昨年末、インドネシア・スマトラ沖で発生した地震は大規模な津波をともない、周辺国に暮らす多くの人々の生活をのみ込んだ。私たち日本国際ボランティアセンターでは、12月31日、タイ事務所のスタッフが南部の被災地に飛んだ。
彼らの報告によれば、実際には南部の沿岸6県に渡る広範囲な地域が被害に遭っているにもかかわらず、政府主導の救援活動は観光地として有名なプーケット島に偏りがちであるとのことだった。観光収入の目玉でもあるこの地域の復興は政府にとっても死活問題である。
しかし、一方でこれらの地域に暮らす貧しい農民や、タイ東北部、ミャンマーからの出稼ぎ労働者が政府の支援から抜け落ちてしまっている。事業登録をしていない漁民や正式な住民登録のない人々は行政主導の支援の対象とはならないのだ。
このような人々に分け隔てなく助け合いの手を差し伸べられるのが、地元の互助組織だ。特に、経済的に急成長を遂げた首都バンコクとは違い、地方においては地域ごとの相互扶助の仕組みが生き続けている。
地域の漁業組合、青年組織、お寺の世話人など、伝統的に地域に根ざしたコミュニティーの相互扶助の精神は、そこに暮らす人々に等しく対応する。このような組織を救援の実動部隊として復興援助の流れを組み立てるのは、NGO(非政府組織)が最も得意とする支援の方法だ。
私たちも現在、タイ南部の漁業組合や労働者団体を通して小さな漁村を対象に、失われた漁具の支援や家屋の修復に協力している。
ところで、私たちの家族が東京から韮崎市に移り住んで8年になる。東京で生まれ育った私にとって、今も地域に残る様々な互助の仕組みに驚いた。無尽、青年有志会、消防団など、自分にとってはどれも未経験のものばかりだ。
特に感心するのは、何世代にもわたって引き継がれているため、町のどこに何があるかはもとより、どこに誰が住んでいるか、またどのような状態でいるかなど常に情報が共有される環境にあることだ。あるいはこうした関係が煩わしいと思う人もいるのかも知れないが、突然の災害が起きた時にはとても頼もしい存在だと感じている。
災害に遭遇した時、一番肝心なことは、地域のことを良く知る地元の組織が復旧活動の主役となることだ。外からの援助に受け身にならず「ここでは、これが必要だ」と、自信を持って自らが動くことが鉄則だ。こうした主体性が発揮されてはじめて外部からの援助がうまく機能する。「被災者」こそが、実はもっとも重要な活動主体なのである。
(しみず・としひろ=日本国際ボランティアセンター事務局長)
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日本国際ボランティアセンター(JVC、本部・東京)は、世界9カ国で紛争地での緊急支援や、農村部の生活改善のための活動を展開する国内有数のNGO。清水さんは東京都出身の42歳で、カンボジアや東ティモール、アフガニスタン、イラクなどで支援活動に携わりました。
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