● 山本太郎 両A面展・動食彩絵
● 2003.4.13
● 立体ギャラリー射手座

★★★☆

 

山本太郎氏の2週間にわたる個展「両A面展」の第2部。こちらでは新作が紹介されていた。大作は二つ。一つは若冲の、いま一つは俵屋宗達の絵をベースに、作者独自のアレンジが施してあった。


“若冲もじり”のほうは、5、6羽の鶏が居並ぶ端にカーネル・サンダースが立ち、1羽抱きかかえている図。鶏たちは、わが身の運命を問うかのようにカーネル・サンダースを見ている。“宗達もじり”は、大きな牛が画面中央に鎮座する回りをドナルドをはじめとしたマクドナルドのキャラクターたちが楽しそうにしている図である。いずれも、まさに「動食」彩絵で、第1部「火鳥風月」よりもブラックなユーモアである。


そのほか、コカコーラの缶から琳派ふうの川が流れ出す絵柄や、日の丸の真ん中がマクドナルドのロゴになった絵柄の扇子もあった。どれも作者のウィットが効いていて小気味よい。このウィットとアイロニーこそが、山本作品の最大の“武器”である。提示されるウィットなりアイロニーには、ベースに現代社会を確実にとらえている目があるので、絵を単なる“おもしろ系”に終わらせない力を与えている。見る者は、作品の意味をさまざまに考えることができる楽しみがある。

ちょっと見難くなってしまったが、
日の丸のなかにマクドナルドマークが描かれている。
それだけで、意味合いが全然違ってくる

となると、私には、山本氏の作品は、そのウィットやアイロニーが、より鮮烈なかたちで観客に伝わるほうがよいと思える。それからすると、“もじり”の題材となる絵は多くの人が知っている有名な作品のほうがよいだろうし、特定の作品を基礎にしないのであれば、人口に膾炙したマークなどをひねるといった方向性が考えられよう。ポートフォリオのなかにあった、日の丸がコカコーラのマークになった作品や今回の扇子のようなものである。


あえて注文をつけるとすれば、「火鳥風月」で書いたことと同じで、アーティスティックな面の完成度である。今回は制作時間が足りなかったとのことなので仕方がなかったのかもしれないが、カーネル・サンダースの描かれ方などに物足りなさが残る。単純に絵としてのよさも兼ね備えながらも、刺激や面白さ、あるいは毒が失われないように進化していけば、もう一回りクオリティアップするのではないかという気がする。