●インキュベーション02──私の居場所
●2002.9.14
●京都芸術センター

★★★☆

インキュベーション展は、京都芸術センターが若手の支援を目的として開いている展覧会で、今年で3回目。インキュベーションとは「孵化」や「抱卵」の意味。今回は、日本画で活躍する7名をピックアップしての展覧会となっている。参加者は、青木秀明、内山知子、太田利花、河本万里子、黒岩知里、小島徳朗、高田 学の諸氏。


7名のうちには、まだ学校に在籍中の人もいるなど、必ずしも評価の定まっていない作家も含まれていたようだが、どの作家の作品も失望するものはなかった。それぞれ、すでに自分の作風を築いているように見えたし、すぐにでもプロとして十分活躍していけるだけの力を備えていると感じた。


しかしその一方、傑出したものを感じさせる作品もなかったように思う。それなりに仕上がっているけれど、図抜けているとまではいっていないといったところか。それは、どうしてかと考えれば、どうも作家の“世界”が狭いことに起因するような気がする。他の作家や他の時代の作品世界に対する見聞をもっと広げれば、“どこかで見たような作品”にはならないのではないだろうか。


● 小島徳朗(☆☆☆☆)

7人のうち、もっとも惹かれたのが小島氏の『ねじれ──連鎖』。ベージュ基調の大型の作品で、ピラミッドの壁画のようにも思える記号のような絵だ。うずくまって膝をかかえる人と、二人で並んで椅子に腰掛けるペアの図案が画中に繰り返し現われる。何か、孤独なうっくつした心理が伝わってくる。作家は、「作品を造る上で自分には様々な抑圧が必要」と説明パンフの中で語る。たしかに、どこかストイックな印象もある。タイトルを見ても、何を伝えようとしているのかはもう一つよくわからないが、少なくとも何かを伝えようとしていることはわかる。すごく考えて描いている人ではないだろうか。私小説のような作品だと感じた。