ニューヨーク・グッゲンハイム美術館展
Bunkamura ザ・ミュージアム

7.17〜10.24

★★★★
 

 

当初は10月11日までの予定だったが、24日まで会期延長となった本展。「好評につき」なのか、それともほかの理由なのかはわからないが、美術展の開催期間が延ばされるとは、きわめて珍しいことではある。


展覧会の副題が「モダン・アートの展開――ルノワールからウォーホルまで」となっている通り、現代美術が黎明期からどのように広がりを見せていったかを、グッゲンハイム美術館のコレクションによって回顧する内容となっていた。作品点数は79点で、ちょうど、先ごろ森美術館で実施された「MoMA展」を小ぶりにしたような印象である。


展示のしかたは基本的に時系列。ルノワールやアンリ・ルソー、ゴッホ、セザンヌなど、まだ伝統的な絵画のあり方を色濃く残しているものから始まり、続いてスーラ、ピカソ、ピカビア、クプカなど新しい絵画の地平を切り拓いた作品群が紹介される。さらにモンドリアン、エルンスト、カンディンスキーと抽象への道が提示され、その後、ダリ、マグリット、キリコといったシュールレアリズムへ。そして、いよいよポロック、ロスコからラウシェンバーグ、リクテンシュタイン(本展では「リキテンシュタイン」ではなく、こう表記されていた)、ウォーホルといった、いわゆるモダンアートの旗手たちの作品で締められる、といった構成だった。


こうして内容を紹介しただけで、現代美術の流れを通覧できるものとなっていたことがわかるだろう。会場の奥へと歩を進めていくにつれ、絵画表現が幅広くなっていく様子がリアルに伝わってくる。色彩からの解放、形態からの解放、素材からの解放……今日にいたるまで、薄皮を1枚ずつはぐように、絵画芸術が次第に制約を振り払い、自由になっていったプロセスが、理論だけではなく、実作を通して見えてくる。現代を生きる私たちは、こうした先人たちの試行錯誤の努力によってたどりついた地点で、多様な絵画を鑑賞することができて、大変幸福なのだと改めて感じた。


というわけで、ワタシ的には、それなりの満足感を得られた展覧会だったが、ほかの人の感想を聞くと、人によってかなりの違いがあった。毀誉褒貶とまでいってはいいすぎかもしれないが、不満足に終わる人もいた。どうやら、リリース等でグッゲンハイムのコレクションの特徴が「非具象」と強調されていたため、イメージと違う印象となったようである。前宣伝も、むずかしいものである。

(10/14)