栄光のマイトガイ・旭 LAST UP DATE 2002.2.3

  

■人生のプロローグ
子供の頃から夢に描いていた映画への憧れ、そんな映画少年だった私をスクリーンの遥か彼方から、大人の世界に導いてくれた日活映画、子供心にもどこか遠くに行って見たい好奇心、そんな時「渡り鳥シリーズ」は全国各地の景勝地を案内してくれました。民謡調崩しの替え歌も流れ、人間同士の触れあいとか、あの頃の映画を観て少しずつ大人になって行った様な気がします。長い人生のスタートラインをあの当時の映画を通じて、多少なりとも教えて貰った感じです。そんな、大好きな「渡り鳥シリーズ」に愛をこめて、アキラ・渡り鳥ファンのみなさんに、このページを捧げます。【2002.2.3】
 

  渡り鳥シリーズ・コレクション/PART U 赤い夕陽のロケ地を訪ねて UP しました。 
   渡り鳥シリーズの原点となる、北海道函館市内


■渡り鳥の誕生

日活は小林旭を何としてでも、裕次郎に次ぐスターとして売り出そうと構想を練っていた。当初は<日活三悪>などと呼ばれ「嵐を呼ぶ友情」1959年(昭和34年)のお正月映画用として売り出された。この映画はスター作りの名手、井上梅次監督が撮ったが、作品は興行的には今一だった。それでも、当時の日活撮影所にはアキラのような生きのいい若手の俳優がいなかっので、企画は進行していった。次いで、舛田利雄監督で撮った「女を忘れろ」は浅丘ルリ子との共演でメロドラマ的要素とアキラの唄も加わり、無国籍映画以前のアキラの佳作と評価される事になる。以降、井上梅次、松尾昭典、阿部豊、蔵原惟繕、らの監督により作品は撮られたが、興行的にはどの作品も期待通りの大ヒットには至らなかった。
その年1959年に日活の茂木プロデューサーはペギー葉山が歌う「南国土佐を後にして」の映画化を企画し、その歌の歌謡映画を撮ることになった。原作は〔ダイスの眼〕、監督は叙情派の斎藤武市、主演はこのところ演技も充実してきた小林旭、当初、この映画は一連の歌謡SP映画(上映時間の短い添え物作品)として、日活首脳陣もあまり期待しない作品だった。その為、この映画はノンビリと時間をかけ撮影されていたが、ペギー葉山が歌う「南国土佐を・・・」の歌が売れ始め予定が狂った。一転、上層部は方針を変えた。カラー映画でロケ地を四国の高知に決定し、映画のタイトルも「南国土佐を後にして」と変え、地方のお盆用映画に間に合わせるよう指示してきた。短期間で撮りあげるこうした悪条件の最中でロケは敢行された。この映画は日活首脳陣の期待に見事に応え大ヒットを記録した。これは、後の渡り鳥や流れ者シリーズの映画の原型となった。アキラは一躍日活のドル箱スターとなった。
この「南国土佐を後にして」の大ヒットにより、日活首脳陣は「地方を舞台とした」「歌の入った」「アクションシーンを随所に見せる」、3つの要素を取り入れた映画化を企画した。その第1作が「ギターを持った渡り鳥」だ。松竹から移籍した文芸物を得意とする斎藤武市監督の構想によると、今度の新しい作品は一転し、異国情緒を取り入れ抜群の運動神経を持つアキラのアクションシーンを多く取り入れ、前作とは異なる映画に仕立てたかった。だが、一定枠以外の予算の追加はアキラ映画には無理だった。たとえ「南国土佐を…」が大ヒットしても、若いアキラ映画は次回も必ず当たる保障は何一つなかった。この為、低予算の企画に斎藤監督は頭を悩ませた。アキラは世間にはそれ程、大スターとしては、まだ認知されておらず、ロケ地の選定も難航した。そんな中でロケ地は日本的な叙情感溢れる港町として函館に決定した。予算の関係で18日間の短期間でロケを敢行して「ギター…」は完成した。主演のアキラに脇役の宍戸錠を配した名コンビが受けこの映画も大ヒットした。これにより、渡り鳥シリーズはこの後2年余の間、人気シリーズとして公開される事になる。


