●VOCA展
●2002.3.25
●上野の森美術館
★★★★☆
| 新人の登竜門とされる本展も今年で9回目。昨年、本展の活動によって支援企業(第一生命)が「メセナ大賞」を受賞したことから、注目度もより増しているようである。今回もそれにふさわしく、内容が濃い、収穫の多い展覧会となっていた。同じような位置付けの展覧会を京都、大阪でも見たが、本展が一番充実していると感じた(京都での展覧会で4つ星をつけたため、それを上回るために4.5となり、かなり高い星の評価となってしまった)。 全体的な傾向としては、抽象画が多かったことが挙げられる。会場は、ほんの数点を除いては、ほとんど抽象作品で埋め尽くされていた。それも、美術史に“ちゃんとのっとって”、表現主義的な作品(感情や感性を重視し、その表出によって美を描こうとする考え方)と、構成主義的な作品(美を生み出す原理を理性で分析し抽出しようとする考え方)の2つの流れが見られた。20世紀美術を貫いたこの2大潮流は、少なくとも見かけの上では21世紀の日本ではまだ息づいているようである。 ただし、表現主義的な作品にせよ、構成主義的な作品にせよ、美術史上のそれらとは決定的に異なっているところがある。かつては、作品は美学的なテーマの追究のためにつくられたのに対し、いまは作家個人の閉じた感覚世界の表出のためにつくられているのである。これは、現在のさまざまなアートシーンで実によく目にする傾向である。そのため、これまでは現代美術でさえ、他者との相互作用が存在し、それによって何らかの文脈の上に展開されていたのが、いまやアートは過去や周囲とは関係なく生み出されるようになってしまった。本展もまた、如実にそうしたいまどきの“自閉的なプライベートアート”の姿を示していた。総じてはよい印象を抱きつつも、どこか小さくまとまりがちな印象も同時に覚えたのは、まさにその点に原因があると思う。 もう一つ気づいたのは、“ピンボケ系”とでも呼ぶべき作品が目についたこと。対象を明瞭に描くのではなく、わざとアウトフォーカスすなわちピンボケにして描いてある作品が何点かあった。ピンボケの結果、全体がもうろうとした雰囲気に包まれ、あるときは癒し的ムードを、またあるときは浮遊感覚を感じさせる効果を出していた。これまた、最近よく見る“流行”である。おそらくCGの発達と無関係ではない気がする。 (各論は後日アップします) |