日頃、芸術振興のために尽力している水戸芸術館の催し物だけれど、
★3つとした(頑張っているところに対しては、評価が甘くなるということはないけれど、やっぱり「申し訳ない」という気持ちにはなりますね。某芸術センターも、そんな気持ちを起こさせてほしい!)。
「ダニエル・ビュランやクリスチャン・ボルタンスキーの次世代のフランスを代表するアーティストとして、現在、注目されている作家です」とフライヤー(パンフ)にあったので期待していったが、(本展を見る限りは)必ずしも期待値通りではなかった。その原因の一つは、フライヤー自体にある。本展では作家が水戸のギャラリー空間に合わせてつくった新作が展示されていたが、フライヤーで紹介されていた作品とはかなり趣が異なっていた。だから、「こういうのが見れる」と思っていったら、肩透かしを食らわされてしまうのだ(それでも期待以上であればOKだったのだが……)。
広く、照明を暗くした現代美術ギャラリーには何点かの作品ぽいものがある。が、個別の作品ということではなく全体で一つの作品として見るのだそうだ。壁面全体をスクリーンにして、モノクロ映像が映写されている。真ん中を境にして、鏡に映したような左右対称の映像となっている。中心に向かってときどき光ったものが斜め上から下方へ動く。左右対称の画面だから、光ったものは右上と左上から真ん中へ集まり、ぶつかり、消える。最初はわからなかったが、車のヘッドライトなのだ。雨に濡れた道路の一部分を切り取って映しているのである。車の走行音は、抽象的に(?)アレンジして、ギャラリー全体に流し、満たしてある。壁面全体の映像はギャラリーの長い空間を挟んで、反対側の壁面にも設置してある。
真ん中の空間には、床に黒い小石を敷き詰め、その上で蛍光色に光る細いファイバーのようなものを、幾何学形が連続するパターンで塔状に上へ上へと伸ばしている。鏡を利用して、その塔は無限に上へ続くように見せている。水戸芸術館のタワーに似ている感じもするので、それをイメージしたものだろうか。そのほかには、白く輝くネオン管が不定形を描く一種のネオン彫刻も、ところどころに展示されている。
全体で一つということなのでギャラリートータルという視点で見ると、暗い空間が支配していて、そこに正体不明ふうの音が充満し、ところどころに映像やネオン、蛍光ファイバーといったもので“部品”がつくられていることになる。音は大きいのだけれど、印象はむしろ静的。深宇宙にいるかのようなムードである。洗練された、大人の雰囲気ではある。あるいは未来的な感じもする。このインスタレーションでは、そんな空気を感受すればそれでいいのだろうか。意味的な面は、ほとんどよくわからない。
正直なところ、メッセージ性はあまり理解できなかったので、もっぱら感覚的な面で鑑賞するしかなかったが、センスのよさは感じられるものの、大きな空間全体を使っているにしては物足りなかった。まったく何も考えないで、雰囲気だけを楽しむのであれば、ちょっとクラブ的でいいのかもしれない。が、取り立ててインスパイアされるものがなかったので、やはり物足りない。作者の感覚世界とは、こういうものだと納得するだけか。「ボルタンスキーの後継者」とは、ちょっといいすぎ!?
|