二本柳寛さんと旭「ギターを持った渡り鳥」      函館山の山頂で、旭とルリ子の初デート       旭と錠の一騎打ち「口笛が流れる港町」              慕情の二人「赤い夕陽の渡り鳥」
 
■歌う渡り鳥

アキラのシリーズ物が当った要因には、一つアキラ節にあった。渡り鳥シリーズでアキラが歌う
主題歌や挿入歌は、コロンビアレコードの馬渕玄三氏が担当した。高音と低音の魅力それぞれ
がアキラには備わっていた。高音をやや押さえ哀愁をおびた「ギターを持った渡り鳥」や「さすら
い」、高音が炸裂する一連の「アキラのダンチョネ節」「アキラのズンドコ節」「アキラのツーレロ
節」、これらは「アキラの民謡節」とも言われている。


 
■「ギターを持った渡り鳥」の手厳しい評価

順調に船出した渡り鳥シリーズのように見えますが、実際の公開時には批評は厳しかった。当時の映画評論家「山本恭子氏」の批評を見ると
「ギター弾きのアンちゃんを描いたこの映画は、これまでにさんざん使い古された股旅物や西部劇の手法のあちらこちらを、少しずつ拝借に及んでつなぎ合わせたもので、どこといって新味はない。小林旭の元刑事という役どころは、何といっても
ミス・キャストだが、この男の性格はアイマイモコとしてとりとめなく、市警時代にやくざの一味を追跡中その一人を射殺したため市警をクビになつたという話もおかしなことである。その刑事がイキなアンちゃんのギターの流しになるに及んでは、お話はいささか荒とう無稽、殴り合いだけを見せるにしても、もう少し納得のゆく話の組み立てかたがありそうなもの。斎藤武市監督の演出も凡調である。」・・・一部省略 【キネマ旬報十一月下旬号1959】から
いヤ・・・読んで字の如く・・・小林 旭をアンちゃん呼ばわりする当時の映画評論家は誠に手厳しく・・・怖いお婆ちゃんですネ 


青空の下にそびえる駒ケ岳。そのふもとの荒野にギターを背に
荷馬車に乗ってたどり着く滝伸次、まるで西部劇かと思わせる
オープニングは、50年代の北海道の青空がとても眩しく写る。
【第1作は北海道函館】

