| ★★★は厳しいと思われるかもしれない。クールベファンには怒られるかもしれない。実はクールベは、個人的にそれほど好きというわけではないので、こんなところに落ち着いてしまった。
人物画、狩猟画(?)、風景画など、けっこうな点数が展示してあった。よく知られる通り、クールベはレアリスムの先駆者である。それまでの古典主義では、神話の世界やキリスト教が説く天国や地獄などが絵画の題材にされてきた。しかし、クールベはそうした一種の空想の世界を描くことに欺瞞を見出し、現実に存在するもの、目に見えるものだけを描くと主張した。いわゆる、絵画史上初めてなされたレアリスム宣言である。
とはいえ、描法上は多くの先輩から影響を受けているようだ。明暗を強調した描き方はカラヴァッジオ以来のものを見出せるし、レンブラントの作品なんかとも通じるものがある。肖像画にはベラスケス的な要素も。つまり、題材は伝統を否定したものの、描き方はかなり忠実に伝統にのっとっているということになる。
さまざまな種類の中でも、いいなと思ったのは狩猟の絵。とくに、ひろしま美術館がもっている『雪の中の鹿のたたかい』。雪の粗いタッチはベラスケスの筆を思い出させる。自然の中で厳しい営みを繰り広げる鹿たちの姿を客観的に描いているところもいい。
もう一つひかれたのは“波シリーズ”。波だけを描いたものが4、5点あった。中でも、愛媛県美術館の『波』と島根県立美術館の『波』は、波の様子から岩まで、ほとんど同じ。コピー作品のようだ。でもよく見ると、愛媛県のほうがいい出来と思えた。もっとも、これも人によるだろうが。
展覧会を出ようとすると出口に一つの看板が。「一度出られますと、再入場はできません」。ふぅ〜。これを見るとため息が出てしまう。当然の権利のように宣言するところが、なおさら憎々しい。逆に、「再入場してもらうこともできます」と書けないもんだろうか。再入場OKは、日本では、まだポツポツとしかないのが実情。だから、そこで美術館の運営姿勢をはかることができるというものだ。再入場OKは、大原美術館、サントリーミュージアム、水戸芸術館などで、やはりいずれも問題意識の高いところばかりだ。
さてさて、クールベ。レアリスムの人、クールベだったが、あるとき、「天使の絵を描いてほしい」という依頼が舞い込んだ。ここでもし、天使を描けば、日ごろいっていることと矛盾することになる。クールベは依頼主にこういった。
「天使を描いてほしければ、天使をここに連れてきてくれ」
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