「アート・スコープ2004」
Cityscape into Art

原美術館

1.29〜3.13

★★☆
 

 

2004年に日独共同プログラムとして実施されたアーティスト・イン・レジデンスの成果を展覧するもの。アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストが異なる国や地域に一定期間滞在し、そこで創作を行なう一種の文化交流活動。本展は、ダイムラー・クライスラーがバックアップする「アート・スコープ」というプログラムで、日本からは荘司美智子氏が、ドイツからはヨハネス・ヴォンザイファー氏が選ばれ、それぞれベルリンと東京へ赴き、約3カ月間滞在した。


ヴォンザイファー氏は模型でつくった東京タワーをスケートボードでぶち壊すパフォーマンスを行ない、そのときの様子を見せる。その他、グレーやカラシ色の色面にいかつい数字やアルファベットを大きくあしらった平面作品もあった。一方の荘司氏は、ベルリン市街の一部を小さな建築模型のようにつくり、それを10cmほどの大きさの透明アクリルの球や立方体に封じ込める。そうかと思えば、段ボールを3m×6mほどの大きさに積み上げ、ところどころに空隙を設けたオブジェというか立体作品を提示する。


しかし……これが、「3カ月にわたる国際交換アーティスト・イン・レジデンス」という、妙にお題目ばかりが仰々しいプログラムの成果なのか……? この程度のものなら、別にそんなに振りかぶらずとも、美大の卒展なんかでもいくらでもあるような気がするのだが、とかなり幻滅を覚えてしまった。どちらかといえば、荘司氏のほうが誠実に作品づくりにいそしんだであろうとは感じたが、それでも全然物足りない。ヴォンザイファー氏の「東京タワー破壊」は、パフォーマンスの現場を見ていないから理解不十分かもしれないが、それがどうしたの?といった印象しかなかった。パフォーマンスの意義について理屈をいおうとすれば、いくらでもいえるんだろうが。


巨大な段ボールの荘司氏の作品を前に、ちょっとイジワルだったが、美術館の学芸員と思われる男性に「これが、どうベルリンと関係しているんですか?」と尋ねてみた(ホントにわからなかったし)。学芸員氏は、「荘司さんは、3カ月ほどベルリンに滞在されましてね。支援はあのダイムラー社から得ているんですよ。……」と、誇らしげに説明してくださったが、質問の答えにはなっていなかった。なので、「ええ、それでこれがどうベルリンと関係しているんですか? 街並みをイメージしているとか?」と重ねて聞いてみたところ、「よくわかりませんねえ、ははは」と笑っておられた。


私は、器としての原美術館自体は好きだけれども、本展に1000円も取られたのはとうてい納得できない。金返してくれ。

 

(3/9)