● 京都精華大学卒業・修了制作展
● 2.18〜2.22
● 京都市美術館

★★☆

こういう言い方は失礼かもしれないが、思ったより悪くはなかった。と、そんなことをいうのも、精華大学のある教官と話をする機会があり、「今年の卒業展はどうですか?」と聞いたところ、「あきません。年々ひどくなっていきます。今年なんかもうむちゃくちゃです」とおっしゃっていたからだ。


ただ、思ったより悪くはなかったが、よかったともいい難い。全体的には、「まあまあ」レベルの作品がほとんどで、そのなかに、ポツ、ポツと、「いいな」と「どうしようもないな」が混じっているという感じ。ちょうど、今年の「京都府美術工芸新鋭選抜展」の印象と似ている(平均値はこちらのほうがかなり低いが)。


選抜展に触れたところで、気になったことを。それは、昨年度以前の選抜展に出品されていた作品の亜流と目されるものがチラホラ見られた点。名和晃平ふう、児島サコふう、伊藤存ふう、大西伸明ふう……明らかに彼らの作品を見て、パクッている。京都の芸術系大学の学生だから、選抜展を見に行った可能性は高い。もちろん、勉強のため、見聞を広げるためになら大賛成だが、パクリはいただけない。


そのほかの作家からのパクリも少なくない。舟越桂ふう、草間弥生ふう、河原温ふう……。「ふう」を探せばいくらでも出てきた。そのように、「本展の特徴は?」と聞かれたら、ほかにもまして、「○○ふう」が多かったと指摘できそうなくらいである。結局、あまり自分の作品について煮詰めて考えていないのであろう。そうしたなかでも光っていたのは、以下の品々だった。


● 田畑佳苗 「間」 ★★★☆

洋画。マーク・ロスコもしくはイヴ・クライン系の絵。鮮やかな赤一面の絵だが、微妙に赤に濃淡があり、うっすらと模様がついている。ロスコやクライン作品に既視感があったが、それでもそれなりに引きつけられるものがあった。


● 川崎典子 「Untitled――Violet Gray」 ★★★★

洋画。これは面白かった。また美しかった。題名通り、紫グレー基調の大きな絵(2m四方ぐらい)で、画面一面に無数の細かい模様がついている。いったい何かと近づいて見ると、爪切りで切った爪のようなかたちで、絵の具をカンバスに小さくこすりつけているのである。それがおびただしい数で並んでいて、全体としての模様をつくっている。ほかに類を見ない作風で、なおかつきれいなのを評価したい。「無題」というのはやめたい。


● 舞田恵子 「Division――分断」 ★★★★☆

建築。JR徳山駅を中心とした市街地の開発プランの提示である。何よりも徳山駅のデザインがすばらしい。真っ白な網目状の、ネットを張ったような駅舎で、優雅で美しい。しかも、そのかたちには必然性があるというのである。作者(徳山出身か?)によると、徳山の街はJRを境に南北に分断されているそうである。そこで、北部と南部をつなぐかたちの駅舎をつくり、歩くとさまざまな角度で視線が南北に交錯するようにし、ひいては街の人的交流にも変化を与え、活性化を促したい――というプランである。パースのつくりがやや雑だったのが残念。


● 二階武宏 「Tandem」 ★★★★

版画。とても細かい作品。タンデムの自転車に乗る人物を横から見たところを、洒脱でウィットが効いたスタイルでデザイン化してある。モンキーパンチの画風をもっと緻密にし、幾何学的にしたものとでもいえばいいだろうか。時計のムーヴメントを思わす絵柄でもある。細かい描写を律儀とも称すべき正確な作業で仕上げてあった。

 


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