■渡り鳥シリーズの作品集

シリーズと製作年月 作品名 スタッフ/キャスト/その他寸評
シリーズ第1作
1959.10.11
ギターを持った渡り鳥
監督/斎藤武市 原作/小川 英 脚本/山崎 巌・原健三郎 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、宍戸 錠、渡辺美佐子、中原早苗、金子信雄、白木マリ
主題歌/ギターを持った渡り鳥(小林 旭) カラー77分 
函館にギターを抱えた渡り鳥が流れて来る、土地の親分を得意の鉄拳で打ちのめす。シリーズの骨格をなす大ヒット作品となる。
シリーズ第2作1960.1.3 口笛が流れる港町 監督/斎藤武市 原作/山崎巌 脚本/松浦健郎 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、宍戸 錠、渡辺美佐子、山内 明、近藤 宏、白木マリ
主題歌/口笛が流れる港町(小林 旭) カラー84分
宮崎えびの高原を舞台に、題名の港町には程遠い、映画の内容も前作より飛躍し、監督の描く理想とはかけ離れた西部劇スタイル
シリーズ第3作
1960.5.23
渡り鳥いつまた帰る 監督/斎藤武市 原作/原 健三郎 脚本/山崎 巌 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、宍戸 錠、南田洋子、金子信雄、内田良平、高品 格、楠 侑子
主題歌/ギターを持った渡り鳥・おけさ数え唄(小林 旭他) カラー79分
死んだ恋人の故郷、佐渡に流れて来た“渡り鳥”滝伸次は、戦時中に日本軍が隠匿した貴金属を廻り事件に巻き込まれる。
シリーズ第4作
1960.6.29
赤い夕陽の渡り鳥 監督/斎藤武市 原作/原 健三郎 脚本/山崎 巌・大川久男 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、宍戸 錠、白木マリ、大坂志郎、近藤 宏、深江章喜、楠 侑子
主題歌/ギターを持った渡り鳥・アキラの会津磐梯山(小林 旭) カラー79分
会津磐梯山の麓に現れた滝伸次は、高速道路を廻りその土地の牧場の娘を助け、乗っ取りを図る悪徳ボスを叩きつぶす。
シリーズ第5作
1960.10.12
大草原の渡り鳥 監督/斎藤武市 原作/原 健三郎 脚本/山崎 巌 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎、 
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、宍戸 錠、白木マリ、南田洋子、金子信雄、垂水悟郎
主題歌/ギターを持った渡り鳥・アキラのソーラン節(小林 旭) カラー83分
北海道摩周湖周辺の広大な自然を舞台に、アイヌ部落と観光利用を企む悪玉ボスの対決、シリーズ最高傑作として評価の高い作品
シリーズ第6作
1961.1.3
波濤を越える渡り鳥 監督/斎藤武市 原作/原 健三郎 脚本/山崎 巌 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、宍戸 錠、白木マリ、金子信雄、小高雄二、藤村有弘、清水将夫
主題歌/ギターを持った渡り鳥・アキラのブンガワンソロ(小林 旭) カラー79分
人気絶頂の渡り鳥シリーズは、東南アジア・タイ 香港に大ロケーションを敢行、内容的には同シリーズの魅力が薄れた凡作。
シリーズ第7作
1961.4.29
大海原を行く渡り鳥 監督/斎藤武市 原作/三原貞修 脚本/山崎 巌 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、藤村有弘、白木マリ、楠 侑子、芦田伸介、垂水悟郎
主題歌/ギターを持った渡り鳥・五ッ木の子守唄(小林 旭) カラー79分
九州雲仙高原に現れた滝伸次、観光事業にからむ悪党一味を滅ぼす、錠の穴を藤村有弘が得意の無国籍語を駆使して怪演する。
シリーズ第8作
1962.1.3
北帰行より
渡り鳥北へ帰る
監督/斎藤武市 原作/山野良夫 脚本/山崎 巌 撮影/高村倉太郎 音楽/小杉太一郎
主演/小林 旭、浅丘ルリ子、郷 ^治、小園蓉子、白木マリ、近藤 宏、内田良平
主題歌/北帰行・ダンチョネ節・さすらい・ギターを持った渡り鳥(小林 旭) カラー79分
渡り鳥シリーズ事実上の最終作、哀愁の叙情演歌が函館の町に流れ、往年のライバル錠さんの実弟郷^治が刑事役で共演。

                       
■名調子

◆函館の港で寂しくギターを弾く渡り鳥の滝伸次は、死んだ恋人を想い続ける孤独な男。「思い出すってのは忘れているからだろう。俺は忘れたこともない。だから思い出すこともないのさ」
◆「ゆきチャン、あの方きっと帰ってくるワ」(中原早苗)、   「二度とこないワ」(浅丘)、   「なぜ」(中原)、     「わかるの、あの人のことは何でも分かるの」(浅丘)

■渡り鳥の主題歌
 
「ギターを持った渡り鳥」 唄/小林 旭
 西沢 爽/作詩  狛林正一/作曲・編曲 (演奏時間3分43秒) 発売元・日本コロンビア株式会社      

1. 赤い夕陽よ 燃えおちて 海を流れて どこへゆく ギターかかえて あてもなく 夜にまぎれて 消えてゆく 俺と似てるよ・・・ 赤い夕陽
2. 汐の匂いの する町が どこも俺には ふるさとさ ひとりぼっちの さみしさも ギターお前を つま弾けば 指にからむよ・・・ 汐の匂い
3. 別れ波止場の 止り木の 夢よさよなら 渡り鳥 俺もあの娘も 若いから 胸の涙も すぐかわく 風がそよぐよ・・・ 別れ波止場 

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一人のファンとしての立場で、懐かしい思いを込め敬称は略させていただいておりますので、関係者の皆様には大変失礼かと存じますがご了承願います