以下は5月2日付、朝日新聞による憲法に関する世論調査です。

1.憲法全体を見て、今の憲法を改定する必要があると思いますか、改定する必要はないと思いますか?

  改定する必要がある 47%
  改定する必要はない 36%
  その他、答えない   17%

  改憲を肯定する47%には、国民の直接投票、首相公選制、環境権、プライバシーの保護など、どこかまとまり
  のない、各自がイメージする「改憲」の総計であろう。必ずしも、改憲を叫んでいる議員、政党のいう「改憲」と一
  致するものでなく、「改憲」がバラバラに提起され、叫ばれている結果に過ぎないのではいかともいえるだろう。


2.改定する必要があると答えた47%の人に対して、それでは憲法改定は差し迫った問題だと思いますか、そうは
  思いませんかという質問に対しては?

  差し迫った問題である   26%
  差し迫った問題ではない 20%
  その他、答えない       1%  


3.あなたが今、政治家に取り組んでもらいことは何ですか?(%)全体に対する質問

  政治改革 16、地方分権 2、憲法改定 3、景気回復 63、経済構造改革 11、財政再建 15、社会保障 24、
  教育改革 18、環境問題 26、情報公開 5、その他答えない 5

  憲法改定をあげた人はわずか3%しかいない。つまり、今この経済状態で改憲、改憲と騒いでいる場合かという
  国民の正直な気持ちであろう。つまり、現行憲法について不都合、改定の緊急性を感じている国民はほとんど
  いないということだ。これを読んでいてくれるあなたは、現在の憲法が不都合で困っていますか?


4.あなたは、「戦争を放棄し、軍隊は持たない」と定めている9条を変える方がいいと思いますか、変えない方がい
  いと思いますか。

  変える方がいい   17%
  変えない方がいい 74%
  その他、答えない  9%

  「改憲」が叫ばれている割には、圧倒的に変えない方がいいという答えが多い。1の改憲を肯定する人の47%の
  中でも、9条を変えた方がいいと答えたのは26%にとどまっている。多くの国民が9条を評価しているということだ
  ろう。

  ちなみに自衛隊に期待するものとしては、国土の防衛 20%、災害救助活動 37%、国連のもとでの軍事面も
  含む活動 5%となっている。軍隊としてのイメージを払拭した努力の表れだろうか? 軍事には期待していない。
  (私の考えは、憲法観補足を参照して下さい)

5.日本が国際協力のため、海外に人を派遣する場合、軍事以外の協力に徹すべきだと思いますか、それとも、
  軍事面でも協力すべきだと思いますか。

  軍事以外の協力に徹する  66%
  軍事でも協力する      24%
  その他、答えない       10%

  ここでも、「国際貢献」?をする為にも憲法を変えようという主張は退けられていることになる。


6.「知る権利」やプライバシー権、環境権を憲法に盛り込むべきだと意見があります。あなたはどう考えますか?

  憲法を改正して盛り込むべきだ 24%
  憲法改正の機会があれば盛り込めばいい 33%
  法律や制度を充実させる方が効果的で、憲法改定は必要ない 22%

  ここでも環境権、プライバシーの保護などは改憲しなくとも法整備でできることを国民は知っている。つまりそれ
  らは改憲の口実、つゆはらでしかないことを国民はよく見抜いている。冷静だ。


7.国の重要な問題について、国民投票制度を導入すべきだという意見があります。あなたはどう思いますか?

  憲法を改正して、重要な問題は国民投票で決める 53%
  憲法を改定しないで導入し、投票の結果を政府や国会に尊重させる 27%

8.首相公選制について

  憲法を改定をして、早く導入すべきだ   26%
  導入はよいが改憲は慎重にしてほしい 34%
  要は人材の問題だ 18%

  7.8は政治不信の表れだろう。政権誕生の密室性、派閥間のやり取り、政治不信を招いたことこそ反省し、解消
  のための努力をすることこそが責務であろう。小泉氏が首相公選制を盛んにいっているが、政治日程にのせる
  のは無理だろう。議院内閣制の問題点、あるいはニ院制の是非まで問題提起できないだろう。首相公選制だ
  けを提起する訳には行かないだろう。

  その前に、抜け道だらけの政治資金規正法、一票の格差の是正など、いくらでもやることがあろう。首相公選
  制云々より、今、是正すべきことを是正するのが先決だ。また、首相公選制で考えられる懸念は、その背後に
  ある、「強いリーダー」の登場、そのリーダシップへの期待だ。一歩間違えば、とんでもない方向に向かう可能性
  さえある。

  この首相公選制で、おもしろいことがある。従来からの改憲論者の間に首相公選制に反対する声が多い。それ
  は天皇との関係が問題になるかららしい、つまり「統治機構」を壊すことになるというのが理由だ。彼らにとって
  日本の統治者は国民ではなく、今だに「天皇」だ。私達は実にあやふやな「国民主権」の中に生きているともい
  える。(参照、天皇制)

9.あなたは憲法調査会があることを知っていますか

  知っている  28%
  知らない   70%
  その他、答えない 2%

  これだけ憲法が叫ばれているにもかかわらず、存在を70%の人が知らない、という数字には驚く。憲法調査会
  なるもの、改憲の発議はしないことが確認されているが、実際は改憲積極派が改憲ムードをあおる為に設置し
  ただけのもの。ただ自分の党の主張にあった憲法観をいいそうな人を参考人に呼んで意見をいわせ、その間
  は居眠り、終われば拍手喝采。そんな程度、いわば改憲派の自作自演のセレモニー。(護憲勢力もやむを得
  ず対抗しているのだろうが)

  憲法のどこが問題で、何を「調査」しようとしているのか、国民にはさっぱり伝わってこない。何もいえない憲法を
  むりやり被告席に座らせて騒いでいるだけ。まさか、憲法も知らない国会議員のために憲法の講習会を開いて
  いる訳でもないだろうし、、憲法調査会、憲法改定に向けて動いている「正式な機関」ではなく、「任意のおしゃ
  べり会」。改憲に向け、さも国会が動いているようなイメージを演出しているだけ。目的は、9条改定ムードを高
  めようとするものでしかないことを抑えておきたいものです。


最後に高校生のアンケートを紹介します

憲法9条について、「戦争放棄の規定があると国際貢献ができないから削除すべきだ」という意見があリますが、あなたはどう思いますか?

賛成  11%
反対  49%

高校生でさえ、改憲の理由に「国際貢献」?をあげているのは、9条改定のためのまやかしであることを知っている。改憲を叫んで勇んでいる議員、政党はこの高校生達の声をしっかり受けとめるべきだろう。そして、いかにあなた達の「改憲論」が国民意識と離れているか考えるべきだろう。

現在の経済状態、社会の閉塞感に乗じ(利用し)、偏狭なナショナリズムと直結させた改憲の扇動。そのような空気を戒めることこそが議員、政党の役割だ。そんなに現行憲法が「気にくわない」んですか? 改憲を扇動している議員、政党は冷静に考えるべきだろう。今回のアンケートを見て、改憲ラッパが盛んな割に、それを国民はかなり冷静に見ていることを痛感する。「改憲」は成功しないであろう。

                                                          2001.5.6 (日)