne.jp
〜いたずらなパペット〜
NHKハイビジョン「公園通りで会いましょう」11月21日のゲスト ヒダ
オサムさんの操るマリオネットは印象的だった。初めて目にしたせいもあって、
気がついたら子供のように夢中になってテレビに釘付けになっていた。
「アルルカン」(大地のうた)と共に登場した犬はけんだまの胴体とひもだけ
で作られたシンプルなもの。でも愛嬌たっぷりでまるで生きているようだ。
ヒダさんの手に掛かるとスカーフでさえマリオネットになってしまう。
ピンクのスカーフがふっと動き出すと生命を持ちはじめる。雲のように、鳥の
ように飛んでいたかと思うとふと人間のような形になる。ブルーのスカーフと
愛を語り始める。しばらくするとただのスカーフにもどる。熊みたいに大きい
体のヒダさんが言う。「ただの物に命が宿る瞬間が一番面白いですね。
そして命は愛に裏打ちされて初めて慈しまれるものだと思います。見ている
お客さん一人一人の命と共振していくんです。」ビートルズ作「LOVE」の
演奏に合わせて目の大きい女の子の人形が出てくる。暗闇の中でリアルな
女の子の人形の周りに奇怪な生き物とも人間とも区別のつかないひもだけの
人形が表われて踊りまわる。まるで夢の中の一シーンのようだ。西村さんは
それを見ながら感じるままに即興の曲を発展させていく。サティのような、
ドビュッシーのような少し妖しげで哀しい音楽が心の奥底の世界へ更に私達
を誘(いざな)っていく。「あやつり人形って楽しいものかと思っていたら
きゅんと切なくなるものなんですね。」と言う西村さんに「西村さんと共演
できるなんて夢のようです。」と語るヒダさん。ぼうっとしながら床についた
ら本当に夢の中にそのシーンが出てきた。人形のいたずらかな。はまって
しまったと思いながら考えた。子供や小さい動物を見ている時のあの元気を
もらえるような幸福感ってなんだろう。それは単純さや純粋さの中にこそ真実
や強い生命力があるからではないか。実は芸術が目指している到達点はその
すぐ近くにあるのではないか。西村由紀江物語は新しい章に入り、次々に現れ
る登場人物と共に更にわくわくするような展開を見せてくれるのかもしれない。
読者としては真剣に読んで、一つ一つ答えを探していきたいと思った。
ところで西村さんはヒダさん作マリオネットのケムシくんを愛用している
そうだ。毛皮の切れ端に目を付けただけ、でもリアルな可愛い動きをする。
私もケムシくんが欲しい!

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