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― ご祝儀(チップ)について ―
引越作業員にご祝儀(チップ)、または心づけは必要かといった質問は最も多くいただく質問のひとつです。結論から
言ってしまえば、必要ない、と言いたいところですが、実はご祝儀には引越しをスムーズに進めるための見逃せない
意外な効果もあるのです。
私ももともと引越作業員ですから、ご祝儀はいただくととても嬉しいものです。自分の仕事が認められたと感じる瞬間
でもありました。何より引越作業員も人の子です。もらって嬉しくない者はいません。しかし会社の経営側としては
必要ありません、と言わざるをえません。ここが難しいところです。
ご祝儀が必要か必要でないかを別として、引越作業員にご祝儀を渡すと変化するものがあるのです。まず引越作業員の
お客さんに対する言葉遣い、荷扱いが格段に向上します。何より引越作業員の笑顔が増えることは間違いありません。
これは自分が引越作業員であったらどうかを想像すると考えやすいかと思います。
引越しというのは数ある運送業種の中でも、最も過酷な重労働のひとつです。真夏には一日に何リットルという水分補給
が必要なほど、また真冬でも汗だくになりながらの作業となります。作業の合間に飲むジュース代ぐらいはもらっても
バチが当たらないのではないか、というのが私の考えです。もちろんご祝儀が必要か必要でないかは別としてです。
金額の大小といったものも関係ありません。お金でなくても、ジュースの差し入れやお弁当でも一緒です。自分たちに良くしてくれる
人にはこちらも精一杯お返ししようという、頑張り度のようなものが違ってきます。引越作業員としてというより、人間
としての心理的な作用の変化といえばいいでしょうか。
現場の引越作業員からしてみれば、ご祝儀なんぞ出なくて当たり前、出ればラッキー、ぐらいにしか思っていません。
上述したような心理的な効果はあるにせよ、ご祝儀が出ないからといって作業自体がいい加減になるということはありません。
よりスムーズになる可能性があるということです。悩むようであれば、出す必要はないでしょう。もし、本当によくやってくれたと
思えたのであれば、最後に渡すのもいいでしょう。
とかく低料金での引越しが好まれる時勢であるようなので、ご祝儀など出したら合わないと考えられる方も多いのでは
ないかと思います。しかしご自分の大切な家財を文句も言わず、仕事とはいえ一生懸命運ぶ作業員の姿を見て何かを
感じる方もまた、多いのではないかと思います。「ありがとう。」という言葉では足りない部分を補えるのがご祝儀
でしょうか。慣習としてのご祝儀とは、現在では意味合いが少し変化してきているような気がします。
あくまで参考としてですが、私の現役時代には平均すると2〜3件に1件くらいの割合でご祝儀をいただいておりました。
年配の方の引越しでご祝儀をいただくことが多かったように思います。金額についてはひとり500〜3,000円程度が
平均でした。またタクシー料金のお釣りと同じように、引越料金を精算する際に「お釣りはみなさんで・・・。」といった形でのご祝儀も結構
ありました。
もし最初からご祝儀を出す予定があるのなら、作業開始前に引越作業員ひとりひとりに手渡すことをおすすめします。
そうすることで引越作業員に「ちゃんとやらなきゃ。」という意識を再認識させることができるのです。
結局のところ、私にはご祝儀が必要か必要でないかを断言することはできません。個人の考え方でいいのではないかと
思います。最近では引越作業員がそういったものを受け取ることを一切禁止している引越業者もあるようです。
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