| モネの『印象・日の出』がある美術館として知られるマルモッタン美術館。本展は、そのコレクションを紹介するもの。とはいうものの、『印象・日の出』はきていない。また、展示の中心はモネではなく、ベルト・モリゾという女流画家。なので、何となく、モネ中心とか、『印象・日の出』的イメージをもって出かけたら裏切られることになる。主催者側の宣伝文句には、モネや『印象・日の出』を巧みに交えてあるので、期待したものとは違ったという感想を抱いた人もけっこういるかもしれない。
本展は読売テレビ開局の45周年記念イベントという位置づけ(京都展)。テレビや新聞でもPRされているためか、会場はかなりの混雑で、やっぱり印象派は人気があるなぁと再認識。客層も老若男女を問わず、まんべんなくきているよう。出品されていた画家は、上記2人のほか、ウジェーヌ・ブーダン、ヨハン・ヨンキント、ギュスターヴ・カイユボット、オーギュスト・ルノワールら。中核は、前述通り、モリゾで、「ベルト・モリゾとその時代展」と題したほうが内容にそっている感じ。そして、モリゾの脇をモネが固めるといった趣だ。
展示内容は、○にモとしたデザインで大々的な宣伝が展開されているわりには平凡だった。これといった目玉になる作品が見当たらなかったのが印象を弱くしている。それこそたとえば、『印象・日の出』がきていたら、展覧会の厚みはグッと増したことだろう。総点数80点も特筆するほどではないし、さらに未完成の作品や習作とおぼしきデッサンなどもかなり含まれていたので、なおさら物足りなかった。出口にきて、「あれ、もう終わりなの?」と感じたのは、きっと私だけではないだろう。
モリゾの女性ならではの家庭的な印象派と出合うことはできるものの、正直なところ、是が非でも見ておきたい展覧会とは思わない。入場料1300円が高いか安いかは、人によって意見が異なるだろうが、もし、モネが大好きで『睡蓮』の連作が見られるだけで満足という人だったら、十分楽しめるのは請け合える(『睡蓮』は5点出品されている)。
● ウジェーヌ・カリエール 『帽子をもつ女』 ★★★★
私にとっては必ずしも見応えがあったとはいえない本展のなかで、異彩を放っていたのがこれ。いわゆる印象派の絵が並ぶなか、まったく異質の絵柄を見せていた。灰茶色とでもいうような色調のモノトーンで、ほとんど画面全体が暗く塗られているなか、ぼうっと水面に浮かんでいるかのようなに母と子の白い顔だけが浮かび、母が帽子らしきものをもっているらしい様子である。らしいを連発したのは、全体に画面が不明瞭だからで、まるで幽霊の母子みたいに寂寞とした印象。ひどく寒々しいのである。隣にいたおじさんが「気味の悪い絵やなぁ」とつぶやいていたのも納得できる。
しかし、それが妙に引っかかった。子どももよく見れば笑っているのだが、ムードがムードなので、悲しい境遇を自嘲的に笑っているかのようにも見える。母と子という愛くるしいはずのシチュエーションでありながら、人の世の悲喜劇を考えさられてしまいそうなアンビバレントな心理構図に魅力を感じた。
(4/24)
(巡回展)
仙台展:6月1日〜7月19日 宮城県美術館
名古屋展:7月31日〜9月5日 松坂屋美術館
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