長塚秀人新作展
レントゲンヴェルケ

7.9〜8.9

★★★☆

 

ちょっと不思議なカラー写真作品。渓谷や高原、サバンナなどの風景写真だが、中景のごくわずかな範囲しかピントが合っていないので、前景も後景もボヤけ、視印象がまるでジオラマみたいな感じになっているのだ。ダム湖の作品など、最初は模型を撮影したのではないかと本気で思ったほどである(本展の作品を見て、写真のごく限られた部分だけをフォーカスすると被写体の現実感が失われることを改めて認識した)。


そのように長塚氏の作品は、現実を写し取っているにもかかわらず、非現実的なイメージが醸し出されている。また、その効果を高めるため、もし写っていれば一発で現実だとわかるようなものは何一つ写っておらず、撮影地のロケもかなり入念に行なわれたものと思われる。


そうした面白味はそれなりに感じるのだが、では、それが何なのだとなると、いま一つ見えてこない。ビジュアル面で引っかかるものはあるのだけれど、これらの作品で何を問おうとしているかとなると、鑑賞者へ問いかけてくるものは希薄といわざるをえない。「人間の視覚を改めて問う」とかいったことでは、漠然としているだろう。あるいは、とくにテーマやメッセージ的なものはなく(そういう作品が昨今多すぎるのだが)、ひたすらビジュアル面だけで訴求するつもりなのだとしたら、作品の力は物足りない。


技術やセンスにはすぐれたものが感じられるだけに、もう少し作品制作にあたって爪を立ててもらいたい、と惜しい気がした。

(7/9)